ザ・グレート・展開予測ショー

未来掲示及び過去独白の最終話。


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/28)

車で我が家へ戻られましたMsオキヌはオーナーのいる部屋の前におりました。
なにかソワソワして、何事かを決心しかねる御様子で御座いました。其処にタマモ様が。
「あ、タマモちゃん」
「勇気が出ないなら、あたしも付いて行こうか?ううん、恥ずかしいことじゃないよ」
「うん・・・・・。そうね。御願い」
「よし、じゃぁ行こうか!人工幽霊1号、ドアをあけて頂戴」
タマモ様は一際明るい声で命じました。私は言葉ではなく態度で示しました。
「あら、オキヌちゃん、もぉ帰ってきたの?早かったわね」
御一人で珈琲をお召の美神オーナーで御座いましたが、Msオキヌの表情をご覧になり、
「どうしたの?そんな思いつめた顔をして・・」
「あの、美神さん」
「なぁに?相談事でもあるの??」
御二方とも普段通りに喋ろうとなさっておりますが徐々に緊張感が高まります。
「あの、その・・実は・・」
「・・・。どうしたのよ、オキヌちゃん」
「・・・・あの・・・・・・・・」
ですが口が開きません。そしてつかの間の沈黙を破られたのはタマモ様で御座いました。
「オキヌちゃん、頑張って!」
励まされた事もあったのでしょうか、Msオキヌは一呼吸置いてから、
「美神さん、・・・美神さんは、横島さんの事がすきですか?」
「な、な、何よ!突然」
「御願いです。答えてください」
私も驚きました。普段おっとりなさってるMsオキヌが。オーナーは呆然としてます。
「実は・・・私も横島さんに惚れていました。いえ、今でも・・」
最後の言葉は聞こえませんでしたが、何を仰りたいのかは一目瞭然でございましょう。
「あの、人骨温泉のとき会ってから、ずっと、ずっと」
「ちょ、ちょっと待ってよオキヌちゃん」
「でも、あたしを、こんなあたしを心底愛してくれる男性がいるんです」
そうでしたか、先程の男性ですね。タマモ様はじっと手を組んでいるだけで御座います。
「私も最初は本気にしていませんでした。でも今ではその人一緒にいると和むんです」
「そ、そぉなの?でも、ほら、オキヌちゃんまだ学生さんじゃない、それに」
「横島さん以外の男性と和んで怖いなって思う時も有りました酷い事言ったりも。」
とうとう、オーナーは観念したかのようにMsオキヌの目をじっと見詰めました。
「それも含めて、今でもあたしを包んでくれてるの・・・。あたし、私・・」
Msオキヌは再度深く息を吸い込みました。タマモ様は相変わらず不動で御座います。
「あの方の愛を受けとめたいと思いました」
オーナー美神は何も答えず、只じっと。
「でも、心の片隅には横島さんがあいるんです。・・美神さん!」
「・・・なに?オキヌちゃん」
「美神さんは、横島さんを愛せますか?」
オーナー美神は視線を走らせ、肩を小刻みに震わせました。
「ほら、あたしと横島君は前世で・・・」
「そんな言訳は聞きたくありません!!!!」
おそらくMsオキヌは生涯で最も大きいお声を。沈黙が空間を支配いたしました。
不意にタマモ様がゆっくりと部屋の外へいかれました。静かに扉をしめて廊下にいた、
「横島、あんたの出番はもうちょっと先だよ、屋根裏にでもいなよ」
「タマモ・・これはいったい・・。ガレージにいるの、あいつじゃないか」
「自分の心に正直に、それだけでいいのさ」
「あぁ、そうだな」
そういってタマモ様と横島様は屋根裏へ行かれました。
オーナーの部屋の沈黙が解かれました。
「そうね。白状するねオキヌちゃん。きっと横島君がいないと駄目にになっちゃうわ。
 ううん、前世の因果なんて関係無い。今の私、美神令子として横島君が必要なの。
 最初は可愛い弟みたいに感じていたわ。でもさ、あいつの頑張りとか、優しさとか、
 一途さとかね。あんな良い男二人といない、背も高くないし面体だって普通だしさ。
 おねがいオキヌちゃん、横島君は私が責任を持って幸せにさせるわ、うん絶対にね。」
「本当に横島さんを幸せにしてくれますか?」
「私の言って来た事に嘘はあった?」
最後の一言を聞いたMsオキヌの表情はそれこそ絵にも書けぬで御座いました。
「約束ですよ、改めて私の彼しょうかいしますね」
そして今にも溢れそうな涙を堪えにっこり笑ってオーナーの部屋から出て行かれました。
バタン、と扉がしまり、中ではオーナーが自然と涙が毀れて参りました。屋根裏では、
「タマモ、俺・・」
「あんたはもうちょっと待って。これ以上オキヌちゃんに酷い事するなよ、私が行くわ」
タマモ様は急いで下に行かれました。Msオキヌお連れの男性の胸で泣いておりました。
