ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 巻之拾壱


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 2/13)

半刻(約一時間)前、奉行西条が朝食を済ましてから唐巣寺に向かおうとした時、
「御奉行、御奉行」
と同心筆頭の関が朝からドタドタとやってきた。
「なんだ?朝から」
「風炉努琉(プロフェッサーヌル)が用人、夏傍琉数寄の居場所がわかりました」
「なんと!して何処におるのじゃ!」
「遊郭に御座います」
奉行の西条少し顔を曇らせて、
「お主は許婚がおったな。確かお夏とかいう娘、言わば女房持ちが遊郭行きとは」
「いえ御奉行様、私が開発いたしました『傍受虫(ぼうじゅちゅう)』が」
あまり良い趣味ではないが、当時は秘密部屋なる物が設置されていた。
これは怪しいと睨んだ客を覗窓のある部屋に案内する仕組みだ。
「で、隠部屋におぬしが開発した傍受虫とやらを」
「御意」
「変な事につかっとらんだろうな?」
笑って誤魔化すところを見ると、怪しい部分は有るようだ。
「・・、まぁよいわ、でどの店じゃ」
それがかの芽道邪奴のいる店であった。
「そうか。遊郭では大人数は連れて行くわけも行くまい」
「しかも、今は酒に溺れている様子。数人でも問題ないかと」
「お主と二人で行こう、獲物はあるか?」
「御意!」
二人は着流し(ラフな格好)で遊郭に向かい、店の亭主に顔を出す。
「こ、これは御奉行様、同心様。朝から何の御用で?」
「店の客の一人が下手人でな」
「ひえっ!」
驚く亭主を跳ね除けて夏傍琉数寄のいる部屋に踏みこむ。
「町方の者だ、夏傍琉数寄、大人しく縛につけぃ!」
「もう観念したほうがいいよ」
酒気でフラフラする体でもここ一番の馬鹿力で壁を打ち破り外にでる
『きゃぁ、なんなのおぉ』
朝の散歩に出ていたのか、遊女の一人が悲鳴を挙げた。
「御先に!」
この関という同心筆頭、なかなかに素早い。後を追う如く2回から飛び降りる。
「待て!夏傍琉数寄」
「待てといわれて待つのは美人だけだ!」
なかなか口が巧いな、と関が思った時、不意に異様な匂いを感じた。
「何だ?これは」
前を見ると夏傍琉数寄、その場に倒れているではないか。
「これは、いったい?」
廻りをみると小さな人影があった。
「これは妖怪を眠らせる粉アル。奉行の西条様からの依頼あるね」
厄珍が朝の眠いような表情であくび交じりでいいのけた。
「そうであったか。これは俺の手柄だな」
嬉々として下手人を縛ると西条がやってきた。
「御苦労、関。時に厄珍、頼んだ品はあるかな?」
「これあるね」
それこそが、鳥山石燕の妖怪百選であった。

それで遅れたのですね。と唐巣寺が和宏和尚は納得した。
「時に毒田薫栖様、何か思い当たる節が?」
「うむ。来年御参勤の儀に島津藩の一行がこの宿場を使う事になっておるのじゃ」
「つまり、島津公を暗殺しようとなさらば」
この国は再度戦乱に世になろう。それこそが、
「こやつらの狙いで御座いましょう」
と、関が締めた。
念の為、嘘発見虫で夏傍琉数寄を調べると、否定はしなかった。
「なんという大それた事を考えておったのだ」
「じゃが、油断は出来ぬな西条。なにせ上様の御病気もこやつらの仕業だったからな」
そこに令子姫がやってくる。
「おい、夏傍琉数寄とやら、お前等の首謀者は誰だ?」
「・・・言うか」
怒るでもなく、にゃっとした顔を見せると、
「言いたくなる様にしてあげる。みんな手伝って?」
「なにを〜するの〜」
「令子姫特製のおしおきよ。オシロ、オタマ、あんたたち、用意はいい」
「出来てるで御座る!」
「はい」
そう言うと何処から取り出したのか羽箒を持ち出して、
「ぼ、暴力にはくっしないぞ!」と青くなりながら言う夏傍琉数寄に対し、
「いたくないけどね」
ニャと笑い、木に縛り付け、羽箒でくすぐり始めるからたまらない。
-その時の光景は悲惨すぎるので控えておこう-
結局、首謀者は花魁の芽道邪奴である事はハッキリした。
「やはり!江戸での下手人が!」
「それにこれを見るアル」
石燕の画帳にあるのは、どくどくいしいまでの女の絵である。
「竜の神様崩れの妖怪あるね」
まさに問題の花魁であった。
少々の静寂を破ったのは、寺に来た闖入者であった。

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