ザ・グレート・展開予測ショー

オカルトG-メン西条の事件簿。第八章


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 2/ 5)

 蛇がとぐろを巻くように、符が西条と西園寺を飛び交っている。
「西条さん!」
西園寺はただたたずみ、笑みを浮かべる西条に悲鳴に近い声をかける。
「児戯にも等しい、こんなもの」
再び姿を隠している万嶺に聞こえるよう、わざと大きい声で嘲笑する西条。
その声に反応するかのように符が一気に速度を上げる。
西園寺は手が無しと見てか迷わず蹲る。しかし西条はまだ平然と立っている。
「観念したか!」
「いや、見切った」
符の渦が完全に二人と一匹を捕らえようと迫り来る。
「ここか、これだな」
西条はおもむろにその渦の中に手を突っ込んだ。
「なに!!」
驚愕の声をあげる何万嶺。
「何が符術だ。ご大層なことを」
西条が握ったものは万嶺の手首だった。その手にはしっかりと青龍刀が握られている。
「なぜわかったのだ?私の術が!」
「折角ドラム缶で日陰になってたのにな。さっきまでは」
西条の指した先にはわずかに日の光が差し込んでいる。
「影ですね!幻術には影が無い!」
「一度かかったんでな、もしやと思ったが案の定だ・・・ぬん!!」

ぎししぃ・・・かつーん。

「ぐぁぁぁ!!」
腕を掴んだ右手に力をこめる。万嶺は激痛に顔を歪め、呻き声をあげ、青龍刀を落とした。
「幻術と分かっていれば、後は貴様の位置を知ればいい。ま、あれだけぎらぎらした殺気をぶちまけていたら猿でも分かる」
「はははは、さすが、Gメンきっての切れ者と奥様方の間で有名なだけはあるな。西条君」
「あいにく既婚者は守備範囲でない。何万嶺。霊能力不法使用、および銃刀法違反で逮捕する」
西条が胸ポケットから手錠を取り出し、何万嶺にかける、はずだった。
しかし、
「私は捕まらんよ!」
何万嶺、足元にあった青龍刀を跳ね上げると左手で掴む。
「させん!」
西条が手首をひねってバランスを崩そうとするが、巧みにバランスを取って体制を保つ。
「日本人は甘い!私をすぐに殺すべきだった!」
青龍刀が空を滑り西条の首を突きにかかる!
「くそったれ!」
西条慌てて体をひねり初太刀を避ける。
「もらった!」
しかし何がすばやく手首を返して真横に刃を運ぶ。  
「西園寺!!」
これは避けきらないと西条、西園寺に目配せをする。
「この馬鹿やろう!!!」
西園寺は苦々しい顔でナイフを投げた。
ナイフは弧を描き、何の首に鋼線を巻きつける。
「そこまでだ、絶対動かすなよ!!」
「動いたらどうなるというのかね!!!」
何万嶺は西園寺の警告を無視して刃を更に横へ・・・。
「馬鹿は死ななければ直らない・・・」
西条が悲しげに呟く。

ブシュ・・・。


「ご苦労様、西条くん」
オカルトGメン日本支部長、美神美智恵が現場に到着したのは西条が指示した時刻どおり20分後だった。
「大変だったみたいねぇ、いろいろ」
「ええ、まぁ」
気の無い返事をする西条。ちらり、ちらりと西園寺を見ている。西園寺はセバスチャンの頭をなでたまま、物悲しそうな顔をして落ち込んでいる。
 その顔をセバスチャンが嘗めているのが微笑ましいが、彼の心の葛藤は今しばらく続くだろう。こればかりは誰が慰めようとどうしようもない。
「まぁ、たいした怪我がなくってなによりだったわ」
そんな西園寺を見ながら美智恵が労をねぎらう。
「で、どお?西園寺君は?」
「・・・この手に事件には彼は向いてないと思いますね。彼はいい奴すぎるんですよ」
「そうね。あれを見たら分かるわ。今度からは別の人間まわすから。あ、救急車着たわ。鑑識の邪魔しないように言っておいて」
近くにいた部下に指示を飛ばす。近くにいた部下が頷いて救急車の方へ走っていた。
「まさか、こうなるとは思ってなかったもので、少し心苦しいですよ」
「そうね。彼大人びて見えてもまだ十八だから、ちょっときついと思うけど、これも職務と思って諦めてもらうしかないわね」
「そうですね・・・」
二人は西園寺の気持ちを思うと居た堪れなくなったが、職務を優先しなければならない。
「じゃ、私現場見てくるから。指揮お願いね」
「分かりました」
美智恵は倉庫の中へ、西条はパトカーのほうへ向かった。

続く
 
 

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