私もMsオキヌが幸せになってくれることを願います。そして、タマモ様が、
「横島、降りてきていいよ、じっくりと話すんだな。もぉあとは無いよ」
そして、ゆっくりと、ゆっくりと階段を降りて参りました。
「失礼します。美神さん」
「うん。横島君」
再度沈黙が襲来しましたが、今回はタマモ様部屋に入らずに外へ行かれました。
その男性の胸で今だに泣きじゃくるMsオキヌに、タマモ様は、車越しに、
「オキヌちゃん、あんたもいい男と知り合ったわね。精一杯甘えなさい」
と仰り、玄関先に腰を据えました。
「オキヌちゃん、どうしたんですか?なんて野暮な事は聞きません」
「そうね、今のヨコシマ君になら説明なんていらないわね」
「あいつは僕も会った事ありますよ、大丈夫です、僕が保証しますよ」
「うん、そして残ったのは二人だけなのよね。あぁ、そうだ、珈琲飲む?」
「頂きます」
「ヨコシマ君が来た時は本当に信じられないほど馬鹿馬鹿しかったわよね」
部屋の中で会話が始まった頃、シロ様が血相を変えて、こちらにいらっしゃいました。
「タマモ、其処をどくで御座る」
「駄目だね」
「頼む、武士の情け!今この状態をそのままであれば、某の・・」
「シロ、あんたの気持ちは良く解る。でもね、本当に横島を必要としてるのはさ」
「それは、わかってるで・・ぐっす・・・。御座る」
「あきらめな。叶わぬ恋なんだよ」
タマモ様はシロ様の肩をポン、と叩き憐れむような眼差しを向けました。
そして、私の陰庭に入られ、悲しいまでの遠吠えを迸ったのでありました。
次に急いで車で来られたのは、西条様で御座います。
「おい!、今横島クンが、令子ちゃんに告白してるって」
余程慌てていらしたのでしょう、パンツとジャケットが違うもので御座いました。
「そうよ、ようやくだったわね」
「そんな、僕も玲子ちゃんに求婚する権利は有る」
「おそかったんだね」
「其処を退け!、退かねばたとえ、君といえど斬る!」
「・・・人間風情が白面金毛九尾事、珠藻に勝てるとおもうかえ?」
その時のタマモ様の御様子はとても強く、信念を持った眼光で御座いました。
「あの、ルラシオって子の魂が昨日美神令子にはいってったわ、これで御分かりね」
剣を構えておりました西条様でございましたが、肩を落としがっくりとしております。
「あのさ、傷心仲間いるんだ、しってるだろ?シロ、あいつと一緒にどっか出かけたら」
その提案に西条様とシロ様は異存が無かった御様子で御座いました。
さて、中の会話は更に進んでおりました。
「中世なんかだと私に勝ったら結婚してやる、なんて御伽噺があるんだけど」
「偉い言い様でなんでうが、止めといたほうがいいですよ」
「解ってるわ、今はどうがんばっても横島君・・・ううん、貴方には勝てないわ」
ずっと弾んでおりました会話が一呼吸置きまして、
「うん。横島君、私を生涯の伴侶としてもらってくれるかな?」
「ハイ、僕の前身全霊をかけて、美神さ・・令子を幸せにしてみせます」
「もう令子よばわりなのね。でもいいわ、良く言えました。御褒美に・・・」
《ちょっと、御待ち下さい!》
「な、何よ!人工幽霊1号」
《オーナー美神、申し訳御座いませんが屋根裏へお行きください、Mr横島》
私は失礼を承知で有無を言わさずオーナー美神を屋根裏に御連れしました。
「なんの、真似だ、人工幽霊1号、事によっちゃあお前もゆるさねぇぞ」
《失礼は重々承知。私も貴方でしたら新オーナーとして、歓迎いたします。心からです》
《ですが会っていただきたい方がおります。今ここに御呼び致します》
よぉ、ひさしぶりだな。ぼおや、約束の骨付き肉、なかなかうまかったぜ。
「マーロウ!」
あぁ。俺の肉体は当に朽ち果てちまったが、心残りがあってな、こいつに頼んだんだ。
「へぇあんた、令子の父親を演じようってわけだ」
そうよ、それが俺が美智恵ママさんからの最も尊ぶ命令なのさ。いくぜ坊や!
攻撃に対して新オーナーは身動き一つ動かしませんでした。
「やめなマーロウ、今のあんたは魂なんかじゃない、残留思念攻撃なんか出来ないだろ」
上出来だ。やれやれ、やっと肩の荷が下りたぜ、あとは任せたぜ、坊や。
「あぁ、あんたの嬢ちゃん幸せにしてみせるよ。御苦労だったね、人工幽霊1号も」
《いえ、失礼致しました、新オーナー、おや、マーロウ様のいられた場所に》
 ―そいつは俺からの選別だ、ママさんからもらった指輪だよ、やるぜ坊や―
そして、屋根裏でミセス美神も奇異な物を発見なされました。
「ふふ。うちの亭主やってくるわね。あら、なにかしら?指輪だわ」
それは蛍の形をモチーフにした可愛い指輪で御座いました。

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