ザ・グレート・展開予測ショー

プリンス・アンド・バタフライ 大ハード。


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 1/23)

「殿下!もう鬼ごっこはここまでです!」
小竜姫は精一杯の威勢を込めて、天竜童子とパビリオの前に立ちはだかった。
「どけい、小竜姫、これは余が命である!」
「どきません!良いですか殿下、形はどうあれ私たちは人間界に被害を及ぼしてしまいました。これはまぎれもない事実!」
「だからどうしたというのだ!」
「殿下は神殿へお帰りいただき、パビリオには一月の禅行を申し付けます!」
「なぜパビリオのみに罰を与えるか!パビリオが罪は我が罪と同様のはず!納得できる答えなくば余はここから一歩も引かんぞ!」
「殿下はやがては竜族をすべる王となられるお方。そのお方が下々のものと同等の罪を負うこととならば、下々の者はさらに厳しい懲罰をうけねばならなくなります。それが貴方の立場というものです、殿下!」
いつにもまして小竜姫のの口調が厳しい。そう、彼女は彼の家臣として、そして教育係として、さらに姉のような存在として、いかに厳しかろうと彼に現実を叩き込まねばならないのである。
 天竜童子も愚物ではない。その意を察して反論を止める。
「さぁ帰りましょう殿下」
「む・・・」
不承不承に頷く天竜童子。これ以上の抵抗すれば自分だけでなく他のものにも迷惑をかけてしまう事を彼は理解していた。
「ふぅ。幼いころ父上に言われた事を今になって思い出したぞ。主たるもの家臣に本音を見せてはならぬ。見せればその者を死に追いやることもある、と。この場合は少し違うかも知れんが、きっとそういう事なのだろう?小竜姫」
「はい、殿下」
「・・・パビリオ、悪かったな」
申し訳なさそうに言う天竜童子。
「いいんでちゅよ。私も楽しかったでちゅ。・・・あーあこんなことならあの時人間界に残るんでちた」
はにかんだような笑みを浮かべるパビリオ。
「大変ね、神も悪魔も」
「あ、タマモさん。ええ、いろいろと、ね」
「あの、僕はいったい・・・」
タマモの後ろで背中と右腕から血を流しながら呆然としている真友君。
「あ、ごめんなさい、忘れてたわ」
小竜姫は慌てて真友君の様子を見る。そして傷を見て取ると、
「じっとしてて下さいね」
傷口に手をかざす。そして真友君がかざした手が暖かくなったのを感じたとの同時に傷口から痛みが引いていく。
「はい、治りましたよ」
「あ、ありがとうございます。
顔を覗き込まれて思わず顔を赤くする真友君。その尻をタマモがぎゅっとつねった。
いたっ、と真友君が飛び上がる。
「ははは馬鹿な奴じゃ!」
「笑うことないじゃないか」
テレ笑いをする真友君。
「あ、結構いい顔するんでちゅね、天ちゃん」
不意にパビリオに言われて、ギョッとしたのは小竜姫。まさかそれはないだろうと思いつつもつつつぃっと二人の間に割り込む。
「え、何を言っておる?」
天竜童子は何食わぬ顔して聞き返す。
「パビリオ」
小竜姫がパビリオの肩を小突く。
「なんでちゅか?」
「殿下はだめよ、あきらめなさい」
「天ちゃんは友達でちゅ」
あっけらかんと言ってのけるパビリオ。
小竜姫はまぁ、今のうちだけはねと思った。
「あ!」
その時タマモがある重要なことを思い出した。
「どうしたの?」
「横島と美神さん・・・」
言われて全員が一斉に横島と美神に視線を移す。

「よこしまぁ!!」
「いいかげんにしましょうよ美神さん!」
まだ横島をどつこうと鞭を振るいつづけている美神。横島も捌き切れなくなったか、霊波刀を発現させて応戦し始めている。しかし美神と横島によって発散される余剰霊気が膨張し徐々に周りの木々をなぎ倒し始めている。
「やめい、二人とも!」
「やめるでちゅ!」
「お願いです、これ以上面倒を増やさないで!」
「いいかげんにしたら?」
「あう、僕には何もいえない」

「おキヌ殿、ここは他人の振りをしようでござる」
「そうね、シロちゃん。ここまで来たら私たちにはもはやこれ以上関わらない事しか救いがないと思うの」
いかに寛大なおキヌでも、あれを如何こうしようとか、フォローしようとは思えなかった。
どんどん膨張する霊気の圧力。横島と美神は超一流のGSである。その二人が、いやどちらか一方でも霊力を抑えることが出来ないほど狼狽したとしたら。
「・・・あそこ、密閉空間でござる・・・」
「うん、確か特殊軽量硬質プラスチックで覆われてるって、案内にあったよね・・・」
二人の下へ、結局横島と美神を止める事に失敗した天竜童子一行が駆けつける。
「どうにかなりませんか?」
おキヌちゃんが一応小竜姫に尋ねる。
「あそこにいても私たちは大したことないと思いますけど、止めることは至難の業ですね」
もはや打つ手なし、と小竜姫。
「あのまま霊圧があがったら・・・」
「ぼん、だな・・・」
「ドグラ様にもらった資料で見まちた。大気中に一定濃度以上の霊気がたまると、霊的化学反応をおこして大気とともに一気に膨張、爆発するって。だから密閉空間では本気で戦うなっていわれまちた」
はっきり想像するのも怖い。
「まぁ人間同士でちゅからせいぜいこのパーク10分の1を吹き飛ばす程度でちょう」
バークの広さは5kuあまり。つまり・・・。
「逃げましょう、皆さん」
小竜姫が神妙な顔で言う。
「ここから先は美神さんと横島さんの責任ということで」
まったく持って無責任である。が、皆その提案に乗った。こくりと頷き、
「逃げるのじゃ!」
「でちゅ!」
パビリオと天竜童子を皮切りに一気にその場から逃げさる。
その直後。

ぱん、ぼばん!!!!!

ジャングルパークは回りのアトラクションをいくつか巻き込んで壊滅した。
けが人が出なかったのがせめてもの救いであるが、それについてはある人物、いや神様が少しだけ手助けをした結果である。

「な・・・」
「しむ・・・」
爆心地には何がなんだかわからないまま立ち尽くす、横島と美神の姿があった。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa