ザ・グレート・展開予測ショー

あの高い、高い、大空のしたで・・・


投稿者名:来栖川のえる
投稿日時:(01/ 3/13)

「ありがとう、ママ」
彼女は私のむいたりんごをうれしそうにうけとった。
「どういたしまして」
こういう会話もいつまで続くのだろうか・・・。私は病院の殺風景な風景をみながら
思った。
・・・・彼女は生まれつき病弱だった。おそらく、その多大な霊力が、「ヒトの体」
にあわなかったのだろう。元は悲しい魔族だから・・・・
でも今日は、久しぶりに外に出れる日だった。彼女もいつもより調子もよさそうだ。
「ねえねえ、ママ、早く行こうよ〜」
「ちょっと待っててね。今、お医者さんが来ると思うから」
ガチャッ。ちょうどその時ドアが開いた。

「ふう、気持ちいい風!」
彼女はそういうと、車椅子から手を離し「伸び」をした。
満面の笑顔。久しぶりに外に出る許しをもらって、うれしいのだろう。この姿が彼女
の本来の姿だと、私は思った。
「で、今日はどこ行くの?」
正直、私としては動物園とか、そういう母親らしいところにいかせてあげたかった。
でも・・・・・
「今日も公園に行こう?」
「え〜」
案の定、彼女のいやそうな声が返ってきた。・・・・でも、医者から近くにしか行っちゃ
いけないと言われている以上、この子に無理をさせるわけにはいかなかった。
「もう、しょうがないなあ」
彼女はそんな私の気持ちを察してか、あっさり承知した。
そんな彼女をみていると、自然に涙が頬を伝う。自分のことだけに精一杯のはずなのに、
他人のことにも気を使う、彼女の優しさにふれると・・・。

「今日は、この前学校に行ったときのこと、話してくれる?」
公園についてから、私は言った。
「え〜とね、この前はねえ、国語の時間にね、自分の将来の夢について話したの」
「ふ〜ん。なにを話したの?」
「えへへ。内緒」
彼女のくったくのない笑顔は、私も、みんなも幸せにしてくれるなあ。私はなぜかこんなことを思った・・。

「じゃ、そろそろ帰ろうか」
空も赤く染まってきたころ、私は帰ることにした。本当はもっと彼女といたい。もっと
彼女に普通の生活を送って欲しい。だけど、これはしかたのないことだった・・・。
「・・・うん」
彼女は、非常に残念そうだったが、軽くうなずいた。
帰り道、私は考えた。彼女を幸せにしてあげるにはどうしてやれる?私はなにをすればいい?・・・・・ちょうどその時待っていた信号が青くなったので、私は彼女を押して横断歩道を渡った。・・・・その時だった。
「危ないっ!!」
突然、彼女の声がしたかと思うと、私は、どん!と突き飛ばされた。
「え?」

ぐしゃあっ!

・・・・鈍い音があたりに響いた・・・・。


「どうして・・!?どうして・・・・」
私は、彼女を抱えながら泣いていた。
「だって・・・私なんかよりも・・・・健康な、ママのほうが生きてたほうが・・・いいじゃない・・・」
彼女は消え入りそうな声で答えた。
「なにいってんの!?まだ貴方は若いし・・・・!それに、それに・・・・」
(あなたは今度こそ幸せになってほしいから・・・!!)
最後は言えなかった。今真実を言ってしまうと、なんか今までのすべてがくずれそうだったから・・・・。
「わたしね・・。ママの子に生まれて、ママと話して・・・、とっても幸せだった・・」
「もういいから、しゃべんないで!」
私は、彼女の言葉をさえぎるように叫んだ。
「・・・でもね、次に生まれてくる時は・・・・他人の心配もできるような体に生まれて
きたいな・・・」
彼女はそう言うと静かに目をつぶった・・・・。
「え?・・・ちょっと?ねえ、目を開けてよ・・・!ねえ、ねえ、ねえ!!」
・・・私には、ただ、彼女の体をゆすることしかできなかった・・・。涙がとめどなく
道路に落ちていった・・・・・。


後に聞いた話によると、車を運転していた人は、眠っていたらしい。・・・だが、そんなことはどうでもよかった。横島クンと結婚して、彼女が生まれて、彼女といっしょに遊んで・・・。私は幸せだった・・・。私は、変わるのだろうか・・。元の私に・・・。今までの幸せは・・・・もうないのだろう・・・・。彼女のやさしさは、また、彼女の幸せ
を奪った・・・・。これからも、その次の世代も、彼女に幸せはおとずれない・・・・。
彼女にやさしさがある限り・・・・。

 
     (私の夢は、ママとず〜っと、ず〜っと暮らすことです!)



{ども、のえるです。本日二作目。どうでしょう?っていうかカノンのエンディング聞き
ながら書いてたんで、いろいろぶっこわれてます(笑)。でも、これはあくまで友人のリクエストに答えただけなので、僕のせいじゃありません(謎爆)。でも、この場を借りて、ルシオラファンの方々に、謝罪します。・・・許して(はーと)。反対2桁覚悟(笑)。では、失礼しましたっ!}

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