ザ・グレート・展開予測ショー

横島夜行 Simple case


投稿者名:TAK・A
投稿日時:(01/ 3/22)

「あんの女ーっ!おれを本気で殺す気かーっ!どこが簡単な仕事じゃっー!」
鎧武者の一群に囲まれ横島は叫んだ。例によって、両目と鼻から液体を噴出している。

彼がこんな状態に陥ったのは、贔屓目に見て六割方美神のせいだが、あとの四割は自業自得だった。美神除霊事務所は、本来そろって近畿剛一主演のお正月長編ドラマのロケ現場の除霊に向かうはずだったのだが、霊によって、横島が口を滑らせた。
『ふっふっふ、映画のロケ地、すなわち女優さん、美人がいっぱい、エーもんやなあ友達って。」
以前、銀一に友達やないなどといった事は完全に忘れて、女優との甘い一時を妄想している横島。それを見た美神、こめかみに血管を浮かべ、冷たく一言、
「残念ねー、アンタは別の仕事に行ってもらうから。マ、簡単な仕事だし、アンタ一人で十分でしょ。」
この仕事は、美神が中学時代、すなわちぐれていた時代の恩師からの依頼である。本来なら断るような報酬なのだが、昔の事で断りにくいのだ。なんせ世話になった度合いが唐巣神父とはまるで違う.また、ロケ地と近いのでそのついでという事で請けたのであった.
本来今回の仕事の帰りに行うつもりだったが、横島が自分以外の女を口説く所など見たくないので、この仕事を押し付けて女から引き離すつもりなのだ.横島の講義は神通棍一蹴.お絹もシロも黙認.タマモは無関心.かくして横島は今の状態にある.

『浄』
文殊に念を込めて投げつける.それを三度.
「やったか、って一匹残ってる.」
どうやら大将格が残ってしまったようだ.
「クソ、まだたりんのか.」
新たな文殊を出す横島.しかし.
『吾が君の大御心乱すもの許さん』
鎧武者のその一言に硬直する.
「まだいるんかい」
げっそり.こいつより強い奴が残っているのなら文殊は温存すべきだ.この村は過疎化が進み、若い女が少ない、すなわち、霊力の補給がしにくい.さらに文殊あるなら大丈夫だろうとろくな装備もたせてくれなかったのだ、あの冷血女は.
「こいつだけでなんとかしろってかーっ」
右手の『爪』を見る.それを隙と見たのか武者が薙刀で切りつけてきた.間一髪かわす横島.死線をくぐり抜けてきただけあって反射神経は鋭い.薙刀の刃が通過する下をくぐって霊刃刀出切りつける.しかし鎧にはじかれる.
「キタねーぞ、てめー!」
毒着く暇もなく薙刀の石突が迫る.薙刀は女性の武器と言う印象は強いので何となく弱いように思われているがそれは違う。間合いの長さ、切る、払う、石突を使った攻撃、といった多彩な使用法、遠心力による威力の増加など恐ろしい武器なのである.
石突をよけたら足元に刃が来た.薙刀特有の攻撃浦波である.飛び跳ねてよける.すると刃が地面を引っかき上を向いた.
「やばい!」
横島は青くなった.敵の足への攻撃は股下からの攻撃するためのフェイントだったのだ.地面を引っかいたのは方向転換のためのブレーキのため、このままでは下から真っ二つだ.
横島を良く知るものはいう.あいつは「時々」凄い奴だ.このときがまさにそうだった.
両足を胸に引き付けて伸ばす、同じに足に右手と同様の『爪』を発現させる.鎧武者の顔はがら空きだった.足の『爪』が首を吹き飛ばす.同時に体をひねり、右手の『爪』で刃を払う.
「もう一度やれったって二度とできん」
横島は生き延びた.
「悪いな、おれは簡単に死ねないんだ」
武者に言う.

誤算だった.彼の生きていた時代には今のようなアクロバッチクな闘い方をするものは居なかった.
いや.
一人居た.
自分たちを直接滅ぼした奴が.
『ココにいたか、クロウ!』
自分は滅ぶ.その前に.仲間に知らせねば.
その叫びは届いた.敵と味方に.


はじめまして.TAK・Aと申します.パソコンはじめてまもない者ですがどうぞ宜しくお願いします.

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