ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 巻之拾六 


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 3/ 5)

「風炉努留は逃げたか」
「まぁしゃーないわぁ。アレだけの混戦だったさかいな」
「そうですな。忠夫殿」
「あんさん、耳に息吹きかけんといてや」
やはり、何処かずれている関であった。ちょっと後、
「家老毒田薫栖・こちらへ・来て・ください」
納屋からカラクリ人形の毬亜が声をかける。外にいた奉行西条と比延蕩がすぐ反応して、
「どうした、毬亜!、なにか見つけたのかな?」
先にきていた奉行が様々な道具を手に取っていた。
「あ、家老様これを」
「なんじゃ?奉行殿、ほーこれは魔道具じゃな、おぬしの持っている奴もな比延蕩殿」
「というと、これがすべて呪術やらにつかう物でございましょや?」
「うーむ。全部ではないな。特にこれなんかは」
関がその妖しげな物体の一つ懐紙を使って掴み、一瞥すると、
「おそらくこれは地獄からの力を取りこむ道具ですな。こんな物よく見つけたな」
「はい、私の力、霧になって奥を探したので御座います」
「そうか、ご家老、これは魔術の研究対象になりませぬか?」
「そうじゃな、関・・これだけではない、すべてが魔界の物じゃな、毬亜全部回収じゃ」
「了解・しました・家老pイ」
「それとな、子妖怪の鈴女、ぬしに頼みたい事があるのじゃ」
と何事かを話していたのち、
「解ったわ、じゃあ先にね」
と、良い返事が帰ってきた後、一人先に町へ戻っていった。
母屋では未だに泣いている小笠原流祈祷師エミに鼻紙を渡している氷室屋忠夫であった。
長老格の毒田薫栖の帰参じゃという一言で家路に向かう事になるが、
「おい、エミとやら、今日も我が家にくるか?」
と聞くと、じゃあお願いするわけと涙ながらの返事であった。
美神藩大通での戦いも最後の一鬼が秋山小兵衛に倒されてようやく終りを告げたが、
「この穴が気になりますが、今日は日も落ちました、終りにしましょう」
と、小竜道場のおりゅうがこの場を占めた。と其処へ、何者かがやってくる。
新手か?と雪之丞は抜刀したが、
「待ちんしゃい、あれは魔鈴屋の子妖怪じゃー」
「さっすが、寅吉さん、目は確かね、えっと毒田薫栖さんからの伝令でね・・・」
と皆に話しをすると、
「あい解った、では比較的に自由に動けるも者はそちらに向かおう」
秋も深まる美神藩の日は完全に落ちてきたが、睡眠の時間にはほど遠かった。
特に夜の商売とも言える花町(遊郭の別称)はまだ本格的な時間とは言えなかった。
「く、あのタコ坊主も口ほどでもなかったわね。どうする勘九郎?」
「おまかせ下さい、芽道邪様、次の手は打って有ります」
「ではもう少し、ここで待つか、ほほほほ」
「ふふ。ふふふうふふっふ」
二人の悪は忍び笑いをしていた。
毒田薫栖一行が町へ戻ったのが半刻(一時間)であった。
「タエ、今帰ったぞ!」
「おかりなさいませ上様。時にお客様は?」
「うむ。取りあえずは昨日から食客になっている・・」
「奥方様。もう一宿よろしゅうおねがいします、なワケ」
これは御丁寧にとエミを客間へと案内してから、旦那に茶を出す。少々神妙な面持ちで。
「あの上様」
「何かな?タエ」
少し黙った間に薫栖茶で口を湿らせてから、
「あの、エミなる娘が気に入ったか?」
自分の言いたい事をここまで素直に理解してくれるとは、と驚く。
「エミ殿次第じゃな。どうじゃ?すぐ傍にいるのじゃろ?」
「あの、ワタシはこの通り普通でない生活をしているワケ、御迷惑になるかと」
「立ったままでは話しが難い、此方へお座りなされ、タエ茶の用意を」
はい、と言ってからタエは古式作法で席を立つ。
「ワシも反対は無い、存じての通りわし等はには残念ながら子は無かった」
「はい、そのように御見受けします・・ワケ」
「それでな、近年養子をと思うていたがまぁこれが巧くは行かぬ」
元々毒田家は家老職につける禄高の家では無い。この職も一代限りなので、
あまり養子の話しはなければ、有っても毒田家に馴染める者もいなかった。
「お主も敵討ちをするが為に祈祷師なぞをやっていたのであろう?」
「・・よくお解りに」
かか、と薫栖が笑った時に、タエが茶を運んでくると、
「ほほほ。貴方様の立ち振る舞はまさに武家の女性、このタエにはみやぶれませぬぞ」
「正直はワシも見破れなかった、流石はタエじゃ」
「買い振り過ぎで御座います、上様」
ころころと口元に掌を宛がって軽く笑うと、
「上様よりも、私の思いで御座います。貴方様がよければ我が家の子として迎えたく」
エミは最後の言葉を聞き取れなかった。不覚にも泣いてしまったのだ。
「まぁ無理強いはせぬ。よく考えてから結論をだしてほしい」
といった瞬間、エミも毒田薫栖もそしてタエも顔付きが変わった。
「何処にいるのじゃ!風炉努留!エミ殿タエを頼む!」
