ザ・グレート・展開予測ショー

過去独白(小笠原エミの契約編、時に10歳)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 2/17)

まぁ仕事の後の一杯は何物にも変えられない程の美酒なわけ。
それが、一流のホテルとくれば、問題なしね。
あら?マスター、こんなの頼んでないわよ。
「あちらの方からです」
またか、ハンなナンパ目的ならやめた方が無難なワケ。どうしてもというなら。
これからの話を聞いても口説く積もりがあるなら止めはしないわ。
10歳の時両親が死んだ。叔母に引き取られたワケ。
でも叔母は病気だった、アルコール中毒症。
身の安全を最初は警察を頼ったんだけど。
「あのー。オマワリさ・・・ん」
「またお前か、いいか帰れ、今はイヤかもしれないけど」
「いや、あのオバハン私を鞭で打つんだもん!」
「おおかた、お前が悪さしたんだろ?いいから帰れ、ここは子供を預かる施設じゃない」
「でも!」
ま、中には同情してくれる府警さんもいた。でも法の関係で匿うのは無理。
いつもどおりに叔母に連れられて家に帰るワケ。
「またあんたは勝手に外にであるいて」
「やめてよ、酒くさい」
そう、私の叔母は中毒者だったってワケ。素面でも怪しいケド。
「・・・お仕置きね」
そういっては棒だの紐だので私に鞭打つワケ。今での腕に傷が残っているわ。
とうとう叔母とはそりが会わず家を出た。
さぁここで問題。小娘が一人で生きていくにはどうすればいいでしょう?
答えは私には霊能力があってね。
最後に警察へ乗りこんだときだった。その警察所に公安の人がいた。
「では、この容疑者をお借りします」
「お気をつけ下さい。オクムラさん、こやつは霊能力者ですから」
「そんなの僕もしってるさ。ほらいくぞ」
そう、この連行されていた男こそが、私の最初の師匠になるワケ。
「オクムラさん、ちいと待って下せぇ,霊能者の匂いがしますぜ、なぁベリアル」
『キキ、するする、女の子の匂いだキィ』
「女の子、この色黒の?」
この警察署の人が気づいて、
「あー、また来たの?エミちゃん、何度も言うけど」
私が何も答えないでいると、
「へー、この子自分の霊能力に気づいていないクチか。面白い」
「面白い?って何が」
「それはいいさ。それよりエミちゃん家出するんだって」
「そうよ」
私はこの容疑者って男に素直に言ったワケ。
「オクムラさぁん、この子を引き取らせてくれ。なーに餓鬼の身体に興味はねぇよ」
「おい、調子にのるなよ、貴様は所詮」
「いいのかい?ベリアルを発動させるぜ」
「・・・・くっ、判った」
公安のオクムラは、私がこの容疑者の下にいる事を望んだ。私も家出がしたかった。
この人が最初の私の師匠さ。
ま、生活はまともになったワケ。師匠も酒を浴びるけど、私には手を出さなかった。
この師匠が最初に教えてくれたのが、呪いだったワケ。
「いいか、エミ。呪いは人類創生以来ありふれた言葉の暴力だ」
「何をいってる?」
「まぁ聞け、この素晴らしい呪術を使える人種は多くない、だがお前ならつかえるさ」
「ほんと!お師匠様」
「あぁ、これから私が教える事をよっく、覚えるのだよ」
『キキキッ!、そんなコトを教えるのキィ?』
これが悪魔ベリアル、最初私には可愛く見えたわけ。
「こいつが可愛いか」
『ギギェ!これは恐れ入ったぜエミよ』
「お前は黙っていろ、契約があるからな!」
「契約ってお約束事って?」
師匠はそうだと言ったきり、ベリアルについては何も言わなかった。
それから、私は人を呪い殺す技を見に付けるコトになった。
「じゃぁお師匠、この粘土人形を殺傷目標に見たてて」
そして、呪詛で魂の一部を引き抜いてから相手を心臓麻痺に見せる技をならったワケ。
