ザ・グレート・展開予測ショー

オカルトG−メン西条の事件簿。第四幕


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 1/29)

 その男の不敵な笑みを西条は挑発と見た。
 だが男に真意は違う。
 男は不敵な笑みを残したまま踵を返して倉庫内に消える。
「追うぞ」
「はい」
二人は迷わず男の後を追った。
 倉庫内は乱雑だった。16本の支柱周辺には木の土台やロープ、ドラム缶などが山積にされ、床には薄っすらと埃が積もっている。ろくに掃除もされていない。照明などはまったくなく、昼間と言えども薄暗く、人が隠れていたとしてもすぐには見つけることが出来ないだろう。
「不衛生だな。所詮は悪辣な人間の住処だな」
「はっはっは。何とでも言いなさい。そんな不潔な場所が貴様らの墓場となるのだからな」
男の声が倉庫内で反響する。これだけよく響くと、声で位置を判断するのは返って難しくなる。
「お前らが私の部下を張っていた事は最初からわかっていたのだよ・・・お前らの中に内通者が居るものでね」
「そんなことありえない!」
西園寺が怒りに任せて怒鳴り返す。
「落ち着け。あれは嘘だ。おそらく奴らが気付いたのはマンションを出てすぐだろう」
「はっはっは。なかなか切れ者だね西条君は。その点西園寺君はまだまだガキだ。はっきり行って使いものにならんね」
「貴様!絶対逮捕してやる!!」
激昂する西園寺。この程度の挑発できれる様では確かに男の言う通り、彼はまだまだ半人前以下である。しかも彼はなまじプライドが高いだけに、きれると手におえない。
「落ち着けタケル!」
西条が方をつかんで落ち着かせようと声をかけるが、西園寺はその腕を振り払ってずかずかと中へ踏み込んでいく。足を踏みしめるたびにぶわっと埃が巻き上がり、目のちらつかせる。
「でてこいよ、不恰好で趣味の悪いおっさん!」
「はっはっは。何とでもいえ。貴様のような下賎なものに私の高尚なセンスは理解できん」
「馬鹿、戻って来い!」
西条は危機感を煽られ、思わず西園寺を追った。
その時、西条の真横から無数の黒い影が襲ってくる。
「ぐぁ?」
一瞬の出来事で何がなんだかわからない西条。目の前に張り付いたそれをもぎ取って確かめると、それは。
「生首・・・!!」
それは先ほどまでつけていたバイヤーの生首だった。さすがの西条もこれには驚愕をしてしまう。思わずそれを投げ捨て、あとずさった。すると足元にも何かあることに気付く。
「何だ・・・うわぁ!!!」
それは同じ男の生首だった。それがいくつも転がっていたのである。しかもそれが一斉に西条のほうを向いた。
「うわぁ、やめろ、見るな、俺を見るな!」
「はっはっは。意外にあっさりとかかってくれるものだな」
男の声がする。しかし西条の耳には届かない。西条は最初の生首に驚いてしまった時点で相手の幻術にかかってしまったのだ。
 実のところ。最初の生首も偽物である。薄暗い中で、しかもほかに気を取られている時にそれを判断するのははっきり言って難しい。巧い心理作戦と言えた。
 一方の西園寺は怒りに任せて更に奥へと踏み込んでいく。
「姿を見せろ!卑怯者!」
ドラム缶を蹴飛ばし、木の土台を踏み壊しながら、奥へ奥へと進む。
「ボス、こんな書きが相手ですか・・・やってらんねぇなぁ・・・」
その西園寺の前ににっと姿をあらわしたのは、先ほど生首やっていたバイヤーの男である。
「どけ!」
西園寺は有無を言わさずナイフを投げた。しかし。
「はぁ?何かやったかがき?」
なんともふざけた言い回しで、バイヤー言う。ナイフは彼には当たらずそのまま後方へ消えていく。
「邪魔だ。失せろ」
しかし一枚上手だった西園寺、彼の実力は先ほどの一戦でもまだまだ発揮されてはいなかった。
調子をくれてる男の周りは何時の間にか鋼線で囲まれていたのだ。
「な、なんとまぁ」
「降参するか、死か」
「・・・わかった、降参する」
男が手を挙げた。
「良し、そのままゆっくり座ってで横になり、手を頭の後ろに組め」
「言う通りにするよ、そんな怒るなって・・・」
男は指示通り横になり頭の上に手を乗せる。西園寺はそれを確認すると、ナイフを回収する。
「・・・所詮ガキって事か」
その瞬間、西園の首筋に猫程度の大きさの何かが張り付く。
「うっ?」
「ばぁか」
バイヤーは舌を出しておどけてみせる。西園寺の首筋に張り付いたのはバイヤーの使い魔だった。猫にこうもりの羽が生えている弱小魔族、こうもり猫である。
「今度は俺が言ってやるよ。降伏か?それとも死ぬかぁ?ひゃあっひゃひゃ」
こうもり猫のつめが頚動脈に食い込む。あと一押しされたら終わりだ。
「くそぉ!!!!」
叫ぶ西園寺。初めて味わう絶体絶命である。
 西条はいまだ幻術にとらわれたままだ。
 いまだ来ない西条を一瞬恨めしく思う。がそれはお門違いだとすぐに考えを改めた。
 これは自分のミスである。
 西園寺は覚悟を決めざるを気なかった。
続く



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