ザ・グレート・展開予測ショー

横島危機100発(残り90)


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 2/21)

 排水溝から川の本流へと流れ出したものの無事水の流れから脱出した横島は、河川敷とは名ばかりの砂だまりの上で焚き火をしている浮浪者たちの輪に紛れ込み服を乾かした後、再び自宅への道をたどり、どうにか駅のプラットホームにたどり着いたのでした。

「しかし不幸中の幸いだな。ジーンズのポケットに千円札が入ってて良かったぜ」
横島はポケットの中に入れた切符と残り少ない現金を確認しながらプラットホームで電車を待っていた。
「・・・しかし不幸が続くぜ・・・あの話どうやら本当だな。そうすると残り90回は不運が続くってことか。しかし待てよ、ポケットの中に金があったってことはもう打ち止めなのかも知れねぇな。なんせ美神さんのところに勤めていればあの程度の不運、ダース単位で降りかかってくるしな。不幸の前借ってのもありだろう」
そう考えるともう何も起こらないように思えてくる。
「そうだ、仕事と思えばこんなもんたいしたことねぇや」
だいぶ気が楽になり、何でもこいという心境になってきた。
「そう気張ってもしょうがないか。とりあえずベンチにでも座って電車を待とう」
辺りを見回し、ベンチを探すとそこに腰をかける。

ぬちょ。

「ぬちょ?」
と、背中と尻にいやな感触がした。
「あ、兄さんそこペンキ塗り立てだよ」
とその時背後からおばさんの声がする。
「え、うわぁ!!」
横島はそういわれてGジャンの背中部分を見る。するとそこにはべったりと赤いペンキが付着していた。横島は驚いて慌てて立ち上がる。

どん。

すると前にいたがたいの良いやくざ風のおっさんにぶつかってしまった。
「いて、おい気ぃつけろっとっとっと・・・うわぁ」
しかも不運なことにおっさん、足を骨折していてバランスが取れず、よたよたと倒れこむように前に進むとプラットホームから落ちた。
「・・・」
横島は目の前の惨劇に呆然とするしかなかった。とそこにおっちゃんの部下らしきちんぴら集団が駆けつけてくる。
「大増の兄ィ、大丈夫ッすか!!」
「てめぇだな兄ィを突き落としたのは。ぁあ?」
「おいてめぇ、ちと事務所まで来いや。わびぃ入れさしたるからよぉ」
「東京湾かぁ、それとも北海道で熊の餌がいいか?あぁ?」
横島はあっという間に四人に捕まり、二人は両腕を、一人は胸倉を、一人は背後から首に腕を回し匕首を出して首にぴたりと刃を押し付ける。 
「・・・なんで・・・なんでこんなことになるんだぁ!!!」
横島は数秒間、じっと立ち尽くした後形振り構わずに叫ぶと、普段の彼ではありえない力でチンピラを振りほどき、プラットホームを駆け抜け、おっさんが落ちたのとは反対のホームからきた電車に駆け込もうとする
が結構混雑していて入り口で女性に当たってしまった。
「・・・」
結構きれいな女の人である。その人の胸のあたりに手を触れてしまった。
(落ち着け忠夫、興奮するな、一言謝ればいいんだ)
女性の白い視線に横島は思っていることとは違う言葉を吐く。
「いいおっぱいですね」
「そうぉ、坊や可愛いいしおねぇさんサービスしちゃうわよ?」
体をくねらせウインクする彼女を見たその瞬間横島の体が硬直した。
「その野太い声わ・・・、あんたオカマだな?やめろ気持ち悪い!!!」
「気持ちわりィだこのくそがきゃぁ!!!」
「うぎゃぁぁぁぁ!!!」
禁句を言った横島、逆上したおねにーさまに必死確実の金的げりを食らい、悶絶する。
「この美しいあたしを気持ちわりいだぁ?死ね、死んでしまえ!!」
更に五、六発立て続けに金的をけられる横島。ぴくぴくしていると再びチンピラどもに捕らえられる。
「ありがとうねぇさん、助かったぜ。今ど店ぇ行くからな!」
「サービスするわよ?」
「わりぃ、俺女房いるから勘弁な?」
「んもう、いけずぅ」
そこまで話すとドアが閉まり電車が発車していく。不自然に笑って見送るチンピラたち。
「やっちゃんがオカマ相手に営業スマイルかよ、くだらねぇ」
「やかましいや、このど下道が!!!いまのねぇさんはこの街の繁華街のトップだぞ。よくテレビに出てるだろうが。ッたく最近のガキは教養がねぇ。あ、兄ィ」
「おう、兄さん。てめぇのやらかしたことにわびも入れずにトンズラたぁ、どういう用件だ、言ってみろぉ!!」
「う、いや、あの」
大増と呼ばれているやくざのおっちゃんににらみどやされて横島はちびりそうなぐらいびびっている。
 この程度の連中ダース単位で退治できる自分の力を恐怖のあまり忘れてしまったらしく、ただ口篭もりうつむいてしまった。
「つれてげ」
それを見た大増はチンピラどもに横島を連行させる。

駅前のロータリーまで引っ張ってこられた横島は、大増が待たせてあったベンツの前までつれて来られていた。
「乗れこらぁ!!」
チンピラの一人が横島の腹を思い切り膝で蹴り上げる。
「うぐぁ」
横島はもろにみぞおちに膝をもらい、よほど腹が減っていたのかうめきとともに胃液だけを吐き出した。しかもそのままぐったりとして気を失う。
「あれ、おいしっかりしろ、・・おいうごかねえぞ、あ、息してねぇ!!」
その直後けりを入れたやくざが、そう叫ぶと大増を見た。  
「ち、まじいな・・・かまわねぇ、そこに捨てておけ。俺たちはこんなガキしらねぇ、いいな」
「へい!」
チンピラは言われたとおりその場に横島を投げ捨てると車に乗り込んだ。車はそのまま発進していく。

「ぐは、ごはぁ」
それから数秒して横島は目を覚ました。ベンツもやくざももう居ない。
「助かったぁ」
胃液を服の袖でぬぐいながらふらりと立ち上がる。
「ほんっとついてねぇな!」
苛立ち紛れに足元にあった一斗缶を蹴る。

がんがこんがこん・・・こっちんこっちん・・・・・。

するとその宙を舞った一斗缶から時計の針が回る音が聞こえてきた。
「なんだなんだ?」
横島は無造作にその缶に近づいていく。
「何の音だよ・・・」
一斗缶を見てみると底の方にガムテープがびっしり張ってある。
「なんだこりゃ」
横島は興味本位でそのガムテープを剥いだ。すると一斗缶の底はきれいに切り抜かれておりその中にはテレビドラマか何かで見たようなものが・・・。
「これって・・・」
大当たり。

こっちん、こっち・・・・どばぁぁぁぁん!!!!

爆発と爆風の後、そこにはギャグマンがそのままの真っ黒な姿で立ち尽くす横島がいたのだった・・・。

続く。横島残り86不幸・・・

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa