ザ・グレート・展開予測ショー

コンクリートジャングルの虎(後日談その二)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 2/ 8)

シロとタマモが『和食屋』で働きはじめてから(売られてから)二日が過ぎた・・・
「えーっと・・・この本は・・・」
いつもの様に部屋の片付けをしているおキヌ。
「・・・・・・」
横島は床に寝ころんでいる(・・・こればっかり・・・)
そして美神は・・・
「・・・・・・(クスクス)・・・・・・(ニコニコ)」
これ以上無い程、『上機嫌』だった・・・


ーコンクリートジャングルの虎(後日談その二)ー
  <副題>  『和食屋の白オオカミ』


「ねえ美神さん・・・」
「(クックッ・・・!)・・・ん? なーに?」
笑うのをやめ、おキヌの方に顔を向ける美神。
「シロちゃんとタマモちゃん・・・大丈夫でしょうか・・・」
ややうつむき、心配そうなおキヌ・・・
「・・・そーねー・・・なーんか一日目は散々だったらしいわね・・・ 何でもシロは力みすぎで 流しに置いたら皿は割るわ、漬け物まな板ごと切るわで 逆に借金増やしたらしいし・・・」
「・・・・・・」
「タマモの方も シロほどじゃないけど、あぶらあげにこだわり過ぎて失敗した事があるらしいわね。」
「・・・あの・・・美神さん・・・やっぱりあの時・・・」
「ねえ、おキヌちゃん。」
急に真面目な顔をする美神。
「・・・? ・・・はい・・・」
「仮に私やおキヌちゃんが肩代わりして・・・それでほんとに 解決だと思う?」
「・・・・・・!」
「人間社会にはもっとひどい『ボッタクリ』だってたくさんあるわ・・・・・・ここら辺で苦労して、そういった事も学ばなきゃ・・・」
「美神さん・・・!」
感激のおキヌ。
「美神さんはそこまであの二人の事考えて・・・! やっぱりお金が惜しいからじゃ無かったんですね・・・!」
自信たっぷりに頷く美神。
「その通りよおキヌちゃん! 『決して』『お金が惜しい』からじゃないの・・・!」

(・・・・・・・・・ウソつけっっ!!!)
横島は床に伏せながら それだけを叫んでいた・・・


「あ、今は閉店時間でござ・・・せ、先生ーーーーー!!?」
「よー・・・! ちゃんとやってっかー?」
嬉しそうに横島達の方へと駆け寄るシロ。
「みんな来てくれたんでござるか!? う、嬉しいでござる!」
目を輝かせ、はしゃぎまくるシロ。
「あれ?シロちゃん、タマモちゃんは?」
少し顔をしかめて 調理場の方を向くシロ・・・
「・・・・・・?」

「違う! こんなのじゃ全然駄目・・・!」

調理場ではタマモが鬼気迫る表情で『何か』作っている・・・

「・・・タ、タマモちゃん、何やってるの・・・?」
おキヌの問いに、更に顔をしかめるシロ。
「タマモの奴、店を閉めてる時は いつもああして『最高』の
あぶらあげ作りに取り組んでるんでござる・・・ここの『店主』
殿も、『自分の若い頃を思い出すっ!!』って言って、『店閉めてる時は自由に使え!!』・・・って・・・」
『・・・・・・・・・』
「おかげで拙者もここの所毎日『試食』に・・・・・・生タイプドックフード・・・恋しいでござる・・・」

心底『ガックリ』とするシロ・・・

「え、えぇと・・・・・・(・・・み、美神さん・・・)」
ヒソヒソと小声で話す三人・・・

(美神さん・・・シロのやつ、だいぶまいってるみたいっすよ・・・!)
(そんな事言ったって! ・・・借金があるんだし・・・!)
(シロちゃんに 後いくらあるのか聞いてみましょうよ・・・)

うなだれてるシロの肩に手を置き、軽く揺さぶるおキヌ。
「・・・何でござる・・・?」
虚ろな目で答えるシロ。
「(うっ・・・)ね、ねえシロちゃん・・・借金後いくらくらいなの・・・?」
やはり虚ろな目のシロ・・・
「・・・・・・四万・・・五千円・・・」
「な!? 減るどころか 五千円増えてるじゃない!」
「・・・仕方ねえんだ・・・」
「ア、アンタは!!」

