【リレー小説】『極楽大作戦・タダオの結婚前夜』(その0)[プロローグ(中編)]
投稿者名:Iholi
投稿日時:(01/ 1/26)
__応接机の上の三脚のカップからは、真新しい湯気が立ち昇っている。
__顔を赤らめたままじっと俯いているキヌの隣りで、同じく顔を赤くした美神は不機嫌そうに淹れ直されたミルクティーを静かにすすると、口を開いた。
「全く、ひとの心の中を覗くなんて悪趣味が過ぎるわよ。 まあ、見えちゃうモンは仕方が無いんだけど……。それより今日は何の用かしら? もう神魔の争いは結着したんだから、当分貴方がたに手を貸す事も無いはず……よね?」
『そう、だと良かったんですどね。今回は貴女の時間移動能力を見込んだ神魔上層部からの依頼なのよ。貴女にちょーっと未来に飛んでもらって、ある人を護衛してもらいたいのね。』
「「み、未来!?」」
__まるでちょっとしたお使いでも頼むような気楽な口調でそうのたまうヒャクメは、口をポカンと開けている美神とキヌの対面で晴れやかな微笑を披露している。二人に二の句を接ぐ暇も与えぬまま、彼女は言葉を続けた。
『日付は6月23日。さて問題! これは何の日でしょう?』
「……横島さんの誕生日の一日前、ですよね!」
__そう元気良く叫んだキヌは、確信を込めた眼差しでヒャクメの対応を見守る。
__だがヒャクメは小さく口笛を吹くと、舌打ちしながら人差し指を左右に振った。
『ちっちっち。惜しーい! 半分アタリ、半分ハズレなのね。』
「何よ、勿体付けないで早く教えなさいよ!」
『(あらら、美神さんったら、おキヌちゃんに先に言われてイライラしてる……フフッ。)』
__ヒャクメは呑気に美神の心を覗いていたが、すぐに彼女が本気で怒り出す徴候を察知し、慌てて解答する。
『せ、正解は、今回の護衛のターゲット、未来の横島さんの結婚式の前日、でした!』
「「よ、横島くん/さんの……結婚!?」」
__先程とは比べものにならない程に深い沈黙が、事務所全体を覆い尽くした。
__アシュタロス騒動を機に、神魔の間にあった緊張は嘘の様に氷解した。神魔両陣営の武闘派はぴたりと鳴りを潜め、神界と魔界の間を和平派による公式の使節団が行き来する様になり、かつての対立がもう何十年も昔の事に思える程だ。
__しかし、神界と魔界の上層部は未だこの状況を楽観視してはいなかった。
__和平が成立したのは、あくまで地球圏内の神魔と云う二大勢力の間でのみに過ぎない。依然地球圏内にはヴァンパイアなど少数ながらも強大な力を持った太古種族が存在している。少し地球を離れてみると、月には迦具夜を元首とする月神族が、また星々には牽牛や織女などの天星神族などが文字通り星の数ほど存在する。彼らは地球圏の神魔とは独立した存在であり、いつ地球に牙を剥くか、また地下に潜った武闘派勢力と接触するのか、全くもって予断の許さない状況なのだ。
__そこで神魔両陣営は、地球圏外勢力に対する情報収集と、未来情勢のシミュレーションに於いて全面的に協力し合う事となった。情報収集は諜報部と軍が担当し、シミュレーションは土偶羅魔具羅をメインシステムに組み込んだ大規模なシミュレーションマシーンによって行われる。
__さて、このシミュレーションマシーンの仕組みについて、模式的に説明しよう。
__ある過去(仮に点Aとおく)からは、シャワーの水の様にあらゆる方向の未来(点B1、B2、B3、…)に枝分かれする可能性がある。そしてそれらから同じようにして更に新しい未来(点C11、C12、…、C21、C22、…、…)に枝分かれする。このまま行けば最終的(?)な未来は、それこそ数え切れない数になりそうなものだが、実際そうはならない。それはいわゆる『宇宙意思』の作用によって、未来の枝分かれ可能な範囲が自ずと制限されるからである。つまり、最も発生する可能性の高い本筋の時空の流れから離れるほどに、『宇宙意思』の作用は流れを本筋に戻そうと強く働くために、全ての未来はある一点(点A')において再び重なり合うことになる。この接点を仮に確定的未来と呼ぶ。
__要するに、幾つかの未来の行く末を適切な条件下でシミュレートしていけば、同じ時空間で全ての未来が重なり合う接点、つまり確定的に発生する未来を特定する事が理論上可能なのである。
__このシミュレーションマシーンのシミュレート部分に、例の宇宙のタマゴがほぼそのまま流用されているのは、歴史の皮肉というものだろうか。
「で、その確定的未来とやらと横島クンの、その……結婚と、神魔と、一体どんな関係が有るのよ?」
__ソファーに深く腰を沈めた美神は、照れを隠すように腕組みをしながらヒャクメを睨んでいた。キヌも深刻な眼差しでヒャクメを見積めていたが、「結婚」という単語が聞こえた瞬間、まるで提灯の様に顔を赤くした。
__今の二人の心を読むのに、心眼などは不要であった。ヒャクメは吹き出しそうになるのを堪えるべく、ゆっくりと肺の中をミルクティーの芳香で満たした。
『……実はね、本当に重要なのは彼じゃなくて、彼の娘の方なの。』
__ヒャクメには、応接室の空気の流れが一瞬、止まったかの様に見えた。
今までの
コメント:
- 後半になんだか訳の分からない事がダラダラと書いてありますが、読み飛ばしてもらっても何ら差し支えありません。全部ウソっこ理論だし(ドクロ)。僕自身は全然SF者では無いんですが、どうも理屈っぽい事が好きな性分なもので、ついつい調子に乗ってしまいました。てひひ(反省の色無し)。
土偶羅様の出番は多分これが最後でしょうかね(ドクロ)。 (Iholi)
- しかし、見事なまでに参考にならない投稿だなぁ(ドクロ)。
まあ、皆さんの良き反面教師(@勝手に改蔵)にしてやって下さい。
こうは、なるまい。 (Iholi)
- ・・・凄いなあやっぱ (hazuki)
- 初っ端から、どきどきの展開ですね。
うをー、このテンションは・・・♪ (四季)
- うはぁ。
基本的にファンタジー派の私にはSF的ネタは苦手です(いや、ぶっちゃけた話まともにPCソフトのインストールも出来んかった。win3.5時代。よーするにメカ音痴)
然し気合は言ってまんな、旦那・・・。 (ツナさん)
- おお・・・凝りに凝ってますね〜。
そうかあ、『宇宙意思』の作用だったのか(笑)
Iholiさんの説明読んでると嘘に思えんです。いやマジで(笑)
・・・・・この先、どう続いていくんだろ?
横島の娘だから・・・やっぱり「彼女」がキーなんですかね。
明日が楽しみです(夜中ばっかし(苦笑)) (νタイプ【C】)
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