ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 巻之拾五


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 2/22)

風が舞った。
雪之丞の構えが少し下がった隙であった。
「とやぁあ!」
猛虎の如く鎌田勘九郎は剣を斜めに構えて突進する。
「甘い!」
と、叫び態勢そのままでムササビがごとく、身を翻したのだが、
影から何者かが烏の如く現れ抜刀して雪之丞を狙う。
「きゃぁ!」
おゆみ(弓かおり)が間に合わず己が手を目に当てた瞬間、刃なりがする。
「ほぉ、貴様は昨日の辻切り殿か」
雪之丞も怪我を覚悟したと回述した瞬間に助っ人が現れた。初老の小男である。
「貴方様は?」
「話しは後じゃ!主はこの辻斬りを相手せい!」
「はい!」
雪之丞、今度は辻斬りの犬飼穂地(ポチ)に剣を向け、背には無外流剣客の助っ人だ。
先程の刃の鳴り響く音を昨日秋山夫妻が宿泊した旅篭『魔鈴屋』から聞いたという。
「貴方は何者?御爺様」
「わしは江戸の老剣客で秋山小兵衛、よくは解らぬが貴様も邪剣を振るっているな」
「剣に清濁なんか有るわけ?大人しくしていれば、怪我なんかしなかっただろうに!」
背では
「おい貴様も一連の騒動の一味か?」
「ぐぅ、そうよ、俺の名は犬飼穂地だ、暗殺が主な仕事だ」
「俺が退治してやるよ」
雪之丞が弓から放たれた矢の如く敵に剣を向けたと同時に、秋山小兵衛も斜めに飛ぶ。
辻斬りの犬飼は一度だけ雪之丞の剣を下に弾くが、向きが不味かった。
「貴様もこれまでよ!」
上に擦るように刃を動かすと、首の付根まで持っていき鋸を引く要領で剣を使う。
「ぐが、ま、まさか!」
いくら魔物といえど、頚動脈を持つ者がこの攻撃で生を持つことも出来まい。
秋山小兵衛も小柄な体で鎌田勘九郎の横を擦り抜ける。
「何?何処にいったの?」
勘九郎も流石に剣客だ。勘により左に身を寄せるが、剣の刃が右手に当たる。
「ぎゃ!」
鋭い剣の勢いで勘九郎は右手の肘よりしたが無くなっている。
「・・覚えてなさい!!」
煙幕で逃げた後、腰を抜かしているおゆみであった。
「済まぬ、秋山殿。命を助けられました」
「いやなに。剣を流をみると御主も小竜道場の者じゃな。わしは秋山小兵衛という」
「これは、拙者は浪人伊達雪之丞ともうします。そして向うは」
許婚だとおゆみを紹介した。
「それにしてもこやつ等は人外の存在かな?いや珍しい事ではないがな」
「はい。どうも美神藩は悪鬼に狙われているようで御座います」
「そうか、まぁワシは小竜道場に身を寄せる手筈になっておる、時に」
「では、私が御案内いたします」
それにしても、
あれだけの修羅場の中で他人の剣技を見定める余裕があるとは。
上には上がいるのだと雪之丞は今更ながらこの老人に寒気を覚えたと言う。

その後、大通でおりゅう(小竜姫)が立ち回りしている事を発見して、
「わし等も手伝うかな?雪之丞殿」
「承知!」
と、大通りの魔物もすべて一掃が出来た。丁度令子姫一行もその場に辿りつく。
「大穴があいてるのー」
力尽きたと寅吉はその場にしゃがみこんでしまった。
その大穴から奇妙なうめき声が聞こえたのはすぐ後であった。

さて、西片に向かったのは街奉行一行の西条・武等都・関の3人である。
「御奉行、このあたりに悪鬼がいるもようですぞ」
「何処にもいないぞ?関」
「しかしながら、この悪鬼が申しております」
「あのー、関様?」
「出る前に和尚殿からこの鈴女を借りてきたのじゃよ」
『呑気にしてる場合じゃないわ!近くにいるのよ!』
しかし、3人には殺気も感じられないかったが、
『近くにいるのよぉ!』
なにか、怪しむ目で鈴女をみる3人であった。其処へ何か小さいものがやってくる。
「悪鬼の類か!」
抜刀する3人が見たのは小汚い犬であった。
「あ、麻呂(マーロウ)」
この辺りは歌舞伎役者が住む町ある。どうやら悪鬼を感じた麻呂のようだ。
声をだした武等都比延蕩の目の前で疾走を止めて近くの匂いをかいで、
『ワン!』
と魔力の篭った遠吠えで何も無い空間を狙ったかと思ったら、
「あれ?空間が歪んでおりますぞ!」
驚く3人の目の前にそこから火事から逃げるかごとく鬼のような奴が現れる。
「そこにおったか!」
敵が見えれば剣を振るう3人である。
なかなか剣に慣れてるのは奉行の西条だ。
「やっ!」
気合声一つだけで、鬼の一匹を真っ二つにした。
関も紐に霊力を使い捕縛技の要領で首を締めつけてからひらりと手頃な枝を越えて、
「関式、縄術首吊りキュー」
ふざけた技だが、致命傷は必至であった。
声も挙げられずにあの世へいってしまった。
最後の一鬼も麻呂と武等都の二人の息があったのか、追いこまれた瞬間に、
「えい!」
と、初めての剣を振るうもかなりの成果をあげた新米同心であった。
「ふぅ、ここはこれで終りかな?」
「他の部分に参りましょう!」
武等都が拳を振り上げた時、カラクリ人形の毬亜(マリア)が現れて、
「この・先に・自席家老と・死津喪比女が・いる・いそいで!」
「ではそっちにいくぞ!」
「はい」
『ワン!』
『めんどくさーい!』
最後のやる気の無い声は鈴女である。
美神藩、西片にある山の裾野で家老の毒田薫栖一行と奉行所一行が顔を会わせた。

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