ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 巻之拾参


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 2/17)

唐巣寺では、避難してきた人々の治療を施すのが和宏和尚だ。
「大丈夫です、これは擦傷ですよ。権三郎、包帯を」
「へーい、あ、おっしょさま妖怪変化が」
氷室屋夫妻が逃した一人が階段を上がってきたが、
「南無!」
の気合と共に消滅してしまった。この和尚も只者ではない。
「毬亜、まだみつからんのか?」
「捜索・捜索・自席家老風炉努琉(ヌル)今だ・見つからず」
引き続き頼むと連絡してから、
「時に小笠原流祈祷師、エミとやら」
「なんなわけ?、家老さん」
「以前、お主の屋敷を奉行の西条が詮索したトコロな」
家老の毒田薫栖が懐から印籠を出して、
「これが見つかったのだ。お主、自席家老と面識が?」
「自席家老?アレが、あの時は魔物がやってきたワケ、それで逃げ出したワケ」
「なに?矢張り自席家老は?」
「妖怪変化ね」
ため息を一つついた毒田薫栖であった。
その頃、西片の離れに身を潜めている元自席家老の風炉努琉はほくそえんでいた。
「くくく、我が知恵で想像されし眷属よ。暴れるが良い」
そして、もう少しでおぬしの出番だと死津喪比女に呟いたとか。

東方に向かったのは令子姫一行である。
「一体どんな悪鬼がいるので御座るかなぁ?」
「見えて来た。あれは、猫のような化け物みたいね」
腰元のおたま(タマモ)は軽い飛行が可能である。
日本での猫の化け物は猫又、尻尾が二股にわかれた悪鬼と相場が決まっている。
「へえ、ぞっとしないわね、でどの辺にいるの?」
「ここより少し北ね」
「あら、イヤだ、遊郭の方向?」
前にも書いたが、美神藩は小京都と奉られているので街区画は碁盤状である。
適当なところで北に進路をとると、一匹は象程度の大きさ、2匹は虎程度か。
「で、でかいでござるな」
「所詮は猫、大きいからっていいもんじゃないわ!行くわよ、おしろ、おたま!」
逃げ惑う連中ばかりの中、三人美人が向かって来るのは歓迎であろう。
『にゃ〜』
虎大の奴がこっちに向かって来る。
「猫ならこれよ、ほーら!」
何時用意したのか、マタタビを懐から出す令子姫。
「何時になく用意がいいで御座る」
「感心していないで。攻撃の準備よ」
特攻隊としてきた化け猫は一瞬躊躇してみさたが、
『ゴロニャ〜ン、ニャン』
と甘え出す始末だ。
「情けない敵で御座る」
オシロ(シロ)鼻っ柱を思いきり拳で殴ると、悲鳴を挙げて倒れてしまった。
もう一匹の虎大の化け猫は、跳躍を使っておたまに攻撃を仕掛けようとしたが、
「猫の丸焼きなんて美味いのかね?」
と余裕で口元を丸めて火を吹く。
呼吸困難に陥りその後顔に怪我を負って、その勢いのまま焼け焦げてしまう。
「やっぱ、うまそうじゃないね。鼠のほうがいいのに」
だそうだ。
急襲で2匹はやられたが、頭を張っているであろう巨大な猫は驚きもしなかった。
『こやつ等は、人間の言葉すら解せぬハンパ者いなくても一緒だが、娘を簡単に』
「あーら、娘さんだったの?大人しく山にいれば殺されなかったのに」
その余裕の顔に流石の母親化け猫も顔を赤らめ、
『せめて、貴様の首で娘たちの供養にしてくれるわぁ!』
その突進に大地が揺れるほどであった。だが、所詮は突進のみだ。
風を柳とひらりとかわした令子姫である。
『やるな!』
「あんたが単純なだけよ」
今度は爪で攻撃してくるが、これこそが待っていた事だ。
令子姫が化け猫の手を狙って霊の剣を叩きこむと、跳躍を見せたオシロが拳骨を
頭に食らわして、バランスを崩す。
最後にオタマが火炎を吐いて、再度の呼吸困難にさせる。
『ギャン、ニャー』
「こら、敵前逃亡とは何事だ!」
これで終わったと思ったであろうが生命力だけはしぶとかった。
方向をくっると変えて逃げ出そうとする。
「しまった!このままじゃぁ怪我人が出るわ!」
なかなかにすばやい化け猫を追って行く三人。猫が角を曲がると其処は遊郭の入り口だ。
やばい、と三人が思った時、
『ニャギーー!』
化け猫の断末魔であった。
「何?だれがあんな奴を一発で?」
急いで角を曲がると、花魁の芽道邪奴が其処にいた。
手に白い煙が立ち上っている。
「貴方がこの猫を?」
「はいな。いやー、こわかったわぁ」
そういいながら、奴は此方を睨んでいる。
「感謝する。助かったわ」
影でオシロが
「こ、こやつが今回の首謀者の?」
「首謀者?なんのことで御座いますかなぁ?」
と、とぼけている。
一時のにらみ合いがあったが、
「では、これであきちは失礼するわ。これから仕事でねぇ」
と、何処かへ消えていく。
「令子姫様。どうして?」
「オシロ、くやしいけど、この人数では危ないわ。急いで他の所へ行きましょう」
オタマが少し飛行して見ると、大通りが未だ混戦状態だというので、
「我々も大通りへ向かいましょう」
そして向かっている途中で小竜道場のおりゅうが助っ人に現れたのであった。

