ザ・グレート・展開予測ショー

Dr


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 3/13)

「逃げろ!」
南極での大決戦は言わば自滅とも言える結果であった。
「なんかアニメのような終わり方だな」
西条が一言漏らすが、まぁ突っ込みは止めておこう。
「時にこの蟲娘はどうなるのカノー?」
タイガーがフトした疑問を口に出すと、
「あー横島君から聞いたのだが、彼女達の寿命は1年なんだと、だから」
だからほっておけばそのうちに自然消滅だよ、と目を閉じて西条が言うと、
後方救護室にあたる部屋から半死半生の横島が声を出す。
「頼む・・生き返してやってくれ・・やってくれ・・」
うめき声という奴か。
「そうは言ってもな。彼女達の運命は決まってるからな」
ルシオラも諦めている様子である。
「ヨコシマ・・・」
その神妙な姿になんとかしてやれと、ICPOの西条に非難の声が上がる。
「そりゃ、法律を巧く解釈すれば処刑は無いだろうけど」
それを聞いたドクターカオスが、
「本当か?」
「あぁ、然程難しい事ではないからな。しかしそんな事聞いても無駄じゃあ」
「この欧州の魔王に不可能は無いわ。どうするかな?お前達購ってみるか?」
当然答えはイエスであった。
「さて、マリア今回の報酬をいくら注ぎこんでもいいから対策をな」
「Yes・Dr・カオス」
先ずは自分の部屋ではなく、都庁に有る秘密の地下室を一室借りうける。
霊視やらCTスキャンやらで科学とオカルトを混ぜた調査が始まった。
「マリア、今度はレントゲンを頼むぞ!」
「Yes Dr カオス」
その手さばきというか、要領に少々の驚きを見せるルシオラである。
「あんた今回の戦いでもあんまり目立った方じゃなかったのに」
「まぁな。じゃが今回の作戦を考案したのはワシじゃからな。伊達に歳はとっとらん」
かかかと笑いながらレントゲン写真を食い入るようにしてみる。
「成る程な。このテン・コマンドとやらの解除は比較的簡単ジャな」
うそぉ!という声が今にも聞こえてきそうな発言である。
「こんな物は実際自分たちが信じちまってるからな。先ずは思い込みの除去じゃ」
「思いこみって?」
「十戒の爆弾は触れた時点で自ら命を絶つのさ。実際死刑執行人がいるわけではない」
その思いこみを司る脳の一部を切り取る手術は霊のメスで執り行った。
「どうじゃ?気分は」
「うん!すっごいスッキリしました!」
「よし、成功じゃな。あとはお主等の心臓に有る爆弾を取り除くの手術じゃがなぁ」
これは慎重を要するし、
「しかし、これは除去だけではな・・。継ぎ足しが必要じゃよ」
だが、悪鬼の血管を継ぎ足す部分なぞ存在は知られていない。
「あの、私の胸の中にはやっぱり爆弾が」
「そうじゃ。アシュとか言う奴は本当に用心深い奴じゃよ」
諦め様かな。そんな思いが顔に出ると、
「お主はあのボーズに惚れとるのだろ?ここで諦めてら面白くないわ」
何を言い出すのと驚いた表情に変化するが、
「ま、そんな事はこのカオスにとって関係無い。ただおぬし等を生かしたいだけよ」
「何故ですか、なんでそんなに優しくしてくれるの?」
「酔狂じゃ」
二三日後、カオスの決断が出た。
「お主、蛍の化身と聞くが、蛍になれるかな?」
「はい、一応は」
「・・賭じゃ。普通の蛍の心臓を霊的に加工して使ってみよう」
「でも。それじゃあワタシは・・」
「このまま手をこまねいていても駄目じゃ!」
有無を言わさず昆虫採集用の麻酔薬を大量に注入してから、
「マリア取ってきたか?」
「Yes・Dr・カオス、多摩から・持ってきました」
そして東京都庁備え付けのオカルトグッツを使い霊的処置を施す。
「霊的処置か。この蛍を化け物に変える、えげつないが仕方有るまい」
手段に貴賎を問わないカオスがここにいる。
実際の細かな作業はマリアにタッチした。
「こーゆー事はお主のほうがよかろう」
久方ぶりの就寝である。
「Dr・カオス、Drカオス」
「おぉ、マリアか手術はどうだった?」
「成功・しました」
「そうか」
一応の点検をした後に今回の隊長美神美智恵隊長がやってくる。
「こんにちわ、Drカオス。どうですか?蟲娘達は」
「これは久しいな。隊長殿、自ら死を選ぶ事は無くなった、だが」
「寿命・・・ですか」
両手を頭に載せて、
「こればかりはな。かのアシュタロスが死んだと仮定したら生き延びれる可能性は有る」
「と言うと?」
「つまりな。彼女等がアシュ無しで生きとると言う事は呪縛から抜け出せてるのやもな」
「でも、それは単なる幻想では?」
「かもな。まあとは神のみぞ知るよ。一応成長を促す細胞に抑制剤を使ったからな」
俺の治療はこれまでだと倒れるように言った。

これがその後、ICPOの記録には、
「ドクターカオス等の治療により、彼女達の不安要素は取り除かれた」
という一行しかなかった。
-FIN-
        

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