ザ・グレート・展開予測ショー

未来掲示・別編 (ラプラスの語りX)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 2/17)

そこは一筋の陽光も蛍光灯もない薄暗い部屋である。ある特殊な牢屋だ。
貴方はどうしてもこの鬱蒼とした建物の奥にいかねばならなかった。
=あぁ、ワレだな=
悪魔ラプラス、確実に未来を映し出す能力を持つ。

待ちなって、未来ってのは無限の可能性が有る。その数と同等の俺がいる訳だがな。
それでも聞きたいのなら俺の知っている未来を語ろうじゃいか。そう忠告を一つ。
傘を持ってるな。そうだ。有る物は使うべきさ。

さてと、先ずは美神事務所のその後から話さないとな。
あのすこし面白い女、美神令子が結局横島って姓を名乗る事になるんだがよ。
「令子、俺達って結局子供できないのかなぁ」
「そんな事ないわよ!、まだ三十代前半じゃない」
「俺はそうだけど、その歳で初出産は・・」
「・・・ごめんね」
生有る物の授かりは純粋に天が決める事だ。こればっかりはどうしようもないからな。
二人が結婚してから10年一寸経ったんだが、一行に気配がないんだよ。
「あんたが、一人でやりすぎたからじゃないの?」
「そんな事はねぇよ」
何を遣り過ぎたかって?男の子なら解っているよ。
念の為病院で検査してもらった事があるそうだが、二人とも異常はなかったぜ。
頑張りなさいと医者に言われる始末でがんばっているんだがな。
「・・ルシオラ・・」
「ごめんね、あなた」
「いや、令子は悪くないよ。さ、寝よう、明日も仕事だ」
「ふふ、そうね。そういえば、ひのめが張り切っているわ。あなたと働けるからって」
「そういえば、ひのめちゃん今年で17歳か」
「月日ははやいわね」
このところ霊力が落ちている美神令子に対してひのめの霊力は日進月歩でな。
往年の美神令子に勝るとも劣らない力の持ち主になっているんだぜ。

さて、次の日だ。この時の依頼はICPOがらみでさるビルの徐霊だった。
閑話だが、当時部長のバンパイアハーフのピートって奴からさ。
「ではお願いします。横島さん、敵の正体はわかりませんので御気をつけて」
「任せてくれ、んじゃ行こうか。令子、ひのめちゃん」
勇敢に中に入っていくはいいが、敵が一行に現れない。そうなると、無駄口が出るのさ。
「ねぇ忠夫叔父ちゃん」
「なんだい?」
「どーやって、令子おねえちゃんをクドイたの?」
なーんて事を聞きやがる。そういえばこの子、誕生日だバレンタインだで横島に
ちょっかいを出していたからな。たしか小さい時は風呂の世話もしていたかな?
「ひのめ、あんたに気があるみたいね」
なんて、一寸前に令子が話していたかな。

何時もの事だが油断だ。敵は虎視眈々とチャンスを待っていたんだぜ。
そ奴の能力は現に存在している物を消滅させること。それが人体とて例外じゃない。
先ずは霊力の少なくなった令子って女に焦点を当てた。
「何!きゃぁ」
一瞬の隙で、美神令子の肉体は消滅しちまったんだ。
霊力はともかく、経験の浅いひのめはそのまま経ち尽くしちまってな。
なかなかの実力者を横島一人で相手する事になる、しかも愛する人を失った直後に、だ。
決着は横島についたが、右手と左足がそっくりなくなっちまったんだ。
青ざめているひのめを叱咤した幽霊がいた。美神令子の幽霊だ。
「おねェちゃん!どうしよう、どうしよう!」
『何してるの?ピート君に報告して、もう私の肉体は無いのよ』
オロオロするひのめちゃんにあんたも美神家の一員でしょ、とも言ったか。

横島が目を覚ました時にはベットの上でさ。
「あ、れ?令子お前は?」
『幽霊になっちゃたわ』
「そうか、すまねぇな。令子、俺がしっかりしていれば」
『それでね。あんたに謝りたい人がいるんだって』
「ひのめちゃん?」
『うん』
「無事だったんだ」
『ひのめとあんたの関係どうなっても私は構わないわ。あの子も美神家の一員だもん』
「関係?」
『女好きの割には鈍いのねェ。あとね、あたし未だ昇天する気はないから』
「何をいってんだ?令子」
この場には御邪魔ねと言ってから令子幽霊は外に出て入れ違いで来たのがひのめさ。
「叔父ちゃん、あたし・・」
「大丈夫だった?いや、よかった。よかった。」
「でも叔父ちゃんは、おじちゃんと足と手は」
ここにいたって漸く自分の体に気付いてたんだがな、だけどよ。
「でもよかったよ。ひのめちゃんが無事で」
そんな事いったもんだから、泣きながら横島に抱き着いてよ。
「あたしが、あたしが叔父ちゃんの世話したあげる。一生してあげる」
横島は彼女の体を残った手で少し離して、
「おまえも美神家の一員、か。だけどね一つだけ」
「・・何?」
「叔父ちゃんは無し、タダオって呼んでな」
その後紆余曲折はあったが、ひのめの体から女の子が誕生してな。当然名は小蛍さ。

-くくくく、忠告したはずだぞ。傘を使えと-
薄ぐらい室内で換気も出来ない部屋に雨が降ることは無い。だが、突如天井が割れ、
水が漏れてくる、いや水ではない。この貴方の丁度上はトイレになっているのだ。
あとからあとから、漏れてくる臭いソレを貴方は被ってしまった。
なんとも言えない表情を作る貴方、それを見て
=憐れだな、=

              ―FIN―

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