ザ・グレート・展開予測ショー

黒い呪いと天使の笛の音(6)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 3/20)

「・・・・・・」
「・・・・・・コホン」

ここはいつもの美神除霊事務所の一室。
しかしいつもとは違い、今は大勢の『ヒト達?』が詰めかけ、 ある者はグラスを片手に、ある『モノ』はクラッカーをそれぞれが構えている。

そして・・・合図となる声が・・・

「・・・では! おキヌちゃん一回戦突破・・・」

『おめでとーーーーーっっ!!!』

美神除霊事務所が歓声に包まれた。



ー黒い呪いと天使の笛の音(6)ー



『いやー・・・めでたいっ!』
『へっ! おキヌちゃんならあたりめえだ、こんちきしょう!』
『おらおら! さっさと何か歌いな!』
『よっしゃ! 今日のはいつもとはコブシが違うぜ!』

おキヌの一回戦突破に盛り上がる浮遊霊の面々。

「ひゃー・・・話には聞いてたけど 聞きしに勝る賑やかさだな・・・」
おキヌの隣に席を構える ややなまりのある口調の娘が目を白黒させて その様子を眺めている。
「ふふ・・・でもみんなとっても・・・?」
ふと、おキヌは異様な気配に口をつぐんだ。

ドヨーーーーーーン・・・

「あ、あれ? 横島さん・・・いつの間に?」
とことん水を差す異様な気配を発している『そいつ』に気付き、不安げな顔になるおキヌ。
「どーせ、どーせ・・・俺なんて・・・一人会場に置き去りにされて・・・やっと帰って来たらメチャメチャ盛り上がってるし・・・」
そう呟き、うつむいた横島から ますますドンヨリとした雰囲気が・・・

「えーい! うっとおしいわーーーーっ!!!」
ドグシャ!
「・・・・・・(ピクピク)」
「さあ! 本番は明日だけど! 前祝いだってやるからにゃーてってーてきにやるわよ!!!」

『オオーーーーーーーーーー!!!!!』

悲鳴すら上げさせずに、横島が昏倒したのを見てとると、美神は実に上機嫌な顔で更に場をヒートアップさせた。

「こ、このアブラアゲ! 絶品だべ!」
「あ、それタマモちゃんが作ったの。 美味しいでしょ?」
「ほんとはもっと美味しいのに・・・美神さん材料費ケチるし・・・」

「プロレスでござるか!? 拙者もやってみたいでござるっ!」
「へえ・・・今度やってみるかい?」

各々が、それぞれ自分なりに、この騒ぎを楽しみ・・・
そして・・・

『グオオオーーーーッッ!!!』
「ムニャムニャ・・・さんぽぉ・・・」
「・・・何するだ・・・このセクハラ・・・」

「毛布、毛布・・・もう・・・こんなトコで眠ったら風邪引きますよ・・・」

酔い潰れた『モノ』や、騒ぎまくった疲れから眠ってしまった者
達に、明日に備えて酒などの類は(元々飲めないのだが)飲まなかったおキヌが毛布などをかぶせていく。

「そこのナイスバディな方! オレと・・・」
「・・・・・・(ニコ)」

復活してから騒ぎまくり、美神や早苗にどつかれ またもや昏倒した『煩悩男』の寝言を聞いて・・・微笑みを浮かべつつ、手に持っていた最後の毛布をしまおうとした時。

「あ、美神さん・・・?」

騒ぎの途中、姿が見えなくなった美神が廊下で手招きしていた。

「おキヌちゃん・・・ちょっと良い?」
「? ・・・はい・・・」


「この季節でも外は寒いですね。」
「・・・そうね・・・」
おキヌの声に、気の入らない返事を返す美神。
「あの・・・美神さん どこか具合でも?」
「あ、あのさ、おキヌちゃん・・・もし私が・・・」
「試合を止めようとした事・・・ですか?」

「!!?」

「えぇと・・・実はエミさんと唐巣さんから・・・」
それを聞いた美神は顔を真っ赤にさせた。
「お、お節介にも程が・・・!」 
「あ! 違うんです! 下から美神さんとエミさんが言い争ってたのを見て・・・」
「・・・・・・」

黙り込む美神を見て、おキヌは少し息を整え、口を開いた。
「最初どうして美神さんが『ごめんね』って言ったのか分からなかったけど、今は分かります。」
「・・・・・・」
「あ、でもエミさんが言ったのとは違う意味ですよ。」
「? 違う意味?」
おキヌは少し微笑み、言葉を続けた。
「美神さんが私の事・・・ほんとに考えてくれてる・・・って」
ボン!
さっきとは違う意味で、美神の顔が真っ赤になる。
「クスクス・・・あのおっきな精霊石の事も聞きました、ザンス国のお姫様からもらったやつだって・・・何かエミさん、さんざん自慢されたって怒ってましたけど・・・」
「・・・やっぱ・・・過保護って言われて当然ね・・・」
少しうつむいた美神を見ながら・・・おキヌは言葉を続ける。
「えぇと、美神さん・・・じゃあ次の試合でもそうします?」
「え?」
「次の試合ではきっと、美神さん絶対過保護にはしませんよね・・・それは美神さんがきちんと私の事考えてくれてるからだと思うんです。」
美神は少しノドをつまらせたかの様に 声を出した。
「おキヌちゃん・・・」
(何か・・・今日は諭されてばっかりね・・・)
「美神さん!」
「! あ・・・な、何?」
動揺する美神。
「もう一度・・・試験前の・・・言ってくれませんか?」

それを聞いて・・・おキヌの顔を見て・・・美神はふっきれた顔をし・・・『こう言った』


『大丈夫! おキヌちゃんはこの美神令子除霊事務所の自慢のメンバーなんだから! 負けるはず無い!』



そして・・・その頃。

「ふぅ・・・あたしの次の相手・・・誰になんのかなぁ・・・」
「い、一文字さんとだけは・・・! 神様・・・どうか一文字さんとだけは当たらん様に・・・」
「・・・・・・ママ・・・」


『憎クハナイノカネ』
『少シ懲ラシメル程度ノ』
『契約成立ダネ・・・ククク』

暗い・・・薄暗い部屋で・・・『少年』は手を伸ばした。
その手の先には 対になるかの様な・・・『鏡』がある。


「そうさ・・・あいつら・・・懲らしめてやるんだ・・・」


暗い目をした『少年』は・・・

『鏡』の一つを・・・

 手に取った・・・






AS「かなり遅れましたけど、続きです・・・読んでもらえて、出来れば良い所と良くない所を教えて頂けたら 嬉しいです。」

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