大音声のpイの声に反応づるが如く地下から声が聞こえてくる。
『さすがよの、毒田薫栖。お主が持っていった道具返してもらうぞ!』
と小さいな声が段々と大きくなるにつれて、
「危ないワケ!庭に!」
とエミはタエを庇う様に外へ向かい、毒田薫栖は毬亜を使って空を飛ぶ。
家が崩れる音がした後に、同じく空間に浮かんだ中年男、風炉努留がいた。
「ご家老殿、流石でござったな。我が企みもう取り返しはつかないわ」
「我が家へようこそ、自席家老殿、お主には主らしく切腹を願うがな」
懐から短剣を出して、風炉努留にほおりなげるが、両手は互いの手の裾にいれたままだ。
「ふ、ここに現れたのは主とその祈祷師だけからよ、お主らだけではかてまい?」
余裕の顔を見せるが、
「何故わし等だけと思うた?」
不敵な笑みを見せた毒田薫栖がさっと手を挙げると、庭の木々が震え出す。
「この魔道具をこの屋に持ってきた以上お主が来る事ぐらい予測はつくわ!」
毒田家の庭には、美神藩由来の者が武士町民問わずいたのだ。
令子姫に、奉行西条、筆頭関、同心比延蕩、浪人雪之丞にお弓、町人の寅吉ににおまり、
それに犬の麻呂も役者の銀公から借りてきた、
「なんたる事よ!この風炉努留が手玉に取られるとはな!」
怒りに満ちた赤い顔をつくる、風炉努留に対して、
「へん、強がりは止めときな、自席家老さんよ!」
伊達雪之丞の兆発であった。更に目を怒らせているのが令子姫だ。
「父上だけに限らず、わが妹ひのめにまで刃を向けた重罪人、この令子姫が許さぬ!」
今にも食ってかかりそうな勢いであった。
突如風炉努留は笑いだした。
「は、はははっはああ!くそーこうなっては仕方がない、我がおぞましき本性・・・」
というや否や空中に静止した努留の身体は歪みだして、
「我がおぞましき姿に慄くがよい!!!」
本性である蛸の化身へと戻った。
「ふふふ!声にならぬか。そうともこれこそが我が本性悪の象徴よ!」
だが、
たしかに欧州なら蛸は悪魔の象徴だ。だが、ここは日の本の国である。
更に美神藩は最初にも書いた通り甲州街道沿いにある山中にある石高上は小藩である。
山の珍味は腐るほどある。だが、海の物は江戸時代の事美神藩では破格の値が付く。
と、言う事は、
「おいしそー」
「うう。醤油をつけて、あの足をくうてみたいのー」
「あぁ!!なんて大きな海の珍味だ!」
「こいつ食っても大丈夫かな?是非公彦父上にも食させてあげたいわ」
(と、東洋人の感覚って??)
いや、日本人の感覚って言いなおしましょう、風炉努留。
当初は異様な視線に怯えたが、気を取りなおして、攻撃に移ろうとした時、
「みんな!木陰に、氷の刃の攻撃よ!」
令子姫の声が凛と響く、もう、攻撃も止められない。
土を盾に使う寅吉一行に、剣を使う西条や雪之丞、霧になる比延蕩である。
令子姫も攻撃の裏側に付いている。
「な、何故だ?」
訳も解らぬが、次の落雷を召喚した時に、
「鉄器を離して、落雷よ。次におまり、あんたが力いっぱいなぐらいなさい」
剣を持った者は手放した時に落雷があった。そして後頭部におもいっきりの攻撃を食う。
「な・・・!」
「そう、私の最大能力は未来を見通せる事、本来なら最初の氷で半数は死んでいたわ」
得意満面の令子姫である。
「な、なんだと?」
驚くのは無理もない、次々へと令子姫は指示を出す。
「今度は幻覚を出すわ。寅吉先になんでもいいから出しなさい!」
「了解!」
と海岸の風景を映し出すと、懐かしいのか風炉努留、攻撃の手をやめてしまう。
その隙を逃す令子姫ではない。
「西条、雪之丞、関、あんたたちの位置から斬れる足を切って!」
この命令は風炉努留にとって致命傷である。攻撃が出来なくなるからだ。
「し、しまった」
言葉通りに六本の足を切断した後、残った足の一本を高く上げた時に、
「おゆみ、薙刀!」
「はい!」
おゆみも薙刀で一本足を切る。
涙目の顔に
「WOOOOOONN!」
と、麻呂の遠吠えが炸裂するので泣きっ面に蜂を地で行ってる。
「ぐあーー!」
再生するとは言え、本人にはいたいらしい、最後の足も令子姫の霊刀で切断される。
「くそぉ!戦略的てったいだー!おぼえてろぉ!」
おさだまりの負け惜しみを言った後、登場した穴に戻ると、
「エミ、比延蕩、出番よ!」
なんと、令子姫の命を受けて穴に隠れていた二人であった。
二人合わせた霊波動で断末魔も無く、消え去っていったが、
「これで・・・おれは・・・おわらん!、覚えてろ、毒田薫栖!」
と捨て台詞をいったとか。
流石に緊張を強いた戦いも終わると皆、ほっと一息をつく。
「やれやれ、終わったか、それにしてに我が家は台無しじゃな」
「はい、上様」
「おぉタエ無事であったか。よかったよかった」
何処までも愛妻家の毒田薫栖に養子の話しの有るエミも悪い気分ではなかった。

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