ザ・グレート・展開予測ショー

ライヴZ(2)  〜シアワセの贈り物〜


投稿者名:来栖川のえる
投稿日時:(01/ 3/20)

次の日も、その次の日も私はお見舞いに行かなかった。どんな顔で行けばいいの?なにを
話せばいいの?私にはわからない・・・・。そんなある日のことだった。
「話すことができないんなら、交換日記でもつければいいじゃない」
ママのアドバイス。交換日記っていうのはちょっと恥ずかしい気もするが、私はとにかく
そうすることにした。


「602号室ってどこですか?」
私は目の前を通った看護婦さんに聞く。
「602号室なら、まっすぐ行ってつきあたりを右に曲がったところよ」
「ありがとうございます」
私は一言礼を言うと、早足で向かった。・・・もうあとにはひけない。もう逃げるわけにはいかない・・・。

ガチャ・・・

私は602という数字を確認すると部屋のドアを開けた。
「ん・・・?よお」
少年はわりと大丈夫そうだ。
「あ・・・・・あの・・・・」
「まあ、そこ座りなって」
そう言って彼は私をいすに座らせた。
「ちょうどりんごの差し入れがあったんだ。いっしょに食べようよ?」
「・・・そんな・・・・悪いわよ」
「まあ固いこと言わないで」
少年は私の罪悪感を見透かしてか、自分の事故の話題には全くふれない。
「うまいなあ、このりんご」
「・・・・・ええ」
私は気が気でなかった。少年と顔を向かいあわせているだけで頬が熱くなる。・・・なんなんだろう?彼がかばってくれた時のことが頭の中をぐるぐる回る。
「・・・・なに?そのノート?」
会話が続かないのでその辺で話題を見つけようときょろきょろしていた彼が突然私のもっているノートを指差した。
「ひゃっ!?」
おもわず私はすっとんきょうな声をあげる。くぅ。どうやってこのこと話そうかと思って
たのに・・・
「・・・・ああ、これはね・・・・」
「?」
「・・・・・・つまり・・・・・」
うう・・・。勇気を出してっ!
「えーっと、やっぱり、私のせいであなたが怪我しちゃったからさあ・・・・やっぱ、あなたが退屈しないようにね・・・。まあ、私が日ごろなにやってるかを教えてあげようってわけ」
少年は最初不思議がっていたが、やがて微笑むと
「ありがとう」
と返した。


それから私は毎日病院に通った。彼といると落ち着く・・・。いつしか彼の存在は紫音の中で大きくなっていった・・・。
そして、ついに交換日記が全部埋まった日、彼は「交換日記が終わった記念に、いいもの
を見せてあげるよ」と言うと、看護婦さんの許可をとって隣の部屋に行こうと言った。
私はなんなのか分からなかったが、とりあえず彼を支えて隣の部屋に行った。
そして・・・・
「このカーテンを開けてよ」
と私に言った。私はそこになにがあるのか見当がつかなかったが、とりあえずカーテンを開けることにした。

シャーッ

カーテンを開けると、そこには・・・・
「・・・・・え・・・・・?」
「気に入ってもらえるといいんだけどな・・・・・。ほら、ずっとお世話になったし・・・」
「・・・・・ありがとっ・・・・・」
そう言って、私は彼に思い切り抱きついた。
「うわっ」
二人して床に倒れこむ。

・・・・・・窓の外には・・・ビルに邪魔されずにその短い命を輝かせている夕日があった・・・・・・・


・・・思えば、彼女がこの幸せをつかむまでに、何年かかったのだろうか・・・。
永遠ととれる、この時の流れの中で輝く、一筋のシアワセ・・・・・・・       
         ・・・・彼女はきっと、この日を忘れない・・・・




{・・・・・・やべーな、できが。最悪だ(汗)。熱もかなり高いし・・・。休日だし(笑)観○ちん、ダブルピンチ!・・・・でですね、次回最終回の予定。予定っていうか
決定。次回はもうちっとおもしろく書きます。だから見捨てないで(爆)}


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