ヒャクメの悪戯、若しくは御節介
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 3/13)
「おひさー、小竜姫ちゃんいる?」
中に入ると、庭掃除中のパピリオである。
「いらしゃいでちゅ、姫しゃまはすぐ来ると思いましゅ」
少し待ちますかとパピリオ相手に世間話を話しているところへ、
「あら?どうしたのよヒャクメ。何か事件?」
「ううん。違うんだけどぉ、ちょっとね」
「ちょっと?」
「そう、先の対戦で卑しくも神にヌードを強要した奴がいたわよねぇ」
「美神さんの事?まぁいいじゃない」
「でもこのままじゃ面白くない!ちょっと強力しなさい」
何事かを囁くと、
「面白そうね!でも魔族がいないと・・!そうだパピリオも付き合わない?」
「はいでちゅ!」
小竜姫以上に暇に感じるパピリオの即答である。三人は一路東京へ向かう事になる。
美神除霊事務所ならば、道を間違えずに行ける。
「あらー、どうしたの神様に魔族が、又仕事?それなら歓迎するわ!」
「仕事じゃないのよねー。今日は貴方じゃなくて、横島君に用があるの」
「なんだ。まぁ立ち話もなんだから、どうぞ中へ」
お茶係りの新顔も顔を見てここもにぎやかになったわねぇとヒャクメが笑う。
「そう?もう五月蝿くてしょうがないけどね」
「でも、貴方の事務所から一人、抜けることになりますよ」
瞬間ヒャクメの顔つきが厳しいものに変化する。何とは言え神様だ。迫力は有る。
「抜ける?って横島君が?」
「そうなのよー」
そこに本人がやってくる。なにやらの雰囲気は感じているらしい。
「実わねー、横島君の能力はヘタをすると神話級崩壊をも可能だからー」
「神々が協議をした結果、しかるべき筋に預ける、若しくは・・」
「抹殺をも辞さない、という事でちゅ」
流石の美神も本人も寝耳に水、いやさ寝耳に大洪水の報告である。
それでですね、とヒャクメが切り出す。
「選択肢は妙神山に捕らえる、で世話は小竜姫がするって方法があるの」
「ちょっと!」
美神が抗議するが、
「私は構わないですよ、横島さんが妙神山に入ったら即上級インストラクターですね」
嬉々として小竜姫は笑う。
「若しくは私の部下にね、。どぉ横島君。なんなら良い思いさせてあげようか」
「良い思いって・・?」
「横島君の想像に任せて大丈夫だとおもうわー」
状況だけに自重するかと思う美神だが横島は筋金入りだ。
「へ、へへへ。へへへへ」
あっちの世界へご旅行中のである。頭痛いわと美神の態度。
「それとも魔界に来るでちゅか?べスパおねえちゃんも歓迎するそうでちゅ」
「ま、魔界はちょっとなー」
「そうでちゅか?魔界にもいい女は沢山いるでちゅよ、当然魔王クラスでちゅから」
もうそれはハーレム状態と意地悪く説明するパピリオ。
「ちょ、ちょっと!」
立ち上り、一層声を強めた美神令子が、
「一方的過ぎない?だって横島クンがいたから世界は無事に済んだでしょ?」
「そうねー、で一応もう一つ選択肢は有るのよ」
「もう一つ?」
「美神さん、貴方が一生横島クンの監視役って事よ」
「あ、あたしが?冗談やめてよ、あたしは、あたしは・・・」
「へー、じゃあ私達でどうにかしていいのかしら?」
「横島さん、私と一緒に妙神山に行きましょ!」
横島の右脇にくっ付く小竜姫に、
「パピリオも逃げたペットが戻ってきたみたいで嬉しいでちゅ!」
これまた左側にベタベタとさわるパピリオである。
「美神さん、た、助けてくださいよぉ!」
台詞とは裏腹に目じりが下がりっぱなしの横島である。
「いいの?美神さん」
「わ、判ったわよ、私が管理すればいいんでしょ!」
「別に無理する事はないのよー」
「無理なんかしていない!横島クンが私の前から消えるのはもう・・」
声のトーンがどんどん小さくなったので聞き取れたのはここまでであった。
「じゃーあ、契約してくれる?」
「契約でもなんでもするわよ!で契約書でも書けばいいの?」
「うふふ。貴方も神話に詳しいなら神が交える契約の方法は知ってるでしょ?」
小竜姫とパピリオは横島を美神の方へ放ると、
「さ、契約してください、美神さん」
「あのー、契約、契約って・・」
なんで俺が物扱いなんだと、まともな意見が喉まででかかったが、
横島の目の前に顔を真っ赤にした美神令子の顔が来る。
「あんたは黙ってなさい」
そういって、横島の口を吸った。
突然の事に走馬灯に近いものが横島を襲った。その後美神の胸の中で真っ白けになった。
「こ、これでいいんでしょ?」
と、言った時にはヒャクメも小竜姫もパピリオもいなかった。
「なんなのよ、いったい・・」
そしてもう一度、
「なんなのよ、いったい」
-FIN-
今までの
コメント:
- こういう展開はよそうしてませんでしたよ。いやはや面白い面白い。ヒャクメのキャラ勝ち(笑)。 (来栖川のえる)
- 美神さんがもーすこし
うれしはずかしなかんじが欲しいかな。 (ぐんも)
- らーぶー
甘いやああああ(嬉しいらしい) (hazuki)
- いつから横島は神話級の力を手に入れたのでしょうか?
確かに魔王であるアシュタロスを出し抜くだけの悪知恵はあるかもしれないけど、アシュ編ではまだまだ潜在能力だけ人類トップクラスということでは無かったのでは?
それに巨大アシュタロスを倒したのも令子との霊的同期合体によってであり横島一人の力は結構あるとしてもそんな神話級ほどはないと思うけどなぁ。
他の作品にも出てくる横島超人説に疑問があったので一石を投じてみました。
話そのものは面白かったです。
神族魔族の3人が次第に令子を追いつめていくのがいいです。 (JIANG)
- 御意見感謝致します>JIANG様、
でもね、ヒャクメの神話級云々は『ハッタリ』ですよぉ。
つまりからかったんですね。美神令子を
その理由がヌードを強要したシーンって事ですわぁ。 (トンプソン)
- >トンプソンさん
解説ありがとうございます。
なるほどハッタリですか。
普段の令子なら見破っていたでしょうが、
横島が半永遠的にいなくなってしまうと言われれば
引っかかってしまうでしょうね。(笑)
令子の弱点を巧みに突いたヒャクメの勝ちということですね。 (JIANG)
- 「あの〜美神さん、結局この契約とやらは……?(おずおず)」
「肝心の神様が契約を承認せずにいなくなったんだから、無効よ無効!(つんっ)」
「え〜っ、そんなぁ……でっ、でもっっ……美神さんの唇と俺の……うふっっ(にへらっ)」
「き、気色悪い思い出し笑いをするなあああ!!(かああああっっ)」
この後横島は、唇の記憶が完全に消滅するまで何度も頭部を猛打されることになる、であろう。
『……まあ、こうなった要因は全て横島さんに帰する訳だから、仏教用語で言う処の因果応報ってヤツよねっ?』
本件の言出しっぺであるヒャクメはそう自身に言い聞かせると、惨劇の行われる前に千里眼の魔力を完全にカットした。 (Iholi)
- ヒャクメちゃん・パピちゃん・小竜姫さまの3人組いいっスね――。
意外とノリのいい小竜姫さまがスキ。 (ARSENAL)
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