ザ・グレート・展開予測ショー

SNOW  〜いつかどこかで(笑)〜


投稿者名:来栖川のえる
投稿日時:(01/ 3/13)

中学のころ、私は不良だった。ママが死に、父とも交流のない生活・・。私ほど不幸
な人はいないんじゃないかと、そう思い始めた。この不幸な運命をのろった。そのうち、
この運命のレールは、一本しかなく、だれにも変える事のできぬものだと思い始めた。
未来に向かって延びたレール。私はその上を休みなく歩いているに過ぎない・・・。
何をしても無駄なんだ・・。私は存在意義がなくなった・・・。

そんなある日のことだった。その日は雪が降っていたが、私は他にすることもないので、
外を歩いていた。すると、道端でゆきだるまが数人の制服を着た男子に、今にもけられそうだった。
「・・・やめろよ」
助けたのは、ほんのきまぐれだった。ただ、あのゆきだるまが自分と同じように一人で
さびしそうだと、そう思っただけだった。
「あん?」
案の定、男子生徒は反発してきた。
「やめろっつってんだよ!」
いきなりそう言ってくびねっこをつかむと、男子生徒たちはちりじりに逃げていった。
「ったく・・・。あーいうやつらこそ、弱虫なんだよな。吐き気がする!」
そういい残すと、私は帰路についた。

その夜だった。
コンコン
ドアを叩く音がしたので、出て見ると、そこには雪をたくさんかぶってしまったいる少女のすがたがあった。
「・・・・?」
私が理解しかねていると、
「お姉ちゃんちに泊めて!」
と女の子が元気よく言ってきた。
みなしごだろうか?でも、私も断る理由がないので泊めてあげることにした。
「ありがとう、お姉ちゃん!」


その日から、この家には二人すむことになった。そしてあれから一週間くらいたったときの事だった。
「ねえ、お姉ちゃんはどうしてがっこにいかないの?」
突然の質問だった。その時、ソファーでごろごろしていた私はピクっと反応した。
「・・・・どうしてそんなこと聞くの?」
私は、腹の奥からわきでる感情を押し殺してとげのはいった声で聞き返した。
「だって、お姉ちゃん優しいし、美人だし、なんでがっこにいかないかわからないんだもん」
ビシッ!
・・・気が付いたら私はあの子の頬をひっぱたいていた。
「あんたに・・・あんたに何が分かんのよっ!?」
私はついカッとなって叫んだ。
「わかるよ。お姉ちゃんが優しい人ってことぐらい」
その笑顔が私には苦しくて、つい言ってしまった。
「出て行って!そんなこと言う人は出て行きなさい!!」
私にも制御しきれない感情がそこにあった。少女はとても悲しそうな顔をして、家を出て行った。

「・・・はあ」
あれから10分がたった。私はなぜか外をみてぼーっとしていた。そとはもうすぐ春だというのに、あたり一面雪で真っ白だった。
ボウッ・・。
「ん?」
ちょうどその時、目の前に何か見えたような気がして、目をこすってよくみて見た。
「・・・浮幽霊?」
目の前には、男の子のような浮幽霊がいた。
「浮幽霊が、私に何のよう?」
わたしが聞くと、しばらくだまっていたが、しずかな声でこう言った。
「お姉ちゃんは、怖いんだね?」
「は?」
なにを言われたのか一瞬分からなかった。
「お姉ちゃんは、怖いんだ。自分が人と仲良くなるのが。仲良くなれば、仲良くなるほど
お互いのことが分かってくるから・・・。ある人の中の自分。別の人の中の自分。そのまた別の人の自分。それがすごく怖いんだ。どんな自分なのか、知るのが怖いんだ。だから
学校も行かないし、あの子も・・・・」
「んなわけないでしょっ!」
私は少年の言葉をさえぎるように言った。
「な〜に分かったような口きいてんのよ。私のことは、私が一番わかってんのよ!」
「・・・・じゃあ、なぜそんなにさびしそうに外を眺めてるの?」
私の背中をなにかが走った。私はその言葉でやっとめを覚ました。
「あの子は公園にいるよ。いってあげて」
私の表情をみて、安心したようにそういうと、少年はフッと消えた。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
私は雪道を走っていた。あの子に会うために。あの子に謝るために・・・。
公園に着くと、さっきの少女がぽつんと一人、立っていた。少女はゆっくりとふりむいて
言った。

「・・・・・・・また、会えたね・・・・・・・・・」

私の目から雫が流れた・・。止まることなく、流れつづけた。
「泣かないで、お姉ちゃん」
沈黙を破り、女の子がしゃべり始めた。
「・・・私ね、ほんとは人間じゃないの」
少女の突然の発言に、私は驚きを隠せなかった。
「私は、前に助けてもらった雪だるまのココロなの。お姉ちゃんに恩返しがしたっかたんだけど、なにもできなくて・・・」
そして、最後に少女は、悲しそうな目をしてこう言った。
「・・・でも、もうお別れ。もう、雪の季節も終わって春がくるから・・・。ごめんなさい、なにもできなくて・・・・」
そう言ったと思うと、彼女の体が光り始めた。
「待って!」
そう私が言うと、少女は、少しだけっこちらをむいた。
「・・・・・ありがとう」
私は、これだけしか言うことができなかった。
少女は、少しだけうなずいたかと思うと、静かに消えていった。
(・・・・謝んなくて、ごめんね・・・・。最高の恩返しだったよ・・・・)





その日から、私は不良をやめた・・・・。またあの子と会ったときに、がっかりさせないように・・・。







{のえるでふ。美神さん主人公。今回は鳥の詩聞きながらかいたので、けっこうそっち系
 の話になってしまいました(笑)でも、何で不良になったの、あの人(爆)。}









今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa