ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 巻之拾二 


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 2/14)

それは町からの悲鳴声であった。
「た、たいへんでやす、おっしょさま」
「なんじゃ?権三郎(92)」
「街中に魔物がぁ!」
「くくく、これで貴様等も終わりだな」
不敵に笑う夏傍琉数寄。厳重に縛っておけと関に命じる。だんまりを決め込んだようだ。
一堂は愕然とする。そんな中冷静に判断したのが流石切れ者言われる家老毒田薫栖だ。
「先ず市中のことは奉行に一任じゃ。毬亜、何処に魔物が暴れておるのだ?」
懐からなにかからくり仕立ての物を出し、カラクリ人形の毬亜に連絡をとる。
毬亜は美神藩を一望できる高さまで這いあがりその目で敵の情報を確認する。
『敵情報・南に多数・大通りにも多数・東方に三匹・西にも三匹・寺院前にも数匹!』
「だ、そうだ。西条あとはお主に任せる」
「はっ、有りがたく存じます」
そういって、すっくと立ち、
「霊力に自信が有る奴は?手を挙げろ、あぁ、関と武等都・比延蕩はいい」
「私、鬼道屋政彦も些少ながら式神系の霊力は持っております」
「俺も小竜道場で折紙を貰っている。力になるぜ!」
鬼道屋政彦、伊達雪之丞が名乗りを挙げると、大半が我も我もと名乗りを挙げる。
だが令子姫も名乗りを挙げた時に家老と奉行の眉が動いた。
「姫様もですか?しかし御身を御考えあそばせたほうが?」
「そのような事を言ってる場合じゃないでしょ?西条」
「そうでござる、拙者とおたまも付くでござる!」
「解りました。くれぐれも御無理をなさらぬように御願い奉ります」
そして覚悟を決めた西条指揮下のもと迅速の手はずの元、ある程度の組が出きあがる。
「和宏和尚にご家老様と厄珍堂にそして祈祷師エミは寺に残って下さい」
「ま、しょうがないワケ一応はとらわれの身だもの」
「そして、祈祷師エミとご家老様で敵の陣地を探してください」
「解った、それでは関とやら、傍受虫をかしておくれ」
快く虫を貸した関は、西条と比延蕩組に入る。そして、毬亜に
「お主は戦闘に参加せず、自席家老の風炉努留の居場所を探しておけ!」
「了解しました」
「我々と令子姫様、おたまにオシロで東西に分かれましょう」
わかったわ、と姫が言う。連れはおたま(タマモ)におしろ(シロ)だ。
「そして、雪之丞は町人の寅吉、おまりおゆみを連れて大多数の南方を頼む」
「解りました。御奉行、寅吉、おまり おゆみ 行くぞ!」
「合点承知じゃのー」
「次に式神の二人は大通りを行ってくれ、人海戦術にはもってこいだからな」
そして、全員を倒すのではなく、一人でも多くの民を確保する事を目的にと伝えた。
「それから忠夫様オキヌ様は」
「北の守護やな!わかったで!、ほないこか!オキヌ」
「あいな」
「われらの手で市中の安全を守る事が先決、行くぞ、敵は本能寺に有り!!」
「いや、ここは唐巣寺でございます」
どこまでも律儀な権三郎爺(92)である。現役であるらしい。
怒涛の声と共に広くも無い唐巣寺の石段を14人もが現れるのは壮観であった。
「この悪鬼共め!、我等人の力を思い知るがよい!」
斬りこみ隊長は伊達に武等都であった。
『ギゲッ!』・『ギャ!』
右に左にと剣を振るい、身近にいた2匹を血祭りにあげている。
「北方は任せといてや、皆はん!」
「では御願い致します、忠夫様、オキヌ様」
「御願いね〜」
決められた持ち場に素早く散っていった。
「ほな、オキヌやろか」
「はいな、あんたぁ あちらはんにウチに丁度良い敵ハンがいるわぁ」
そういって手を指したのは意識の持たぬ人形のような霊を操る奴であった。
「ほな、あいつから退治するか」
そういって、掌を握り締めて、
「文殊、文字は 『眠』や!」
そういって、人形遣いに文殊を霊力の剣先に込めて突きを繰り出す。
尋常ならよけられる攻撃であろう。だがこれはまさに槍がのびる形であった。
『ゲヘェ!』
と断末魔を残すも、死んではいなかった、眠らせただけである。
「ほな!ここに取り出しますはぁなんの変哲も無い笛どすえ」
懐から笛を出し、主のいなくなった人形を音色で操っている。
死霊操作の術というらしい。
「数の上ではわい等の方が上やで?魔物はん?」
だが、そんな戯言をとでも言いたいのか、猪を立たせたような悪鬼が突進してきた!
それをへっぴり腰で忠夫が横切ると前からオキヌ操作の人形がやってくる、
『ビ、ブヒ?』
タコ殴りに合った上忠生が出す霊力の剣が目に突き刺さる!
『ブヒヒーン!!』
さらにそいつが暴走するから北方にたまった魔物はたまったものではない。
「キヌ、怪我人を唐巣寺に運んでや!」
「はいな」
そして、今度は文殊で『煙』の文字を写し、目隠しの攻撃を展開した。
藩中の道を知り尽くしていると言っても過言ではない寅吉の案内により、
無駄な体力消耗も無く伊達一行は南方へいち早く到達していた。
猿のような化け物がワンサカといた。その数は五十を下らないだろう。
「これは、すっげぇ数が多いいな」
「こんな時は寅吉の力に限るぜ、おまりも手助けしてやれよ」
「そうだね。あんた力使いすぎると切れるからね」
「スマンのー。おまりはん」
そういって、寅吉が力の及ぶ範囲に別の風景を映し出す。
猿のような奴等は驚くばかりだ、
『キキイ?』・『キー!』
「驚き様で悪いが、本当のあっちの世界にいってもらうぜ!」
腰間より鯉口を切り、右に左にと猿のような悪鬼を切りつける。
「私もやるわ」
と薙刀を持ち出して、距離を取り、確実にしとめていく。
何匹かは寅吉の能力を直感的に気付いたのか、攻撃をしてくる奴がいたが、
「うちの許婚に指一本もふれさせないよ!」
拳に霊力を溜め寅吉を守るのがおまりの仕事であった。
幸い、今のところ南方には特に強い奴はいなかった。
「無外流、一の型ッ!」
「弓式薙刀術、樹發!」
最後の2匹は二人の気合と共に、倒れていった。
全員が終わったが倒れたのを見計らって、
「寅吉達は大通りに向かってくれ」
「伊達しゃんは?」
「俺もすぐ向かう!急げ」
三人を大通りに向かわせたのを確認すると、
「隠れてないで出てきたらどうだ?」
「さすがねぇ、剣士さん」
勘九郎が含み笑いをしつつ現れてきた。
「いつぞやの勝負、今ここでやろうじゃないか?」
勘九郎も抜刀して対峙の形になった。
風が一陣舞い、猿妖怪の血を少しなびかせた。
大通り中央に向かった鬼道屋政彦とおめいは少々数に圧倒され押されていた。
それでも怪我人の救助は馬のインダラを筆頭にかなりの成果を上げていた。
攻撃に転じた時点で押されているというのが正解だ。
「くっそ!数が多すぎるぜ!」
「おめい〜、こわい〜」
そうは言いながらも式神は夜叉丸を筆頭にクビラ・シンダラで応戦する。
クビラが魔物を呑みこむ後ろでシンダラが背後を守る。
アジラが火をを吹けば、夜叉丸も刃物で応戦していた。
だが、素早い奴がそれは蛇のような魔物であったが、政彦の横を切った。
「くぅっ!」
「政彦様〜、ショウトラちゃ〜ん、おねが〜い」
二人は直接攻撃する格闘方法では無い。
其処に三人が現れる。
「寅吉殿!」
「政彦親分、助っ人にまいりましたんじゃのー」
寅吉の別風景を映し出す能力は限界だったのでおまり同様拳で応戦する。
だが、魔物の考えが少しだけ理解出来る寅吉は、対した攻撃も食らわず、
霊力を蓄えた拳が炸裂していく。
それでも数が多すぎる、
「早くこい、雪之丞の馬鹿!」
おゆみはごちていた。だが、伊達はまだ勘九郎と対峙したままであった。
それにしても町人組の敵方は数が減らない、どうした事か?と政彦親分が目を見張ると、
「道の真中に穴があいてやがる、そうか、こいつら補充しているのか!」
まだ、東西に分かれた奉行西条組も令子姫組もやってくる気配がなかった。
「くそー!援軍はまだか!」
と、叫んだ時に、
「この市中を騒がす悪鬼退治に手を貸すわ!」
東方からやってきたのが小竜道場の主、おりゅうである。
「おりゅう様!」
私の道場からもこの騒ぎは聞こえました。さぁ観念しなさい!」
少しずつ魔物は少なくなっていったようである。
まだ、雪之丞と勘九郎に動きはなかった。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa