ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 De 時代劇 巻之参


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/30)

唐巣寺、大寺院では無いが住職、和宏和尚の人柄によって人の絶えぬしある仕事もする。
城下町の北方に位置して、小さい庭に四季おりおりの花が付いて行き抜きに格好な処だ。
萬屋六道を出てから、二人は再度北側に駆け出した。
「そうか、和尚様と令子姫は面識が会ったのか!」
「あん?あそこの坊さんの知り合いか、比延蕩(ピエトロ)?」
「あぁ、ここどけの話し、赤子の私を育ててくれた恩人なのだ」
込み入った事情があると見えて雪之丞はそれ以上はいいやと話題を変える。
「で、姫さん見つけたらどうすんだ?」
「巷は危ないので御城へ戻って貰う様説得するのだ」
「巧くいくかねぇ?」
「なんとかする」
意気揚揚とする比延蕩に対し、雪之丞はもう少し冷徹な着眼をしていた。
(おそらく、己の意思で逃げたんだ、そうそうは帰らないとおもうがなぁ)
さて、急ぐ二人を邪魔した物がある。庶民の群れだ。かなりの大群である。
へーきれいだねぇ、とかそんなざわめきが聞こえてくる。
「これは、いったいどうした事だ、」
「さぁなぁ?誰かに聞いてみるか、大名行列じゃないのは確かだけどな」
良い塩梅に大工の寅吉と歌舞伎役者の卵 銀公とあと一匹、群れにまじっていた。
「よぉ、寅吉、銀公」
「あ、これは雪の旦那」
「どうもですのー、伊達様ァー」
「おうよ、時にこれはいったい何だ?」
「おや、雪の旦那御存知無い」
「実はですのー、花魁道中がきてるのじゃー」
「花魁道中?」
花魁とは己の身体を商売にする女の人で、この頃は現在の芸能人に位置している。
その中でも一番人気の花魁が町を練り歩く事を花魁道中という。
以前GSにも出てきた天狗の高下駄を履いて、簪を首まで垂らす、派手の代表だ。
「何でお城の重役様からの御声だとか」
「ふーん」
「そうであったか。いや私もそういう身分になりたいものだ」
「雪さん、時に、こちらの御仁は?」
「あぁ、すまないね。新米の町方同心様さ、俺の知り合いでも有る」
「武等都・比延蕩だ、見知り置け」
「これはどうも、あっしは、銀と云う歌舞伎見習でございやす」
そして、銀公ちょいと、屈んでから、
「こいつは、あたしが持っている犬の麻呂(マーロウ)でやす」
「あっしは大工の寅吉ですわー。旦那が新築の折にはわっしを御指名をー」
「お、雪の旦那、花魁きましたぜ」
「ふーん。綺麗だな、でもちょっと歳いってるなぁ」
色の白いさがもさながら人間の形式美の頂点に位置するであろう、そして、妖しい目。
『ワン、ワンワンワン』
「こ、こら麻呂、興奮するな!」
だが、犬の麻呂だけは、恐怖に慄いて吠えているようだ。なだめる銀公一行だ。
犬の声に、ちらっと太夫がこっちを見たと言うので、若い連中は大喜びだ。
花魁の名は、芽道邪太夫(???)と芸名が付いている。

場所は変わって唐巣寺だ、寺男の権三郎爺(92)がお茶の茶菓子の用意をする。
まだまだ、元気な方だ。先ほどのカラクリ人形毬亜をみて
「ほー、最近の子供は空を飛ぶようになったか・・」
だが、まだまだ現役だ。
「まだ、お父上の事に抵抗を持たれますか?」
「・・・えぇ、御坊」
「ですが、以前なら拙僧の所へは参らず、市中をうろついていたではございませんか」
「そうなのよ〜〜、せっかくーー令姫ちゃんと〜〜、遊びに〜〜行こうと〜〜」
「まぁ、そうですが」
「聞けば、上様は御病気とか、せめて1日でも若衆格好は止めて御城へ」
「嫌、女の格好はきらい」
「そうは、おっしゃいましても・・・貴方がこの藩の姫様だからこその我侭ですぞ」
「いや〜、令子姫が姫様の格好なんて〜〜おめい ないちゃう〜〜」
「なかないでね。おめいちゃん」
姫様に気を遣わすとはかなりのやり手だ。
「ですが、姫様。そんな事ですと、間違われますぞ。確かそのような事があるとか」
「うーん、その手の者から確かに慕われるからね」
「折角の御器量なのです。お父様の為にも」
「はぁ・・・・・・御坊・・・」
何かしらの葛藤があるようだ。さて、同心と浪人の二人組ももう直ぐ其処まできている。
先ほどの町人とはまたそのうち酒でもと確約していた。
「この坂を上がれば、もう唐巣寺だな」
「あぁ、そうだな」
其処に電電太鼓の響と共に、独特の節回しで訴えかける者がいた。
「危ないぞー。危ないぞー、地震がくるぞ、逃げよ逃げよ、はよ出てけ」
そやつは身体の殆どを南蛮布で体を包み目だけだしている。不気味である。
「なんだ?ありゃ、比延蕩」
「さぁ・・あ!ちょっとまってくれ、御手柄やもしらん」
「一体どうしたってんだ?」
十手を懐から出して、比延蕩同心、そやつの前に行く。あれは奉行の言ってた占い師だ。
「ちょっと、来てもらおうか」
だが、そやつは脱兎の如く、逃げ出した。
「雪之丞、たのむ!!」
わかったと、長物の鯉口を切って腰をしず構える、抜き打ちの法だ。
「恨みはないが、大人しく」
だが、そやつは南蛮の着物を脱ぎ捨て尚も突進してくる。
「な!オンナ!」
虚をつかれたとは言え一流の剣士が逃げ道を作らせる訳もない。
逃げ道をたった1箇所、階段を上がる唐巣寺へ向かわせたのだ」
「綺麗なオンナだな、色黒でさ」
「ば、馬鹿!寺には姫様がいらっしゃるのだ」
「はぁ!しまった、御先に!」
追う二人に追われる一人、先ほどの身のこなしに危機感を覚える。
寺男の権三郎爺(92)をおしのけて、土足で寺院に入る。
悲鳴声が木霊する。
「あーーーれーーーーー」
「きゃ!何?何?出入り?」
慌てる二人に対して、和尚は落ち着き払ってる。
「悪いけど、逃がしてほしいわけ!」
「まぁ、落ち着かれよ」
と、和宏和尚。だが、占い師は手に気を溜め始める。
「いいセンスですが、荒いですね。南無!」
気合音と共に、精神波動が寺院内に響き渡る。占い師の爆走はここで終わった。
「おや、以外にしっかりしている」
普通なら倒れるところだ。力を分散させたのだろう。占い師は
(この坊主は強いワケ、じゃぁ人質をとるなら・・女よりもオトコなワケ)
素早く若衆格好の令子姫の後ろに廻り、
「動くんじゃないノ、こいつがどうなってもいいワケ?」
若衆を押さえようとして利き腕を胸元に羽交い締めしたら、
(フニッ)
「フニッ、ってこの感触は・・・えぇ!」
「こ、この変態助平女〜〜〜〜」
怒りに任せた令子姫の力はすさまじかった。和尚が止めなければ、おそらくは、
「なにすんのよ!気持ち悪い」
「誰が変態なワケ?男の格好をしている女の方が気持ち悪いワケ!!」
喧嘩が始まった光景を同心比延蕩と雪之丞は飽きれて見ていた。

さて、先程の花魁一行は、南下して武家屋敷に入っていった。
それを見届けていたのはたった今、京都からきた旅人二人である。
「へー、こんな田舎にもあんな綺麗な女性がいたんだ」
「ちょっと、鼻の下のばしっぱなしよ」
「あん・・あぁ、つい」
「ねぇ、もうちょっとは落ち着いてよ」
「あは、あはあは」
そして、その二人は美神藩で宿泊処に『旅篭魔鈴』を選ぶ。
「いらっしゃいましー」
と来るは女主人の おすず(魔鈴)だ。
「ええ女子やなぁー」
「まぁ、ご主人様、御口が巧い、では人別帳の御記入を」
その人別帳には
『京都 呉服問屋氷室屋番頭 氷室屋忠夫
        其ノ妻 キヌ     』
となっていた。

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今回の権三郎爺さん(92)は以前ツナさんの書かれたシリーズで登場したキャラを
御了解を得てお借りしました。 ここで同君に厚く御礼を申し上げます。

又、今回のシリーズでは横島君は結婚しています。
えぇ、結婚していますとも!!!!!!!!

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