ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 巻之四


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/31)

町の北方に位置する唐巣寺院内の情景を一人の浪人者が中の様子をじっと見定めて、
くくく、姫はここにいるのねー、とほくそえんでいる。
それにしても普段は静かな唐巣寺院内の喧騒状態は何処まで聞こえたのであろうか。
「おや?なにぞ、騒がしいな」
「風炉努留(ヌル)様、そらみみで御座いましょう」
「そうよな、夏傍・琉数寄(ゲソバ・ルスキー)」
いくら彼等と言えど武家屋敷は美神藩の南に位置する。人間なら聞こえるわけが無い」
「御気を付けなさいませ努留様、悟られてはいけませぬ」
「うむ、さて、そろそろ花魁殿がこられるかな?」
-チリーン-
「おぉ、来たように御座います」
自席家老努留の用人(ようにん)の夏傍・琉数寄が慌てて玄関へ向かう。
「これは、花魁殿、よう来られた」
「・・・はい・・・」
『顰に倣う』という諺もこの花魁芽道邪奴(メドゥーサ!)には意味をなさない。
「芽道邪奴、ようきた、ようきた」
早速奥まった自室にいれる。掛け軸は何故か蛸をモチーフにした絵である。
ベタベタと触りまくる自席家老に、平手打ちを食らわす。
「こら、何をする?」
「調子にのるんじゃない。でそっちの準備はできてるんだろうね?」
「うむ、彼奴をこの領内に連れてきてある、何時でも準備はできてるぞ」
「じゃぁ、一回やってもらおうじゃん」
解ったと、自席家老、ぽんぽんと手を二回叩く。
「何で御座いましょうか?努留様」
「おい、人骨藩からの客人をこれへ」
「解りまして御座います」
しばらくして、座敷に現れたのは、死津喪比女が戸をあける。
「なんだ?タコの妖怪!」
「ば、バカモン!今のワシは人間なのじゃ!!よいか、誰ぞ聞いてるやもしらんからな」
「そう言う事ね、田舎の小娘ちゃん」
「なによ?この花魁」
「・・私の知人だ、それよりも、ほんとーに、そなた力をもっているのだな?」
「ためそうってのかい?」
「ああ、軽いのをやってほしいじゃん」
解ったと死津喪比女は、足を踏ん張る形をとり、何事か囁く。
そのちょっと後、地震が起きたのだ。
「見掛け倒しじゃないわね。やるじゃん」
「ちょいとは、見なおしたかい?花魁さん」
「そうだね、じゃぁここの国の姫さんやっちゃおうか?」
「だが、何処にいるか解らぬではな」
「心配御無用じゃん、あたしの部下がすぐ其処まできてんだ」
警備のしっかりしている、努留の館の庭先に見なれぬ男が一人、
誰だ!お前はと用人の夏傍・琉数寄が問い詰める。だが、
「あんた、タイプじゃないのよねー」
と軽くあしらっている。こやつ中々強そうではある。
「やめな。そいつは私の部下さ」
「ほぉ、そうであったか、して其の方、名は何と申す?」
「勘・九郎っていうのよー」
「芽道邪奴の用心棒か」
「そうねー」
「羨ましい事よ。こんな美人と一緒にいられて」
「いや、あたしは、女より」
「念者か、まぁよい、して何しに参ったのじゃ?」
「当然、御主人へ御報告。令姫は北に有る唐巣寺ってところでじゃれあってるわ」
「そうか、では死津喪・・・」
勘・九郎の言葉を聞くや否や、地下に潜りにいったようだ。
「なぁ、芽道邪さま、あきちもいっていい?同心に可愛いのがいるんだ」
「いいよ、いっといで」
我等は手を汚さずにね、と悪党二人はほくそえんでいた。
「あとな、ワシの別の知り合いにもう一人の姫に取付いてる奴がいるのだ」
と、忍び笑いを自席家老はしていた。だが、耳に壁有り、天井裏に忍びあり!!
(自席家老・不正・発見・した!)
家老の毒田薫栖(Dr・カオス)のカラクリ人形、毬亜が忍んでいた。

同刻限御城ではちょっとした、騒動になっていた。
「デカイ地震でござったなー」
「けっこう、破損個所もあるんじゃないちゃんと御休みもらえるかな?」
「え!折角姫様がいらっしゃってるのに!せっしゃ、嫌でござる」
「じゃぁ、ちゃんと仕事しないとね」
「うううーー、そうでござるなー」
おたま(タマモ)と、おしろ(シロ)の会話の中で城内に悲鳴が轟く。
「なんだ?奥方様の悲鳴でござる」
「見に行こう!おしろ」
「うん」
奥方様の部屋に入ると、妙な気配を。次女のひのめ姫がスヤスヤ寝ている。
「あのー、奥方様一体どうなさったので御座るか?」
奥方様の美智恵御前は覚めた顔つきで、
「娘のひのめ・・悪霊に取付かれて・・・、ずっと眠ったままなの!」
その報告を聞いた家老の毒田薫栖がいそいで、やってきた。

同刻、旅篭の魔鈴屋の2階で、地震こわいわぁー、と亭主の忠夫に甘えるキヌであった。
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追加報告
用人=核の有る武家の秘書の総称。
顰に倣う=顰(ひそみ)という病弱な綺麗な姫をブスが真似てもキモいって事。
旅篭=(はたご)江戸時代のホテルだね。

これで、全員集合しました!!ようやく折り帰し地点です。

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