オカルトG-メン西条の事件簿。第二幕
投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 1/28)
車は西条の予想通り、オフィス街を抜け旧第十七倉庫に向かっている。
ここからは少しの間だが人通りが少なくなる。
「いやなところですね」
「まあ、確かに厄介かもしれんなあそこは」
旧第十七倉庫は倉庫街からわざわざ独立したところに建てられた倉庫である。
旧第十七倉庫からさらに3kmほど進んだところに倉庫街があるのになぜ旧第17倉庫だけ離れた、しかもわざわざ人目から隠すかのようにちょっとした林の中に立てられているかというと、第十七倉庫の用途が本来の海外から輸入された造形品の保存だけでなく、極道の人間や右や左や赤い人たちの危ないものの取引の場として使われていたからである。
この辺を詳しく語るとお上との癒着とか、そういうどろどろした話になってしまうので深くは語らないが、とにかくそういう用途で使われた経緯のあるところだから、いかに数年間使用されていないとはいえ、何が出てくるかは想像しきれない。
白のセダンがまず、倉庫へ向かう路地に入っていく。
西条は曲がり角手前で停車すると、無線で連絡をとることにした。
「こちらOG407。現在旧第十七倉庫近くの車道で停車中。ホシは旧第十七倉庫に向かった模様」
『了解。応援は?』
カツレツのいい若い女の声が返ってくる。
「30分、いや20分経って通信の無い場合はすぐに寄越してくれ。どうもやばい匂いがするんだ」
『了解しました。隊長に連絡しておきます』
「それと、西園寺君が今度食事にでもどうかって」
『いいですよ、そっちのおごりなら』
「わかった。その旨伝えておくよ。じゃ、頼んだよ」
『了解。お気をつけて』
ぶっ
「やた、幸ちゃんとディナーだ!ありがとうございます先輩」
「ははは。そうなったらいやでも生きて帰らんとな」
「はい!」
そうじて、生き残るためには二つの手段がある。1つは危険には近づかないこと。もう1つは危険の中でも確固たる信念を持って、たとえそれが不純であっても、それをもって恐れず行動しつづけることである。
危険の中で恐怖につかるより、危険の中でも欲望で顔を歪めている方が遥かに生き残る可能性は高い。
西条は任務中不謹慎であるということを承知で彼女を誘ったのだ。無論彼女がうんと言うのを承知で。西条はそれ以上何も言わず、黙って後部座席のウェポン・ボックスから霊剣ジャスティスとリボルバーを取り出した。
「じゃあ僕はこれを・・・」
西園寺は破魔札数十枚と神通棍とほぼ同じ構造をもつ投げナイフを1ダース、その他精霊石など数点を持ち出す。
「覚悟はいいか?」
「いかでいか!」
西条はこの若者に好感を持っていた。
若いながらしっかりとした正義感を持っており、実力もやがては西条、いや美神隊長にも匹敵するほどになるだろう素質がある。
死なせるわけにはいかない。いざとなったら身を盾にしても助ける覚悟でいた。
西条はゆっくりと車を出す。スーパー見鬼君が激しく反応しているのを横目で見ながら覚悟を決めた。
今までの
コメント:
- 旧第7倉庫なんて、架空なのか解らないのですが、
簡潔に潮の匂いがしてきて良い雰囲気です。
続き期待します。 (トンプソン)
- どきどき (hazuki)
- 西条がかっこよくていいですね。
頼れる先輩って感じで。
渋いおっさんは大好きです(爆
次回も楽しみにしています。
あと、カツレツ>滑舌(カツゼツ)では?
元演劇部からの素朴な疑問です。 (四季)
- 勘違いです。ご指摘ありがとうございます (ツナさん)
- これまた往年の刑事モノを彷彿とさせます。西条と西園寺、好いコンビですね。 (Iholi)
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