ザ・グレート・展開予測ショー

【リレー小説】 『極楽大作戦・忠夫の結婚前夜』 (7) 


投稿者名:遁譜村
投稿日時:(01/ 2/11)

指輪を眺めては顔を崩す姿は美神一行からすると気持ちが悪いのだが、
「ねぇ、あのひと、ほら先生のさ」
道路を隔てた向うに二人六道学園霊能科に席をおく女の子達が横島に気付く。
「おーい、横島さーん」
「やぁ君達は六道の、2年生だったっけ?」
「はい!あのー、今手に持ってるのって」
照れくさいのか、頭を少し掻いて、
「指輪だよ」
「ひゅー!」
「指輪だぁ〜。へー、可愛い♪こんなの填めてもらえるなんて先生幸せだよね」
隠れていた美神令子、氷室オキヌに戦慄が走る。
「先生?」
「た、たしか私ってシャーマン科の非常勤講師なんですよね」
目を白黒させて、己を指差し、信じられない面持ちの体である。
ひかえて、
「せんせい・・。よこしま・・・せんせい・・・あんにゃろーぶっとばしてぇーー」
『まって、美神さん、冷静に、冷静に!!』
ヒャクメが取り押さえなければ、恐らくは飛び出していったであろう。
今にも泣きそうな、やり場の無い怒りが溢れ出てくる自分が情けなくもあるのだが。
「まぁ横島君の決めた事だもんねぇ、よかったね。オキヌちゃん」
「み、美神さ〜んっ えっとさぁね!」
怖いのだが巧い言い回しが見つからないオキヌである。しかし顔はにこやかではあった。
女子高生との対談も終わり横島何か卑猥な事を言ったか最後に軽く彼女達に叩かれ、
じゃあね、別れの挨拶を済ます。今度は何処に行くんだろう?とヒャクメが言うと、
「あんた達だけでいって」
くら〜く、沈んだ美神令子が駄々をこねる。
「そんな、美神さん行きましょ?元々私達はボディーガードなんですから」
「だってぇ」
『分からなくもないけど、お願いよ、美神さん』
だが、動かないのではなく、動けないのは良く分かるであろう。
「・・・すいません、美神さん」
オキヌは何をいっても美神が傷つくのは理解しているのだが。
『しょうがないね。今は引きずっていきましょ』
と何処から持ち出したのか、頑丈なロープを縛り付けて引きずっていく。
これで警察の世話にならなかったのが、不思議なぐらいだ。
横島はある両隣とも空家になっている路地裏に入る。何してんだろ?とオキヌが思った時
「其処にいるのは分かっている、出てきなさい」
吃驚する3人である。
『どうしよー、秘密裏にってのが条件なのよね』
「でも、ここで出ないと余計妖しいですよ」
「・・・・・・・・・・」
だが、横島の出て来い!といった対象は違った。1羽の鳥が空を舞っていたのだが、
「ばれたちゃん!、流石だよ、人間最強の名は伊達じゃないじゃん!」
ハーピー!、以前美神令子と母美知恵と共に倒した魔物ではないか。
「貴様もクローンなのか?」
「みんな言っていると思うけど、全員本物じゃん!」
「まぁいい。俺の名は横島忠夫。邪悪なる心の持ち主よ、我が愛によって昇天せよ!」
手が光ったかとあと、霊気を大砲の要領で空中に発する。
「霊気の銃!」
沈んでいた令子ですら、驚いてしまう。
「たしかに、ハーピークローンさん人間最強っていってましたからね」
『えぇ、実は小竜姫様の肩を地に付けた最初の人間らしいですから』
「小竜姫様を!」
その時の勝負はおそらく、見られた恥ずかしさが勝因の一つであろうが。
戦いは一方的だった。しかも横島は何も破壊していないのだ。
「すごい、横島君。魔物だけを狙って攻撃している」
「何も壊れてませんねぇ」
ずっと同じ位置にたち尽くし、霊気の銃で応戦しているだけなのだが、
「くっそーじゃん、なんちゅー人間じゃん!!」
ふらふらと舞い落ちた時、
「今度は人間にな。あばよ、よければ俺の娘でもいいぜ」
そう言って目一杯、こちらに向かって霊気を発した。
「あ、やべ!」
やばいどころではない、無防備な3人もモロに食らってしまう。其処に影が落ちた。
「(おぬし等は黙ってよ) よぉ横島殿、御気を付けなされい」
「あぁ、協力感謝するよ、道真さん」
このかばってくれた人物は菅原道真なのか、と驚きを隠せないのである。
ハーピーはこの菅原道真公の胸でぺしゃんこになっていた。
「うむ、おぬしの結婚式が明日と聞いて大宰府からやってきたのだ」
「そうだったのか。すまねぇな。神式でさ」
「何を言う。彼女のウエディング姿は見物じゃろうて」
「しっかし、うちの奴お前まで手紙だしたのか」
「なかなかに細やかが効く新婦殿じゃからな。明日又な」
「あぁ、楽しみにしてくれや」
そう言って横島が次は結婚式場の下見かな、と言ってタクシーに乗り込むと、
「10分後後を追おう」
と、菅原道真が提案する。なんで来たの?という質問に
「神族からの依頼で助っ人に参りました。是非ご活用下さい」
これは未来での頼もしい助っ人になろうか。
「時に、何故美神殿は沈んでいるのだ?」
「ほ、ほらぁ。結婚相手が先生だって事がわかっちゃったから」
「あぁ、おぬし等はGS時代なんじゃな。オキヌ殿が非常勤講師じゃが」
美神令子を指して
「美神殿も、旅行の先で手に入れたオカルトグッツの説明なんかを学校で行っているから 先生と呼ばれておるのじゃがな」
この事実に美神令子は救われた気分になるであろう。
オキヌは心の中で、チッと 舌打ちを軽く、したであろう。
そして、矢張り横島忠夫は残党に狙われているようだ。

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