『例』の『店主』が奥から姿を現した。

「その尻尾の嬢ちゃん・・・確かに一生懸命やってくれるんだが・・・大の男でも運べねぇような荷物も軽々運びやがるし・・・
だがなぁ・・・」
「・・・だけど・・・?」
「割った皿の枚数が半端じゃねえんだ・・・中にゃえらい高い値の皿もあったし・・・」
「何枚ぐらいなの?」
「・・・四十と少しだ・・・」
『よ、四十枚!!?』
「・・・よく働いてくれてる分、時給も多めにしたんだが・・・
追い付きゃしねえ・・・正直おれも困ってんだ・・・」
「・・・タマモの方はどうなの・・・?」
「あのお嬢ちゃんはちったあ溜まってる筈なんだが・・・最高の調味料を目いっぱい使っちまうから・・・」
『・・・・・・・・・』
「もうこうなったら借金はチャラに・・・」
「駄目でござる!!!」
突然シロが声を上げた。
「例え、それが『決して』自分の意志では無くとも・・・! 一度始めた事を途中で投げ出すなど『武士』のやる事ではござらんっっっ!!!」
「お、おめえ・・・! 気に入った! こうなったら皿何枚割ろうが付き合うぜ!!!」
「店主殿・・・!」

『・・・・・・・・・・・・』

シロと店主に妙な『絆』が生まれようとした時・・・

『・・・! つ、ついに完成したわ!! 『最高のあぶらあげ』が・・・・・・!!!」

『ーーーーーー!?』
奥の調理場からの『声』に、驚く面々・・・
「シロッ! ちょっと『コレ』・・・! ・・・あれ? ・・・みんないつ来たの?」
調理場から出て来たタマモの手には 何枚かの『あぶらあげ』が乗った皿が・・・
「まあいいわ! みんな『コレ』食べてみて!!」

『・・・・・・・・・(モグモグ)』

『ーーーーーーーーーーーーーー!!!』

「う、ウマイーーーー!!!」
「か、快感が舌から脳天にーーーー!!!」
「す、凄いわ! タマモちゃん!!」
「こ、これは!! おれの『あぶらあげ』なんざ問題にならねえ!!!!」

「・・・・・・・・・」
「どう? シロ・・・?」
「・・・ぅ、ぅまぃ・・・で・・・ざる・・・」
「えー? よく聞こえなかった・・・!」
「う、うまかったでござるっっっ!!!」
「お、おいっ! 嬢ちゃん!!」

突然『店主』がタマモとシロの会話に割り込んだ。

「ーー!? ・・・な、何・・・?」
『店主』の剣幕に身じろぐタマモ。
「い、一生のお願いだ!!! 借金はチャラにする!!! それでも足りなきゃいくらでも払うっっ!!!・・・だから頼む!!!! おれにその『あぶらあげ』の作り方を教えてくれ!!!」

『ギラリ』と美神の眼が光った・・・

「え、えっと・・・」
「オッケー!!・・・五百万で伝授したげるわ!!」
「ありがてえ!!!」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』


事務所へ帰る途中・・・

「感謝してよねー・・・シ・ロ?」
「・・・元はといえば、全てタマモの・・・」
「でも、最後に助かったのは私のお・か・げ・でしょ?」
「・・・・・・・・・・・・ぁ、ありが・・・」
「えー? よく聞こえなかった・・・!」
「あ、ありがとうでござるっっっ!!!」

「この頃予定外の収入が多くて助かるわー(ニコニコ)」

『・・・・・・・・・・・・』

翌日・・・
「ただいまでござるー!!」
「ただいまー」
ギャア、ギャア・・・ギャア、ギャア・・・
「・・・・・・? ーーーーーー!! シ、シロッ!! う、上・・・!!」

青ざめたタマモが指指す方を見ると・・・

「・・・・・・? ーーーーーーーーー!!!?」

そこには『弟子』が揃って『吊られていた』。
そばには見た事のある『バイク』も・・・・・・

「も、もう勘弁して欲しいでござるーーーーーーーーー!!!」


  ・・・あたりに白オオカミの『絶叫』がこだました・・・




AS「『和食屋』の続きです。 好評?の『店主』も出てます。
楽しんでもらえたら、嬉しいです。」





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