ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 巻之弐


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/29)

 -令子姫様は・若衆(男装)されて・籠から・消えた-
どうやら、姫様の籠の中に用意していたらしい。美神藩に入ってから護衛の者に、
『厠を持て』
と、油断させた隙にするりと抜け出したようだ。
毬亜(マリア)から一通りの説明を聞いた家老毒田薫栖(Dr・カオス)と奉行の西条、
慌てるでもなく新米同心、比延蕩(ピエトロ)に茶の替わりを持ってこさせる余裕だ。
「玲子様の気侭には・・。それにこの町とて安全な訳ではないのだから」
「それは何時もの事よ。江戸処払いの厄介者もいれば、江戸へ行く間者(スパイも)
「そうですね。雑多な人間が集まって出来た藩ですからね」
だが、そういった人々が集まりそして司法が割合しっかりしていたので、美神藩は
3万5千石の土地に10万石以上の力を持つ小さな大藩である。江戸への利便性も大きい。
「さて、何時ものことじゃが、姫様の居場所をさがさねばな。西条」
「御意に御座います。ご家老、私に一計が有ります。最近暇を取った腰元はいますか?」
「うーむ、手元に記帳がないからなぁ、毬亜解るか?」
-明日、オタマ(タマモ)と、オシロ(シロ)が暇ととります、家老薫栖-
「明日二人をつけましょう。今は公に探すよりも能率は良いはずです」
「で。ですがご家老様、姫様に万一のことがあったら如何するおつもりで?」
そこに比延蕩。3杯目のお茶にを持ってくる。実際外に出たくてうずうずしているのだ。
「慌るな。大丈夫じゃよ」
「そうは仰いますが御奉行様」
「のぉ、西条、心配してくれるのであれば、いい機会じゃ。使ってみてはどうかな?」
「ご家老。甘やかしてはなりません」
「怒るな。万一姫様を御発見になったら、悪くは無い、よいかな西条、比延蕩殿」
「はい!やらせていただきたいと思います!!」
「よう言うた!当座の賃金じゃ、心置きなく使え」
そういって、家老の薫栖は小判一両を新米同心にぽんと、やる。
いえ、こんな大層な物は!と慌てる比延蕩に貰って置けと西条奉行がなだめる。

俺一人では心許ないが、他の同心方を使うわけにも行かなとなると、金が物を言う。
藩の中心より北に位置する沼袋町にの貧乏長屋に新米君は向かう、
小汚いところに黒装束(同心の格好)若いのが来るから、町娘はキャーキャーさわぎ。
娘等を跳ね除けるようにして、奥まった一室に玄関前にやってくる。
「伊達、いるか〜」
「おー。新しい同心様か、いいぞ!入ってくれ」
「邪魔するよ」
浪人者の伊達雪之嬢だ。美神藩一の剣術道場『小竜道場』の剣術師範代である。
「今日は仕事ないのか?」
「あぁ、御城では姫様が御帰りになるって事で出前稽古は御休みさ、でなんだ?」
「じつは、その姫様の事なんだが・・」
一通りの説明をすると、
「面白そうだな、俺も参加するかな、でお前姫様の顔しってるのか?」
「はぁっ!」
「だと、思ったよ。しょうがない、出かけるぜ」
「いや、御奉行様に・・」
「恥ずかしいじゃないか、ちょいと金がかかるが、良い方法があるぜ」
二人は町へ行く。浪人と同心が並んで歩いて違和感の無い二人だ。伊達も只者じゃない。
大通りに一旦入り、直ぐに北の方へ向かう。遊郭のあるところだ。
「ゆ、雪之丞、何処へいくんだ?昼間から遊ぶのか?」
「ちげぇよ、それにそんな事したら、お弓ちゃんに怒られちまうよ」
「ふーん。でもいいな、お前もその気になれば好きな女子と結ばれて」
「よく言うぜ、御勤めを持っているほうが、余程かっこいいぜ、お、ここだ」
「この店に何の用があるんだ?」
「錦絵も扱ってる変わった唐物屋さ、お前はここで待っててくれや、あとすまねェが、」
ああいいよと、比延蕩は雪之丞にいくばくかの銭を渡す。
-『唐物問屋厄珍屋』-
美神藩が出来る前より店を出している老舗だが、けして大きい訳ではない。
しかし、扱っている品も少ないながら唐物を扱っているので、売上は悪くないとか。
だが、一つ裏を見れば、御禁制の品やら盗品も扱っているとか。
「あいや、よく来るね。伊達の旦那」
「よぉ珍さん、儲かってるかい?相変わらずか、実はな・・・」
「そうか、姫様を図柄にした・・あるあるよ。極上の物があるね」
「そいつを貰おうか」
かなり高い銭を払って外に出て来て、
「おい、同心殿、姫様の顔、解ったぜ」
「へぇ、どれどれ・・・・んが!」
若衆の格好をす所謂『春画』という令子姫をモデルにした物だ。作には北斎の落款が。
ちなみに、肖像画でも位の高い人の絵など出回らない。令子姫の奔放な性格の産物だ。
「これは!ご禁制の品ではないか!ゆ、許さん、それに姫様・・。」
「おいおい、実際姫様がこんな事するかよ」
そんな同心殿をなだめるのが雪之丞だ。気にするな。奉行様も見てみぬふりさと、
世中の仕組みを知っている雪之丞は述べるのであった。
そして、大通りの聞きこみに入る訳だが、流石にこの絵を見せる訳には行くまい。
雪之丞、器用に普通に見せられるような写しを書いて、大通りに出る。
大通りで一番大きな店は12匹の獣を家紋に付けた『萬屋六道』ある。
ちなみに雪之丞意中の『お弓ちゃん』が奉公しているしっかりとした店だ。
「よ、お弓ちゃん」
「あら、雪さん、いらしゃーい、何か御用?」
「いやね。今は同心様のお手伝いでね」
「拙者、美神藩町方同心武等都・比延蕩(ブラトー・ピエトロ)と申す。実は・・」
と言って、雪之丞が写した絵を見せると、
「あれ?この人、お嬢様のお友達にそっくりだよ!、ねぇみておまり(麻理)ちゃん」
出前から帰ってきた、おまりにも絵を見せる。
「あら、本当!この人とお嬢様の冥様(冥子)とさっき遊びに行くって」
「なんと!してどちらに?」
「なんでも唐巣寺の和宏住職に会いに行くとか」
「そうか!有難う、行くぞ、雪之丞」
「おう!邪魔したな。お弓」
「またきてくださいねーーーーーー」

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追記
・厠を持て=籠での移動時は外に降りては駄目なので、トイレ用の籠もあるのだ。
・若衆格好=本来は歌舞伎等で女役の格好を意味するが、ここでは男装の事。
・剣術師範代=つまり人に教えられる程の腕前を持っているって事。
・春画 =あぶなえ、枕絵なんて事も、所謂エッチな絵の事、多岐川歌麿とか有名。

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