ザ・グレート・展開予測ショー

おキヌちゃんの過去!!(1)   −夢ー


投稿者名:来栖川のえる
投稿日時:(01/ 3/16)

「じゃ、おキヌちゃん、お疲れさん」
美神さんはそう言って私に封筒を渡してくれた。
「はい、これ給料ね。これからもがんばって働いてね」
「はい、ありがとうございます」
そう言うと、私はドアを開け自分の部屋に向かった。

「ふう・・・」
私は部屋に入ると、疲れがどっとでて座り込んだ。
「今日はほんと疲れたな〜」
私はその後、一時間くらいテレビをみてすごしてそのまま寝てしまった・・・・・



「・・・ねえ、これから隣町まで行ってこの山菜と魚、交換してきてくれないかな?」
・・・・・誰の声?私にはわかる。これはお母さんの声。優しい声。心に響く声。
「うんっ!いいよ!」
私は元気よく答えた。
・・・・・・私の住んでいるところは山にある村。私の家は決して裕福なわけじゃなかったが、貧しいというわけでもなかった。
「・・・・すまないねえ」
そう言うと母は私にかごいっぱいの山菜を渡した。
「持てる?」
母が、私に心配そうにたずねてくる。
「だいじょうぶだって!私も今年で十歳なんだから!」
私はまたまた元気よく答えて、大丈夫だというように腕をふる。
「・・・そう。じゃ、明日までには帰ってきてね」
「うん!」
この、市場まで行って魚をもらってくるのは私の仕事。最初はかご半分も持てなかったけど、今はもうかごいっぱいでもなんとか持てる。
「じゃ、いってくるね!」
そう言って私は家を飛び出した。

・・・どのくらい時間がたったのだろうか?私が休み休み町についたときは西の空がきれいに赤く染まっていた。
私は顔の汗をふきとると、残る力をふりしぼっていつもの家へ行く。
「あ、よく来たね〜」
目的地に着くと優しそうなおばあちゃんが笑顔でむかえてくれる。
「さ、ゆっくりしてってよ」
そう言うとおばあちゃんは私を中にいれてくれた。

・・・・リーン、リーン、リーン、リーン・・・・

外で鈴虫の鳴き声がする。もう秋もすぐそこまできていた・・・。
「はい、じゃあ山菜を見せて?」
おばあちゃんの言われるままに、私は持ってきた野菜を見せる。
「えーっと・・・」
おばあちゃんはなにやら計算しているようだ。
私は虫の声をこもり歌にしながら、静かに眠っていった・・・・。

ミーン、ミーン、ミーン、ミーン・・・・
その日は、せみの甲高い声で目を覚ました。服がべたつく。今日も秋が近いというのにものすごい暑さだ。
「あら、起きたみたいね?」
おばあちゃんが私がいる部屋に入ってくる。・・・どうやら、私はあのままここで寝てしまったようだ。
「はい、これが今回の分」
私のそばに、魚がどさっと置かれる。このおばあちゃんは親切な人で、いつもおまけをしてくれる。
「ありがとう!」
私は暑さと眠気でもうろうとしながらも、とりあえず礼を言った。
「疲れているのなら、もうちょっと寝ててもいいわよ」
という、おばあちゃんの親切に甘えることにしたので、私は布団をかぶった・・・・。が、
「大変だ!大変だ!」
この家にかけこんできた男によって静寂はやぶられた。
「どうしたんだね・・・?」
おばあちゃんは少し驚いたような顔をして聞き返す。
「・・・・実は、となりの村がその辺のごろつきにおそわれたらしくて・・・」
「なんだって!?」

・・・このころ(1700年前後)は、徳川の力も次第に落ちていき、守られていた治安
も、だんだん薄くなってきたため、浮浪者たちが武器を持ってむらから食料を奪い、しまいには女も奪っていくというのはしょっちゅうだった・・・。

私の目の前は、一瞬真っ白になった・・・・。その隣の村とは、私の住む村だから・・・。
「おキヌちゃん!おキヌちゃん!!?」
おばあちゃんの言葉を背に受けながら、私は家を飛び出していた。ただ、がむしゃらに走った・・・。自分がついてなにができるか?そんなことはどうでもよかった。というより、そんなこと考えられる余裕はなかった・・・。私はただ、お母さん、お父さんが無事
なのか?ということしか頭になかった・・・・・。



                                 つづく


{あとがき:おキヌちゃんの過去の導入部分なんで、あんま面白くない・・・。けど、これから結構もりあがってく予定。でも、おキヌちゃんの人生って結構知りたいよなあ・・・・。おれも(笑)。}

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