ザ・グレート・展開予測ショー

【リレー小説】『極楽大作戦・タダオの結婚前夜』(1)[未来へ]


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 1/27)

 「さてと、これでいいのね。そっちの準備はいい?」
ヒャクメはノートパソコンにデータを入力して、美神の額に聴診器のような物をぺタっとつける。
 「ええ、大丈夫よ」
きっぱりと答える美神。それとは逆におキヌちゃんは浮かない表情を浮かべながらもこくりと頷く。 
 二人は服装髪型をがらっとかえている。美神はポニーテールにしてメガネをかけ、白のブラウスにロングスカート。おキヌちゃんは髪をアップにまとめ、顔には目元を中心に軽く化粧を施している。服はグレーのスーツにミニスカートである。ヒャクメはなぜかそのままの格好だが、彼女はその気になれば身を隠す手段など山のようにあるので、問題はない。
「O・K。一応三人分のエネルギーも確保したし。問題ないと思うのね。移転先の時刻は9:00。場所は・・・多分横島君の近くになると思うから特定は出来ないわ。この部分だけよね、確実性がないのは。ま、贅沢は言ってられないけど。それと一応これを渡しておくわね」
ヒャクメから二人に直径3センチ程度のカプセルのようなものが渡される。
「さっきも言ったけど向こうではなるべく人目につかないように、特に本人とか関係者には絶対ばれないようにね。でほんとに危なくなったときはこのカプセルのここ」
ヒャクメが示した部分、カプセルの側面に小さなボタンがある。
「赤い方を相手に向けてこれを押して。そうすると一時的な記憶を消去するガスが発生するから。5秒間ぐらい相手の意識が飛ぶから、その間に目の前から消えるように、わかった?」
「わかったわ。でも相手の記憶を消さないといけない理由なんてあるの?」
「いくら確定的未来といっても確定された先はまたいくつもの分岐を持つ時間の流れに変わるのね。その流れのひとつに私たちが其処にいる、その時間枠に存在しているという確定的な要素、たとえば知り合いにばれたとか、私たち以外に繋がりのある人間が出来たとか、そういうことね。それが宇宙意思に刻まれたとする。そうするとその時点から宇宙意思に、簡単にいえば時の流れに捕まって流されつづけてしまうのね。
 宇宙意思は指向性が強いのね。
 過去はより確定された宇宙意思が存在するからその流れは緩やかで行き来もしやすいけど未来、A`から先は不確定要素の固まりだからより確定された時を作ろうという意思の流れは過去のものの比ではないのです」
「でもママは二回も成功させてるじゃない」
「彼女の時間移動能力は美神さん、貴方のよりも遥かに優れているのね。彼女の能力を10とすると貴方の能力はいいとこ3、いや2といったところかしら。
 さらに言うと基本的に彼女一人での時空移動だったのが幸いしてるわね。美神さんを連れている時はあなた自身が無意識のうちに力を発揮していたみたいで、負担はかなり少なかったし。でも今回はエネルギーは別として貴方一人の能力での移動だから、より負担は大きくなる。だからできるだけ宇宙意思につかまらないようにしないといけないのね。わかりました?」
「わかったわ」
神妙に頷く美神。おキヌちゃんも緊張は隠せない。
「では、いきます」
ヒャクメが一気にプログラムを完成させると同時に元時空と美神たちを切り離す光の障壁が生まれ、その障壁が消えると同時に時空の間に入る。
「いやな感じね、何度来ても」
「私は初めてですけど・・・なんか一ヶ所だけ光っていてあとは真っ暗ですね。なんか怖い」
「大丈夫よ。ほら出口が見えた」 

ぎゅうん!!

時空の間を超えて出てきたのは以外にも事務所のすぐ外であった。
「あれ、横島君ちにでも出るかと思ったけど」
「横島君は既に事務所に来ているのね。もしかしたらもう同居してるのかも」
「・・・なんかや」
美神はぞっとしないのか、少し顔をしかめた。
「・・・私は・・・どうしたらいいんでしょうか?」
おキヌちゃんは、多分余計なことは考えたくないのだろう、なにかそわそわしている。
「とりあえず様子を見ましょうか・・・ん、んんん???」
美神は何かを見つけたのか、目線をずっと滑らし、ある一点に集中する。
「あ、横島さん・・・え?」
「ヒャクメ、あんた日にち間違えてないわよね・・・」
「え、ええ」
「じゃあ何であの馬鹿、どう見ても私じゃない女と一緒にいるのよ?」
「・・・・・・」
ヒャクメに二の句はなかった。
続く。

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