ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 巻之壱


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/29)

『箱根にゃ飽きた、伊豆にも慣れた、次に参るは美神里』
江戸の太平の世も既に10代が過ぎ、庶民も間にも旅行が流行したようだ。旅行先の一つに
江戸より内藤新宿を甲州街道に抜け三目宿に関東八州小京都と奉られる藩が有る。
譜代大名3万6千石の美神藩、通例としては美神里(みかみさと)と呼ばれており
江戸っ子にとって最も近い京都としてちょいとした小粋な旅先となっていた。
現当主は美神公彦様におわします。現在は御病気を煩っているとか。

「これ誰か、誰か家老を呼んでまいれ」
「はっ、家老の毒田薫栖(Drカオス)参上仕りました」
「自席家老の風炉努留(プロ{フェッサー}・ヌル)、参上いたしまして御座います」
「よい、近こうよれ、努留は、良い仕事に戻れ」
「解りましてで御座います。上様」
自席家老の努留様は表面上は穏やかな顔つきだが、陰に廻ると
(くそ、いまいましい家老の薫栖め!)と何かと黒い噂の立つ男だ。
「上様恐れながら被物を召したからお願いいたします」
「うむ、そうじゃな。この季節は暑くて叶わぬ」
「して、御用件は、奥様の圏で御座いますな?」
上様である公彦の病気で妻の美智恵様が江戸からの帰参が許されたのだ。
「そうじゃな。もうそろそろ着く頃だと思うが」
「はい念の為、内々の者を使わせて居ります。万一のことはございますまい」
「いや、それには心配は及ばぬが、」
「姫様の事で御座いますな。まぁなんと申しましょか、御活発で有らされます故」
「しかも、余の事をどうも・・・・・いや、それ以上に市中が気になるのだ」
「あの噂、上様の耳にも入られましたか」
「嫌な病気よ」
「心中お察し申し上げます。ではその件も含めまして」
「あとな、自席家老の努留にいも気をつけよ。何か良からぬ事をたくらんでおるからな」
「解りまして御座います、いや、御病気とは言え恐ろしい御方じゃ」
上様に出て良いと言われ、対策を考える薫栖の前に二人の腰元がやってくる。
市中の噂とは何ですかと、その二人、オタマ(タマモ)とオシロ(シロ)が尋ねる。
「うむ。何でも我が藩に近いうちに大地震を起す輩がいると言うのだ」
「まぁ、こわい・・・でござる」
「ほんとかねー、オタマは信じられないナー」
「まぁよい、御主達は上様の看病をたのむぞ」
「はい!」
「でも地震なんか、人間の手でできるのでござるかな?」
「さぁね。あ、もう一人の家老だ」
「あ、あいつ嫌い、この前、あたしのおしりさわったんだよ」
無駄話するな、と大活を入れたのは自席家老の努留だ。嫌らしい目で二人を見る。
(けぇ、もったいない話しだ、年頃の娘がねぇ)
これは公彦さまの耳に入ってしまうのだ。嫌な奴だが、免職は出来ないのだ。
祖の頃、薫栖はその足で奉行所に赴く。市中の事はやはり、町奉行だ。
表で警備をしている、連中も解っているので軽く会釈して薫巣を中に入れる。
玄関に入り大小の刀も腰間からはずしていると、同心が来る。すかさず、薫栖が口を。
「御奉行殿はおられるかな?」
「いえ、奉行の西条は市中見まわりに出ております、あの、失礼ですが、どちら様で」
「そうかそうか、御主は新米か。家老の毒田だ。見知り置け」
「こ、これは失礼しました。今御茶を!!!」
新米同心はいきなりの高級官僚の査察に驚きをみせるが、
「よい、直ぐにだれぞ持ってくるわ。してお主の名はなんだ?人に名乗らせたのじゃ」
「はい、私 武等都比延蕩(ブラトー・ピエトロ)と申します」
「うむあい解った。じゃがの同心足る者まずは自ら名乗れ、よいな」
「は、御忠告有難う御座います」
そして、熱い茶を飲み干した頃、町奉行改西条輝彦之守が帰ってくる。
「おや、ご家老、いらっしゃっておりましたか」
「うむ、輝彦お主も見まわり御苦労だな」
「いや、裃よりも、浪人姿の方がらくなだけです」
この西条というのは、美神藩の遠山金四郎などと評判の高い男である。
「ご家老、態々の御来場は姫様の事でございますか?それとも噂の・・」
「両方じゃな。恐らくは姫様、入城する前に籠から抜けるはずじゃ」
「そうですね令子様ならまずそうしますね」
「そうならない様にして欲しいのだが」
「まぁ、それは御本人様次第で。で噂の方ですが」
「何か解ったのか?」
「はい、何でも領内の祈祷師が予言したとか、本日その祈祷師の家に行きましたが」
「もぬけの空か」
「ですが何か手がかりは無いかと思いまして、物色しましたらこの印籠が」
「どれ、拝見」
「見覚えのある印籠で御座いますな」
「うむ、こりゃ、自席家老の紋じゃ。西条今は主とわしの胸一つにしといてくれ」
「はい」
一通りの密談が終わった後、奉行所内に何か飛んできた。新米の比延蕩が慌てている。
「うわーー、御奉行ぉ。なにか、やってきます!」
「なんだと?」
遠眼鏡でそれを見るとにっこりと笑って、薫栖に渡す。
「あれはな。ご家老様が御作りになられた、カラクリ人形『毬亜(マリア)』だよ」
「へぇー。ご家老様にそんな御趣味が」
「趣味なんて物じゃないよ、あの平賀源内よりもえれきてるに優れた御方だ」
『家老・薫栖様、姫様は・逃げた・大変』
「やっぱりね。令子さま・・・」
ため息混じりに奉行の西条が呟いた。

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今回はGS面子とその他の方々で時代劇をやってみます。
今回の家老『毒田薫栖』は若い頃だと思ってください。妙に手際のいい男だから。

                  昏無鈴(ぐれむりん)亭遁譜村(トンプソン)

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