ザ・グレート・展開予測ショー

【リレー小説】 『極楽大作戦・タダオの結婚前夜』(4)


投稿者名:遁譜村
投稿日時:(01/ 2/ 2)

(はぁ!今回美神さんがあっちの世界に行ったのは極秘なのよねー)
時にすさまじい勘を働かす横島だ。今バレテしまったら元も子も無い。
「あれ?小竜姫様、美神さん達が何処へ行ったか知ってるの?」
「い、いいえええ、し、知りません!」
うその付けないタイプのようだ。因みに人工幽霊1号も解らないと、誤魔化す。
だが、救いの手を差し伸べたのは矢張りお子様である天竜童子だ。
「のぉ小竜姫、早く予定通りプールへいこうではないか」
天の助けか悪魔の囁きか。今回の筆者は後半の方が大部分を占めていると思う。
「ぷ、プールですと!」
「そうじゃ、何でも人間界ではプールを屋内に作っているそうではないか」
「豊島区に東洋一の室内プールが昨日新規オープンっていうCMを殿下がご覧になって」
「3時間近く駄々を捏ねたら小竜姫も許してくれてのぉ」
「まぁ、序でにここの事務所も見にきたって訳です」
「と、当然小竜姫様も水着に」
横島の注意をずらすにはかなりのデメリットも付きまとうが、背に腹はナンとやら。
「えぇ、折角ですから」
「で、殿下!私メも連れてってくださいませー」
小竜姫は一抹のいや、貞節の不安を感じながらも3人で新規オープンのプールへ向かう。
先ずは先立つ物を何時もの決まりで小判を厄珍の所で両替をする。
「あら?これは寛永元年に作られた本物ですよ」
今回は小竜姫様の見識により損は少なかった。
(くくく、30万払ったあるが、実質は80万は下らないあるね)
いつか仏罰と神罰をくらうであろう。
人間の横島を道案内役にする事で神様二人は豊島区のプールを目指す。
切符の買い方から、改札口の入り方、電車の乗り換えに一々説明を要したからだ。
「飛んでいきたいのォ」
「駄目です!ここは人間界、むやみに力を見せつけてはいけまぬ!!」
「まぁよい、この電車とやらも結構たのしい」
こんな会話に奇異を感じる人々に横島は
「いや、田舎から来た者達で、こういうのが珍しいらしくて」
一応筋の通った説明を何度した事であろうか。まぁちゃんと案内役は勤まったようだ。
無事に目的地に。胸を下すのは小竜姫だ。東京の地理に自信など皆無であろう。
「うーむ、余の屋敷に匹敵する大きさだな」
「私の寺院がすっぽり入りますねぇ。人間の知恵はすさまじいですね」
だが人間代表である横島は、まさに盛の付いた犬そのものである。
時に年齢別の価格表を見ると、【70歳以上の方は無料】と記入してある。
「余は700歳じゃ、小竜姫はもっと歳上じゃ。二人分は無料か?」
「そうは言っても係員さんが信じないだろーなー」
いや、信じまい。駄目元で聞いてみたが、あんたたち、ふざけてるの?との始末。
ここは、大人しく成人料金と高校生の割安、子供半額料金の3種類払う。
見た目横島と同年代の小竜姫だが、
「ごめんね、当館の決まりで学生さんには証拠になる学生カードの提示が必要なの」
だそうだ。
さて、水着を購入して、いざ着替えの段階、男女別の更衣室に分かれる時に、
「さぁ、殿下、こっちへいらっしゃいまえ」
「え!男の子なのに!!連れていくのですか?」
「念の為です。小学生低学年の男の子なら問題ないでしょ?」
「うーむ、まぁ余はどっちでもよいが・・」
羨ましいそうな視線を発した後、何を思いついたのか、文殊を取り出す。
「横島さん、一つ忠告しますが」
と、更衣室に入りかけた小竜姫が、横島に向かって、
「文殊で子供になって来るなんて真似をしたら、一生女性に縁の無い体にしますからね」
と釘を打つ。その気迫たるや、流石は武芸の達人である。
いざ室内へ、人工波に椰子の木、流れるプールにウオーターチューブ。
子供でなくと目一杯楽しめそうなアトラクションである。
尚、小竜姫様はワンピースの水着だ。逆鱗を外に出せる訳もあるまいて。
だが、その色っぽさは煩悩権現の横島に理性を持たせる事は不可能であった。
