ザ・グレート・展開予測ショー

『息子の叛乱!』第3章


投稿者名:Nor
投稿日時:(98/ 1/23)

#あ、まだ時間がある。というわけで、書きます。

「どわわわわーっ!」
間一髪の所でミサイルを避け、横島は再び走り出した。もう飛行甲
板を半分は進んでいる。
後ろを振り向くと、無表情な顔の奥で、目を光らせ、肩にバズーカ
の様な武器を担いだルシオラが駆け寄ってきている。数体の兵鬼もそ
れに従う。
横島は、つい五分前の出来事を後悔と共に思い返した。
彼らは、口論をしていた。早い話が、今回の事態の責任の擦り合い
である。まあ、そこまでは良かった。とある台詞を横島が口走るまで
は。

「もう、いい加減、映のことも許してやれよ! 別に、『貧乳』と一回
口走っただけで・・・」

その直後、横島は映と同じ過ちを犯したことに気づいた。無言の
ルシオラ。立ち上る黒い気迫。
「いや、だからそう言われたからって・・・」
その時、すでにルシオラの耳には何も聞こえていなかった。おもむろ
に兵鬼を一つ取り出し、肩に担ぎ・・・。

爆発。
「ひええええっ!」
横島は思考を中断し、再び走り出した。ルシオラは無言で後を追ってくる。
「いかん・・・まずい・・・このままでは、本当に殺される」

そのころ。

「美神さん! 大変です!」
ヒャクメは室内に駆け込んだ。
「あ、ヒャクメ」
ヒャクメは体中の目を丸くした。
「これは?」
床に、大きなたんこぶをこさえた魔族が一体、倒れている。
「これはいいのよ、それより、なんなの?」
「そうそう! 原因不明の爆発が・・・!」

横島は逃げ続けていた。ミサイルだの手流弾だの火炎瓶だの
といった感じのものが周囲に次々と着弾し、大爆発を起こす。
「ま、まずい・・・このままでは行き止まりだ・・・」
横島はとっさに横に止まっていたヘリの影に身を隠した。攻撃
が止む。見失ったのだ。
「どうすれば・・・」
と、そのヘリの中に、整備をしているらしい米兵が一人いた。
横島は無言で近づくと、いきなり霊波刀を米兵の首筋に突きつけた。
「オウ!」
「黙れっ!」
「オウ、ノー!!」
横島は人差し指を立ててしぃ、とやるとコンソールを指差した。
「ホワット?」
「ヘリを飛ばせ・・・」
「?」
「いいから、ヘリを飛ばせ! ふらい、でぃすへり!!」
「!!!!」
横島の迫力に、米兵は圧倒され、思わずエンジンをかけた。回転翼がゆっくりと
動き始める。それを見つけたのか、周囲に爆発が発生しはじめた。
「!!!!」
「いいから飛ばすんじゃっ!」
へりはふらふらしながら浮かびあがった。
横島は窓の外を指差した。
「あっちや、あっち!」


「なんなの? あのヘリコプターは?」
ヒャクメは目をこすると、げ・・・と呟いた。
「美神さん・・・。よくわからないけど、あのヘリ、横島さんが・・・」
「横島クンが?」
美神は窓の外に乗り出し、メガホンで叫んだ。
「こりゃあっ!! 横島っ! 逃げるなっ!」
「美神さん・・・あのヘリ、超逆天号の方に向かってるんですけど・・・」


「人間側の飛行物体、一体が接近中!」
「撃ち落とせ!」
「だめです! 器用に逃げ回って・・・」


「オウ!マイゴーッド!」
「だまらっしゃい! とにかく飛ばすんじゃ!」
彼らの周囲では爆発が続く。半分は超逆天号の攻撃であり、
もう半分はルシオラの対空砲火だ。


『飛行物体、突っ込んで来ます!』
艦内に衝撃が走った。映は思わず立ち上がる。
「被害は?」
『まだ、不明で・・・おぶっ!(ブツッ)』
「なんだ? 何が起こったんだ?」
映はあたりを見回した。
「衛兵! 調べてこい!」
「はっ!」
その時。
『ゴギャッ』
派手な音がした。皆が、音のした方を振り向いた。映が、ゆらりと
体をふらつかせると、そのまま派手な音を立てて前にびたあん、と
倒れた。
「ネオ・アシュ様!」
「動くな!」
その後ろに、モップを持った横島が立っていた。
サキイカは後ずさり、フォースは目を輝かした。
「こいつの命が惜しかったら、動くんじゃない!」
「・・・と、父ちゃん・・・?」
「この艦は俺の指示下に置かれる!! 言われた通りにしろ!」
「一体、何を」
「じっとしてろ!お前は5歳らしく、おとなしく言うことを聞
いてればいいんだっ!!!」
「その、5歳の実の息子に・・・」
「うるさい! 緊急事態だ!」
横島の目は恐怖で満ちていた。
「このままだと、本当に皆殺しだぞ?」


空母から、ルシオラは超逆天号をじっと見上げていた。
「そうなの・・・そうなのね・・・ならば、考えがあるわ・・・」


「よし! 異空間に全速離脱!」
「父ちゃん・・・なんのつもりだ・・・」
「逃げる」
「逃げるって・・・」
艦内に、警報ブザーが鳴り響く。
『離脱まで、7、6、5・・・』
「ほとぼりがさめるまで、身を隠す」
『2、1、離脱!』
ぼん、という音がした。
『離脱失敗! 妨害を受けています!』
「な、なんだってっ!」
『正面に巨大質量反応!』
「?」

「ふふふ・・・」
ルシオラはスクリーンに写る超逆天号を見つめた。
「逃がさないわ・・・」

『巨大兵鬼、出現!』
横島は一瞬、時間差攻撃のことを考えた。また幻影か、と思ったのだ。
が、違った。
『ヨコシマ!』
通信音声だ。
「・・・! ルシオラ?」
『異空間に繋留していた2番艦・・・真逆天号の威力、思い知りなさい」
「な、なんだって?」
『ああ、まさかお前と戦うことになるとは思わなかった・・・やはり、
決着はいつか付けなければならないのね・・・ヨコシマ・・・」
「お、おい! ルシオラ!」
『通信、途絶!』
映は横島を見上げた。横島は完全に凍っていた。

『傍受通信、以上です』
「どーすんですか? 美神さん」
「ほっときましょう。手間が省けたわ」

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次回予告:人と魔族・・・所詮は相容れない存在なのか・・・。
怒りの攻撃が海を割き、大地を震わせる・・・。次回、『決戦』。



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