ザ・グレート・展開予測ショー

魂の旅U


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 3/19)

 妙神山本殿。
「やはりこの時が来ましたね」
美神から連絡を受けた小竜姫が椅子にかけながら重々しく呟くように言った。
「そうなのね。人間の魂が神格化しきれないまま600年もの間存在しつづけた事自体が奇跡みたいなものなのね」
ヒャクメがディスプレイを見ながら答える。
「やっぱり。データによると普通の人間の魂が昇天せずに人間界にとどまれる限界は250年前後なのね。大概はその前におとなしく成仏するか、あるいは何者かの守護霊になっているか、あるいは霊基構造が崩壊して無に帰るか。極例外的に1000年余りいたってのもいるけど・・・やっぱり。ピラミットの守衛霊だけなのね」
「もっと早く気付いて手を打っていればこんな事には・・・」
小竜姫が頭を抱える。横島らとは付き合いも長い。気心が知れた相手だけに心苦しい。
「しょうがないのね」
ヒャクメが自らも慰めるように呟くとディスプレイを閉じた。
「方法が無いわけじゃないし」
「でも、あの方法は・・・」
「わかってるのね。誰かの霊体で壊れた霊基構造を修復する、これはルシオラが使った手だけれど、あれをやってしまうと霊体を著しく消費して場合によっては霊核すら消失してしまうのね。悪いけど私たちには出来ないし、パビリオにやらせるわけにもいかないのね」
二の腕を抱きながら答えるヒャクメ。
「・・・てことはやっぱりもう一つの・・・」
「そうなのね。彼女の魂自体を神格化させる。その事によって宇宙意思に対する魂の存在率を高めればおそらくは」
神魔がその限りなく永久に近い時間を手にしている理由は、この「(※注釈1)宇宙意思に対する魂の存在率」に由来する。
もし人間の魂の存在率が1ならば、神魔たちは例外を除いて(たとえばルシオラたちのように条件付で生み出された場合)限りなく100に近い「宇宙意思に対する存在率」を誇る。
 彼ら神魔にとって肉体は自らの霊力で作ったエクトプラズムのようなものだから、肉体の存在率と魂の存在率は直結しない。彼らにとっての死とは肉体の損失ではなく魂の損失なのだ。その魂の損失の確立が低ければ低いほど彼らは長生き、という事になる。
ちなみに横島らGSの存在率はなかなかのもので、よって肉体は死んでも転生という方法での復活率は並みの人間よりはるかに高い。普通の魂は昇天後宇宙意思の本流に飲み込まれそのままその存在を無垢の存在、すなわち宇宙意思の一部として再び吸収されるらしい。
「で、上から許可は下りたの」
「一応アシュタロス戦役の功労者なのね。横島さんの事もあるし、彼女の魂の純正は十分神に相当するものらしいから、幹部連は彼女の仲間入りを承諾したのね」
「わかりました。じゃヒャクメは引き続き彼女のデータをまとめて。私は聖天大聖老師に事の顛末をお伝えし、手はずをお願いしてきます」

美神たちが妙神さんに到着したのは、それから15分後の事だった。


注釈1 我々すべての魂は宇宙意思の一部である。そして魂は宇宙意思から離反した意識の一部で宇宙意思は常にその{意思}を再び自らに取り込もうとしている。それに対して自らの存在を維持しつづけることだがきる確率の事を宇宙意思に対する存在率、という。
何夜わけわからん、という人はまあ流行の流れの中で自分は自分のスタイルを貫き通すという意思、とでも思ってくれたらいいと思います。

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