ザ・グレート・展開予測ショー

マンハッタン・ジョーク


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 2/ 9)

何はともあれ、美神夫妻も喜んでいるので、先ずはよしとするワケ。
アメリカでのタイガー修行は思わぬ成果を挙げていた。
「ふう、もう僕は疲れたよ」
流石の西条もダウン状態である。無理も無い。だが、
「ここまで来て、買物しない手はないワケ、行かないの?」
「僕は遠慮するよ、タイガー君は?」
「わっし、荷物持ちで行ったほうがいいですかノー」
まぁいいわ。あんたも休んでな。別に優しさから出た言葉ではない。
折角のニューヨークでなにも田舎者のデカブツと街を散策したとて面白くもない。
「じゃあね、あんた達も御土産は買っといた方がいいワケよ」
外套につばひろの帽子を頭に載せ、いざ街へとエレベーターで降りる。
もう日も傾いていた。
ホテルのロビーを出て回転扉を抜けるとニューヨーク特有のミストラル(北風)が
「あっ」
深く被っていなかった所為だろう、回転扉の中に入ってしまった。
慌てたベル・ボーイが拾おうとしたが、
「おや、ご婦人用の帽子が中で舞ってるね」
黒髪たわわのビジネスマンであろう。中年の渋みたっぷりの男が、手にとって外に出る。
「It your hat?」
「あ、あぁ、イエス。センキュウーミスター」
あまり英語は得意でない。その発音を聞いて、
「おや?日本の方ですかな?」
「え、えぇそうなワケ。有難うね」
「これから何処かお出かけで?」
「これから買物に行こうと」
「宜しければ、是非同行願いたいですな」
余裕たっぷりの言いぐさが嫌味でない、どちらかと言えば年下好みのエミなのだが。
「あの、御仕事は?」
「さっき済ましました。食事でも行こうと思いましたが、一人よりも」
「じゃぁ、貴方が宜しければ、私、エミっていいます」
「良い名前ですね。私の名前は・・・まぁ、ここではミストラルと言いましょうか」
自称ミストラルの薬指には結婚指輪の痕があるのだが。
「じゃぁ、甘えちゃおっカナ?実はニューヨークは詳しくないのよ」
「えぇ、こちらも味気ない食事が華やかになります!」
自称ミストラルはニューヨークに精通していた。良質なタクシーをチョイスしてから、
「先ずは、どちらに?貴方の素敵な指に合う石を見に行きますか?」
「ティファニーの事ですか?」
「えぇ、馴染みの店です。 ヘィ、Mr,・・・」
流暢な英語でニューヨーク五番街へと指示を出す。
マンハッタンの渋滞は日本のそれと変らないが、すぐ近くであった。
「へぇー。ここが女の子の憧れの殿堂」
「そうです。ルイス・C・ティファニーが創設した世界一の貴金属加工会社です」
余談だが、ダイヤモンドとオカルトは切っても切れない関係だが、この店は、
「流石なワケ。ちゃんと筋を通した徐霊を行っているわけね。安全なんだ」
思わず口にすると、
「おや、貴方もGS関係者で?」
「うふ。これでも日本では知る人は知るGSなワケ」
「これは失礼を。私今拠点が欧州なのでして、最近の情勢は」
あまり詳しくない、と答えた。
さて、ティファニーの店員はこの自称『ミストラル』氏を良く御存知のようだ。
又違う女性ね。と影で言っているのだが、御得意の機嫌を損ねるわけにもいくまい。
じっくりと選ぶエミを急かせるでもなく、ゆっくり、じっくりと、
一つ一つの石の作りを説明していく。店員並の知識であった。
気に入った宝石をカードでと、支払うのもミストラル氏だ。
メリケン社の最高級保証のカードであった。
「買物に付き合ってもらって悪いワケね。食事へ行きましょう」
「えぇ、ここから歩いてすぐの店も馴染みなんですよ」
其処は、ジャズの流れるレストランであった。
やはりこの店も本当に御得意なのであろう。副支配人クラスが個室に案内する。
メニューを持って来るのも、ボーイ長であった。
「料理は任せてください。食前酒に何を呑まれます?」
「カクテルのマンハッタンを」
マンハッタンと私にはジョヴィニョを頼む、食事は何時もの、とボーイ長に言う。
かしこまりました、と出てすぐに食前酒はやって来た。
「私達の出会いを祝して乾杯」
「えぇ、横島大樹さん」
棒を呑みこんだ顔つきで驚いたのは自称ミストラル氏だ。
何故解ったのだい?と問いかけると、
「カードに名前が書いてあったワケ。それに貴方の息子とはまぁ知り合いなワケ」
「そ、そうでしたか。私も迂闊だったな」
「聞いてるよ、奥さん結構やきもち焼きなんだって」
二の句が続けられない。それに薬指の跡が残ってるじゃないのとくっくと笑った。
「でも、今日のことはオフレコにしておくワケ。プレゼントも貰ったしね」
「そうか。でも何で既婚者と知ってて僕と?」
右手人差し指を軽く挙げて、軽くウインクをして見せて、
「マンハッタン・ジョーク」

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すいません!!ASさん、少々設定を勝手に借りてしまいました!!!!
ゴメンナサイ!!!!!!!!_(._.)_

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