ザ・グレート・展開予測ショー

東京タワー。


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/ 2/ 1)

(注)この話は告白・答え・心・自覚と繋がってます。

昼と夜の一瞬の隙間のわずかな時間。
目の前には西の空にゆっくりと沈んでゆく太陽と無数のビル。
とても綺麗なーだがどこか現実感のない光景。
そして横にいる女性は
かつて一緒に百回でも二百回でも夕日を見ようといった女性では無く・・・
いま現在一応恋人と呼べる存在だと信じたい女性。
(どうも普段の扱いが扱いだけに「恋人」というよりも「下僕」や「丁稚」といったほうが正しいきがする)
「・・・綺麗ね」
とその女性こと美神。
風にその長い髪をなびかせながら呟く。
今日は仕事の帰り。
美神がいつかの夕日を一緒に見るという事を覚えていてくれて見るわよとぶっきらぼうに言った。ならば・・と横島がココに連れてきたのだ。
一緒に見るならココがいいと思って・・。
「でしょう?ルシオラも好きだったんですよここ」
夕日をみつつ顔を少しだけ綻ばせ横島。
次の瞬間
「・・・・・・・−」
すう
と美神の息を呑むのを感じた。
「え?どうしたんすか?」
と美神のほうを振り向き横島。
美神は・・・泣きそうなというよりは少し怒ったような顔をしている。
その燃えるような瞳がいつものように力がない。
「・・・・の?」
ほとんど聞こえないくらいの声で美神。
「え?」
と横島が聞き返すと。
「いいの?」
もう一度繰り返した。
その声には怒りは無い。だがとがめるような響きを感じた。
 「なにがですか?」
と再度横島が聞き返す。
すると美神ははあと頭を右手で抑えたくこれだからとつぶやき
「だから、ココはあんたの大切な場所なんでしょ?大切な想い出の場所なんでしょ?・・
そんな所に私が来ていいのかってそんな大切なところでの事を私に話していいのかって聞いてんの」
人は誰にでも自分ひとりだけの大切な所や思い出がある。
そおゆう場所は自分だけのもので他人・・たとえ親や兄弟友人恋人にでさえも「そこ」は荒らされたく、触れられたくないない。
それは場所や想いというものは存在するものである。
そして横島の場合その誰にも触れて欲しくないだろうとされる「想い」は「彼女」のことなのだ。
大切な「思い出」の場所。
「俺が話したいんだからいいんですって」
そんな美神の想いをしってかしらずかなんでもないように横島。
「?」
・・?
なんでだろう?と思う
彼女は横島の傷である。横島の言動からまだその傷は完全には癒えてない。
横島はそんな美神を見てへらっと情けなく笑う。
「だってみんな俺の前でルシオラの事話さないじゃないですか?」
「・・・そりゃ」
話せる訳がないだろう。
「だから・・本当にあいついたのかなあって時々思うときがあって・・あんなに苦しかったのにでも時間は普通に流れて・・あんなことがあったなんて思えねーくらいに」
「・・・」
「そんで苦しいのもちょっとづつ無くなってでも、不意にすげえしんどい時もあって・・でも誰も話さないじゃないですか・・・ルシオラの事・・それに」
「それに・・?」
と先を促す美神。
「亡骸・・がないじゃないですか。」
と言って横島は自分の心臓の上に手を当てる。
規則正しい心音が聞こえる。
「だからそんな事ありえないってわかってるんですけどもしかしてあいつはおれの幻想じゃねーかって・・・・
もちろん違う事はわかってるんです。
・・・・・・でも
・・・・・・・・だから話したいんです。
誰かと、彼女がちゃんと笑って泣いておれの傍で・・生きてたことを・・
そんでできれば美神さんと・・・」
・・・・・・
「あ・やっぱだめですかねー」
と見事に反応の無い美神にあわてて横島。
そりゃそうだ自分の前の恋人の話を一緒にしたがる女はいないだろうっ。
いつの間にか日も暮れている。
・・・・・・・・・・
奇妙な沈黙が二人の間に流れた。
「そろそろ帰りましょうかっ」
とその沈黙を破るように横島は立ち上ろうと・・・・すると
美神によって再び座らせられる。
「・・・・まったく・・仕方ないわねえ」
とどこか怒ったように美神。
「へ?」
と横島。
「昔の女の事今の女と話したいっていうのはあんたくらいよ」
「・・・そうですよね」
確かにと横島。
「だから話すわよ」
「え?」
「たくさんたくさん忘れないように・・一緒に」
顔中赤くなりながら美神。
「・・・・・・・はい」
ひどく嬉しそうに頷く横島がいた。
おわり






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