え、殺し?まだ時効じゃない事件もあるわけよ。言えないね。
たしか半年後には仕事をしていたわ。
『ギャギャ!よくやった、エミえらいキィ』
「あんたに誉められても嬉しくないワケ、ベリアル」
『そう邪険にいうなよエミ。俺は次ののり代にお前にキィめてんだから』
「・・エミ、無駄口をたたくな。撤収するぞ」
「はい、お師匠様」
「ベリアル、貴様は俺の代で始末をつけてやる」
『ギャギャギャ、無理無理無理無理!!』
最初は可愛いっておもってたけど、この頃になると無気味に思えてきたワケ。
で、かのベリアルを私が受け継ぐときが来たってワケ、
あれは忘れもしない、ある依頼だった。師匠は電話を切った。
「師匠、又公安の人から?」
「そうだよ。お仕事だ。いくぞ、エミ。ベリアル」
『おい、契約は残りは八年、もしくは願い事99回覚えてるな』
「あぁ」
『もう俺は97回叶えてやったギィ》
このどす黒い言い様に流石の師匠も冷や汗かいていたワケ。
契約って聞いても何でもないという師匠だったわけね。
私質が向かった先はある倉庫だったワケ。
「ここから、あの船に乗っている客を狙う」
「はい、師匠」
だが、この倉庫が食わせ物だった。
「師匠、私なんか寒い」
「なんだと!まさかここは!」
《お待ちしておりましたぞ、警察の狗め!》
「待ち伏せか!」
《はぁい、ここの倉庫にいる雑霊は私の思うまま動いてくれます》
当時一人では何も出来ない私に不意を付かれた師匠。ううん、足手まといわ私。
「きゃぁ!」
《先ずはそちらのお嬢さんから。殺しはしません、身体でかせげるでしょうから》
「師匠助けて?」
《おや。この子まだ汚れていない。紀要良しだ。高くうれるぞ、もうけたなぁ》
「こぉの、外道!」
普段クールな師匠が身体から震えを起こして
「ベリアル、98回目の令冥約条項第二条第七項」
『我に13秒の自由を!』
《何?低級霊の癖になんだ!!》
普段はグータラなベリアル雑霊に敵を平らげるまでにほんの数秒だったわけ。
『あと6秒、貴様なぞ相手にしない。こっちだキィ!』
私は悲鳴をあげたワケ。だってあんな恐ろしいのが。
「エミ!危ない」 
師匠は猛スピードで私をかばってくれたワケ。
「師匠!」
「大丈夫か、エミ、貴様そっちを狙うとは!」
かばってくれたけど、ベリアルの牙が腹につきささってたワケ。
14秒目にはいつもの黒い影になって伸びたベリアルだったワケ。
「師匠、大変お医者さんに」
「・・・ばっか、俺のような闇者をみてくれる医者なんていねぇ。それにしてもよぉ」
「そんな」
「おれもさ、一昔前は普通にくらしててよ。娘までいたんだぜ、ゴホォ!」
吐血。もう助からないと思ったワケ。師匠は最後の力を振り絞って、
「・・ベリアル、99回目、契約最後の令はエミにとりつけ、だ」
『ギャ!』
「師匠、こんなの要らないよ!それよりも元気だして、師匠、師匠」
「・・涙はいい・・さ。さらばだ・・・エミ・・」
『とうとうこいつも事切れた,キャ。まぁあと八年、新しい主人はエミってワケギャ』
私はこの子悪魔の言う事を聞くしか生きていく道はなかったワケ。
どぉ?まだ続きがあるけど、聞く勇気ある?
ふふ。それで正解よ。もっと普通の女の子口説きなさい。あらマスターこれは?
「私からです。カクテルの名はブルー・ヒストリー」
「『ブルーヒストリー』、淡い思いで、か。甘いカクテルね」
「本来はそう言うものでございます。時に続きとは?」
「ふぅん、もう一杯最初のカクテルを貰える?『ブラッティー、マリー』を?」
「かしこまりました」

      -後編に続く-

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