ザ・グレート・展開予測ショー

横島危機100発(残り97の巻)


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 2/19)

 横島は天井を見上げながら己に取り付いた不幸を呪っていた。
「なんでんな目に・・・」
むくりと上半身だけ起き上がり、後頭部をさすりながら、じろり、と唐巣をにらむ。
 唐巣は目線を合わせないようにぎぎぎぃっと横を向く。やっぱり後ろめたいのか、それとも後が怖いのか・・・。
 横島、一見スケベだけに見えそうだが、執念深さも超一級品である。
「死んでもおとなしく成仏するのよ?」
美神はけたけた笑いながら言う。
「死んでも死ななくても絶対ひーひー言わせちゃる・・・・」
そんな言葉に対し筆舌に耐えない形相で恨み言を吐く横島。さすがに美神もぞっとしないのか、
「おキヌちゃーん、たまには朝ご飯作るの手伝うわ」
とソファーから立ち上がりキッチンへ引っ込んでしまった。
「お、おい美神君・・・、よ、よこしま君、私が悪かった、すまん、勘弁してくれ」
美神が立ち去ったのが作業が終わってほっと一息ついたときで、顔を上げた瞬間そんな横島が目の前に立っていたものだから思い切りうろたえる唐巣。
「いいんですよ神父・・・、どうせ美神さんに吹き込まれたんでしょう・・・」
横島はこれでもかというほど引きつった笑みを浮かべ、ゆらりゆらりと廊下へ出て行った。
「ああ、神よ、この不幸な少年の心を救いたまえ・・・アーメン」
唐巣はその後姿を見ながら十字をきる事しか出来なかった。

 「とりあえず、家に帰ろう・・・。あのくそ女はともかくおキヌちゃんやシロやタマモまで巻き込むわけにはいかないからな・・・」
事務所から出た横島はとりあえず家に帰ろうと駅への道のりを歩き出した。
 しかしなんともいえない気分である。
 ボール1つでいきなりぼこぼこである。文字通り不幸のどん底へ突き落とされた感があった。
「そういえば何も食ってないな昨日の夜から。ん?」
空腹感を感じたちょうどその時、缶ジュースの自販機が目に飛び込んできた。
「とりあえずコーヒーでいいや・・・っと財布さい・・・だぁぁぁぁぁなんじゃこりゃぁぁぁ!!!」
財布を取ろうとGジャンのポケットに手を入れた瞬間、財布が入っていたはずのポケットの底に大穴があいているのに気付いた。
「いつの間にこんな大穴が・・・」
横島はGジャンを脱ぎながら辺りに財布が落ちていないか探す。
「くそ、まだ事務所から出て50メートルだぞ、出てくるときには入ってたんだ、どこかにあるはずだ・・・・ん?」
きょろきょろと見回していると、どこぞのガキが横島の財布を物色している。
「なんだよ、折角拾ったのに500円しかねーじゃん・・・」
中学生だろうか、制服を着た小柄な少年はその500円だけポケットにしまうと車道に財布を投げいれる。
「あぁぁぁぁぁ!!!写真入れの中に5000円入れてあるんだよぉ!!!!」
「え、わぁぁぁごめんなさいごめんなさい!!!」
 その背後からの叫び声に振り向いた少年は、必死の形相で迫りくる横島の迫力に恐れおののき、500円を横島のほうへ投げつけると脱兎のごとく逃げた。
500円玉はなぜか歩道で跳ね、車道に飛び込んでいくと時速100キロ近くで突っ込んできたフェラーリのバンパーにあたり突進する横島に向かって反射する。
「ぐぁ!!!んなばかな・・・」
銀色の固まりは何とそのまま横島の眉間に直撃、横島は衝撃で軽い脳震盪を起こしたのかふらふらと後ろへ後ずさる。
「あ、あぶねーぞに〜ちゃん!!!」
その時向側から走ってきたジョギング中のおっちゃんが横島に向かって叫ぶ。
「え・・・んなぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・」

・・・ぼっちゃん

その直後、その場から横島の姿がかき消え、声も聞こえなくなった。
「あ〜あ、あぶねぇっていったのに。確かこの下ぁ排水溝だぜな・・・死んだなこりゃ」
おっちゃんはマンホールに消えていった横島を心配しつつ、何事もなかったかのようにパイロンを戻すと誰に言うでもなく走り去っていった。

「はひぃ、ふぅへぇ・・・」
マンホールへ落ちた横島はというと、不幸中の幸いか、運良く鉄柵に引っかかり無事排水溝を脱出、全身ずぶぬれになりつつもマンホールを這い上がっていた。
「くそ、ったれ、何で、こんな目に、あうんだよ、と」
四肢を壁面に突っ張り、じりじりとあがってくる。
「なんで、はしごも、ないんだよ、と、くそ、もうすぐだ」
深い竪穴を登りきり、顔をひょっこりと出す。
「ぷはごぁぁ!!!」  
と同時に何者かの爪先が鼻っ柱を直撃!!2メートルぐらいずり落ちたところで何とかふんばりなおす。
「誰だ!!くそ手がずるずるだぞ!」
値だらけになった手にバンダナを巻きながら、ふたたび、今度は一気に駆け上る。

「ん・・・いま先生の声が・・こっちでござるかぁぁぁ!!!」
横島を探していたシロが足元に違和感を感じ、更に横島の声を聞いて踵を返して再び走り出したその時。
「誰だぁ、こらぁぐへぁ!!!・・・またかぁぁぁいぃぃぃ・・・」
再び顔を今度は肩まで出した横島、今度は膝を食らって再び深い縦穴に落ちていく。 
「どこでござるぅぅぅ!!!!」
シロは今度は膝に違和感を感じたが、意に介さず猛スピードで横島を求め走り去っていった。

「がぼぼぼ・・・ぜってぇ生き残ってやるぞがばがぼ・・・」
横島は落ちたと同時に突如襲ってきた鉄砲水に押し流されながら決意を新たにしたのだった。

・・・不幸終了まであと90不幸・・・続く。

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