ザ・グレート・展開予測ショー

オカルトG−メン西条の事件簿。第六章


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 1/31)

 西園寺はじっとバイヤーをにらんでいた。
「ガキがでしゃばるからこういう事になるんだよ。おとなしくママのおっぱいでもすってればいいもの」
下品な笑みを浮かべながらゆっくりと歩み寄ってくる。
「ふざけろ。さっさとやれよ。それともなんだ?こんなガキ一人自分の手で殺せないと?」
西園寺は恐怖を必死でかみ殺しながら毒づいてみせる。
「・・・ただじゃ殺さんよ、ボーヤ」
バイヤーは毒づかれて返って冷静さを取り戻した。余裕がある、と思ったのだろう、その表情は西園寺の一挙手一投足をも見逃すまいと真剣になった。
 それを見て、西園寺はあえておもむろに笑ってみせる。
「ははははは。あんたやっぱり雑魚だ。この半人前相手にこんな真剣な面をしてる、ははは。そんなことじゃ西条さんに一瞬でやられるよ」
「何とでも吐け。もうお前の命は俺の手の内にあるんだよ・・・」
なまじ細長い男だけに、真剣な顔でゆっくりと向かって来られると、ものすごく不気味である。
「さあきなよ、うど野郎」
「措け、ボーヤ」

ックン!

バイヤーがわずかに怒気を露にして歩みを速めた瞬間、胸元に何かが引っかかった気がした。
「なっ?」
バイヤーはそれに気付いて、慌てて足を引いたがもう遅い。
  
グラァ・・・・。

ワイヤーの両端のナイフは双方山積みになったドラム缶と木の土台の真中辺りに・・・。

がんががらどがしゃああぁぁぁぁぁ!!!

盛大な音を立ててそれが崩れ去りバイヤーをあっという間に飲み込んだ。
「ちゃんとお片づけしないから・・・」
衝撃で舞って服にかかった埃をはたきながら、呟く。
彼ははじめナイフを投げるときに念のためブービートラップを仕掛けておいたのだ。
こうも巧くいくとは思ってもいなかったが。
『にゃぁおん』
「・・・ん?お前あいつの使い魔じゃなかったのか?」
こうもり猫はなぜか嬉しそうに鳴いた。そして西園寺の体から降りると西園寺の足元にちょこんと座って、顔をすり寄せてくる。
「なんだ?」
『みゃおぉぉん、みゃおぉぉん』(訳。あの辛気臭いおっさんに捕まってましたねん。いやほんま助かったわ。奴さんあれでも結構霊力強くてなぁ。あっさり精神支配されてもうたんや。
 あんさんにはえらい迷惑かけたなぁ。ほんま。たすけてくれておおきにやで)
まあこんなような事をいっているわけだが、西園寺にそれが通じるはずもなく、でもなんとなく気持ちは伝わったのか、
「ああ、気にするな。しかしお前これからどうするんだ?」
と頭をなでる。
『なぁーごにゃぁーん、にゃんにゃん』(訳。そうやこれからどないしよ。あんな男でもとりあえずおまんまだけは食わしてくれたからなぁ。そうや、あんさんわてを飼ってくれんかのぉ、役に立ちますさかい。えさなんぞあんさんのおこぼれを預かるだけで結構なんで、なああんさん、頼みますわ)
「・・・しょうがないな。帰りにキャットフードでも買って帰るか」
『にゃぁぁん』(訳。ほんまでっか、いやぁえろうすんません。今日からあんさんがわての主人や。あんじょうたのんまっせ) 
西園寺は何を思ったか、このこうもり猫をペットにすることに決めた。
 彼は無類の猫好きであった。別荘には15匹もの猫を飼っている。自宅にも3匹いたが仕事が忙しくかまっている間がないので、知人に譲ってしまった。
しかしこうもり猫なら使い魔として連れて歩けるし、賢いし、羽が生えているぐらい気にしないのが貴族の嗜み(たしなみ)である。
 こうしてピンク毛のこうもり猫、セバスチャンは西園寺のペットになった。

 西条は倉庫奥からの強烈な音に目を覚ました。
「う、お、・・・・・・?」
頭を降るフルと振って、辺りを見回す。
が、そこにはマネキン人形の頭1つしかない。
「俺としたことが、幻術にかかってたのか・・・」
ジャスティスを握り締めて歯噛みする。
「・・・西園寺!」
西園寺のことを思い出して駆け出す。
 そこでなんともいえない幸せそうな顔でピンク色のこうもり猫と戯れる西園寺を見て、思わずけりをいれそうになったのはいうまでもない。

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