何度か、抱き着こうとしては、ドヤされる横島。情けないのォと天竜童子は思うのだ。
「すごいぞ!。余は来て満足じゃ、小竜姫、まずはこっちじゃ!」
「そうですね!って殿下待ってくださいー」
キャッキャ言いながらも純粋に楽しんでいる。
当初は3人で流れるプールでグルグルと廻っていたが、不意に横島が外に出る。
「あれ?横島はどこじゃ?」
「さっきまで一緒にいたのですがねぇ?」
少し離れた所で
「ねぇ彼女達、何処から来たの?」
殆どが不毛に終わるのは解っている、しかし小竜姫はなんとなく憮然としない。
「おい、こら横島、主人の許しも得ないで何処にいっとる?」
その一喝が耳に聞こえない。なんと、珍しくナンパが成功しそうになっている!
「へぇ、あんたGSのタマゴなんだ」
「そうなんすよ、キツイ仕事っすけど、遣り甲斐があるっす!」
「それに高校生でしょ?お姉さんほれちゃいそー」
ちょっと、歳の行ったOL風のお姉さんと会話が弾んでいるのだ。奇跡に近い。
「殿下、今度はみんなでウオーターチューブ行きましょ?」
「いや、余はもうちょっと流れるプールに、っとと、なんじゃ強引に」
そう、強引に天童王子をプールから出して、
「横島さん、あたしウオーターチューブにいきたいの、いきましょ?」
横島の手を引っ張る形でナンパ現場から引き離したのだ。
神様といえど、ある種の嫉妬を感じるのであろうか?外見の形容は可愛いである事だし。
残されたOLは、ちぇ、彼女付きかいと、残念そうであった。
ウオーターチューブに人工波、水深の深い巣潜り競技用と大体1通り体験して、
「そろそろ、御昼にしますか」
と、堂内の喫茶店に。水着の上に貸出のTシャツを羽織る姿も色っぽいより可愛いか。
「いらっしいましーー」
と初老の女性が注文を取りに来る。カレーにサンドイッチにハンバーガーと頼んだ時、
「あ!浦島様ーーー」
と初老のウェイトレスは突然大声をだす!
「あ、お前は乙姫!、なんでこんな所に?それに俺は横島だ!」
「あのー御話を割り込んでなんですが、彼女本当に竜宮の?」
「そうですよ、以前間違えて例の煙をかぶっちゃたんです」
「竜宮の乙といえば、わが父の部下ではないか。何故にこの様な所にいるのじゃ?」
「あのー横島様、こちらの方は?」
「小竜姫に、天竜童子」
その言葉を聞くや、乙姫はその場にひれ伏す。
「も、申し訳御座いません、赫赫然々でございまして、この体では海に戻る事も」
「そうか、父が心配しておった。しかし主がいないと海の秩序が」
「し、しかし、若い頃の体を取り戻さねば、今の私には海の力に対抗出来ませぬ」
「それなら良い案が有ります。横島君、私に文殊を」
そういって小竜姫文殊を握ってから『若』の一文字を写し、乙姫に与える。
軽い閃光の光った後、乙姫は若い姿に戻れている。
「こ、これは有難う御座います、殿下、姫、それに横島様ぁ」
泣き喜んでいる。さて腹ごしらえをすませて、もう一度遊びに行こうと小竜姫は言うが、
「余はちと疲れた。丁度乙姫もいる事だし、遊びに行きたくば二人で行け」
と、じゃぁ行きましょうと小竜姫が率先して、横島を連れていく。
「小竜姫にも偶には男同伴で遊んでもらうのも悪くはあるまいて」
「はい、あの横島という男、あれで意外といい男でございますから」
今後、乙姫は季節の折に新鮮な魚介類を届けるようになり付き合いが始まったとか。
尚、妙神山では、
「くぅ!猿の癖に強いで御座る!」
「なに泣き言いってんだい、あんた狼だろ?」
小竜姫がいなので暇をしていたハヌマンが試練の相手をしていて、
「うー。あたちは、蝶でちゅから水辺は苦手でちゅ。でも一緒に行来たかったでちゅ」
と、パピリオがずっと独り言を言っていたとか。

さて、未来にいる美神達追跡の一行は横島の入っていったブライダルショップに
時間差で偵察のため、入っていったのであった。

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