北方も殆ど退治されていたが、夫婦者の二人は完全に息が切れていた。
「はぁ、大変やナー」
「はいなぁ、ウチらちーと、貧乏籤やったやもしらへんなぁ」
たしかに。この時点で悪鬼の死体は40を越えていたが、未だ少し、悪鬼は残っていた。
其処へ和尚がやってくる。
「大丈夫でございますか?オキヌ様、タダオ様」
「和尚、先程はすまなかったなぁ。怪我人は?」
「はい、あの程度でしたら。片手で上も粗方片付きましたので御手伝いを」
「せら、ありがたいなぁ。そや、キヌ、ちいと上にいってな」
「そうでっか。ほなそうさえてもらいます。あとはよろしゅうに」
和尚と氷室屋キヌはバトンタッチの形となった。
「うちのよめはん、霊能力はあるが、持久力には自信がないからなぁ」
「それでも女性としては大健闘だと思われます。さて、残りをやってしまいましょう!」
「ほいきた!」
先ず和尚の呪文で残りの悪鬼も大分吹き飛んだ。だが、一匹だけは、
「くく。きかないねぇ。あたしはこいつ等と違って人工でも質がいいのさ」
「なんやて?」
「まぁ、今更だけど。この悪鬼の殆どは自席家老の作り物さ」
「で、貴方の場合は元からの悪鬼、と言う事ですかな?」
「まぁね、それでも力は貰ったけどさ」
こら、あの悪鬼は操られてるクチやもしらんな、と言うが、この悪鬼肉体の
攻撃は鋭い。よけるのが精々だ。
「おっしょうはんも直接攻撃はにがてなんやな」
「えぇ、離れたところから波動を打つのが私のやり方ですので」
「こらあかん、奥の手や!」
そういって文殊を一つ、その悪鬼に投げつける。
閃光が光った後、この悪鬼の目にハートマークがついている。
「な、何をなげられたのですか?」
「『恋』」
-瞬点-
悪鬼の生き残りが忠夫を狙った時、
「あたしの良い人をねらうんじゃない!」
効果は覿面であった。
「貴方、また悪戯しなはったんやな!。ウチがいてるというのにぃ!」
嫌な気配がしたと石段の途中で降りてきた女房のキヌ、おかんむりであった。
この忠夫の邪法?により恋におちた悪鬼の名は虞螺(グーラー)という、
美神藩近辺の山に潜む鬼であるらしい。
女房のキヌに小言を言われている時に寺から毒田薫栖が降りてきた。
「毬亜が努留の居場所を見つけた、傍受虫のおかげだ。わたしと・・」
「この小笠原流のエミで向かうワケ、それにしてもこんな所で夫婦喧嘩ねぇ」
「お、俺も着いていくでー」
半死半生状態の忠夫に虞螺もついてくるといった。
「貴方様も大変な方を御亭主に?まさか」
「ちがいますえ、和尚様、うちは惚れてあの人とヨリをもったんどすえ」
と言いながら、目は怒っていたとか。

「無外流参の型、剛天!」
可愛い気合声と共に大通りの中央ではおりゅうが剣を降るっている。
寅吉、おまりにとってもとてもたより有る助っ人であった。
多くいた悪鬼も残り僅かだ。
「雪之丞、おそい、気になるわ」
そう言ったのは意中のおゆみであった。
「もしかしたら〜、ほかの悪鬼が〜あらわれたの〜かも?」
少々休憩中の六道屋おめい(冥子)がいった言葉に過敏に反応した。
「あたし、雪之丞を見に行きます」
そういって、薙刀を手にして再度南下していった。

南では今だに動き一つない刺客、鎌田勘九郎と浪人、伊達雪之丞である。
そして、同心組の戦闘も佳境に向かっていった。

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