ザ・グレート・展開予測ショー

過去独白(マーロウ美神親子を語る) その5


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/23)

この頃ママさんは夜遅くのご帰宅で有る事が多い。どうやら厄介なヤマでもあるんかな?
で、朝から嬢ちゃんママと喧嘩さ。毎度の事ながら他愛も無い会話なんだがな。
「おはよう、令子」
「帰ってたんだ、ママ」
「帰ってたんだ、ママじゃありません!オハヨウのあいさつは!」
「いいじゃん、別に」
「駄目です!そんな事言う子には食事はあげません!!!」
「じゃぁ、いらないよーだ ふん、学校行ってくる」
「令子!」
「駄目です、朝はキチンと食べなさい、パパに言いつけますよ!」
「いらないの!令子ダイエット中なの」
テーブルの上の目玉焼きとパンとスープはそのままだとさ。もったいない話よ。
「反抗期なのね」
ママさんは嬢ちゃんの態度について、理解を示している。
なんで、あそこまでなっちまうんかなぁ?
「人間てそんなものよ、マーロウ。あたしもあんな時期があったわ」
ますます不思議だね、人間って奴は。
「マーロウ、最近、私が帰り遅いのもこのあたりに何かいるのよ」
悪霊か!じゃぁ、嬢ちゃんのガードもしっかりしないとな。
嬢ちゃんの登校に付いて行くのが今の仕事だ、だが俺にも反抗するんだよな。
「付いて来るな、マーロウ。もう私は一人でなんでも出来るのよ」
何が一人で出来るのよだ、まだ子供なのに何いってやがる。化粧よりランドセルだろ?
それ以上に危ないのは霊の攻撃だ。残念だが一人立ちを語るには未熟すぎる。
「令子だってもぉ、霊力はあるのよ!あんたの力なんか借りなくても!」
ほぉ、何が出来る?言ってもらおうじゃないか。だが、嬢ちゃんが突っ張るのも解る。
『あー令子、また保護者同伴だ―』『御風呂もいっしょなのん』『あいらぶマーロー』
あー、出やがった近くの男の子軍団だ。可哀想に嬢ちゃん、顔を真赤にしているよ。
しかも俺の名前はマーローじゃない、公家じゃあるまいし。マーロウだ、マーロウ。
学校内でも良い先生に巡り合えなかったのも不幸だな。己の常識しか信じないタイプだ。
「令子ちゃん、やっぱり犬と一緒の登校はもう、駄目だよ」
あんたなぁ、万一のとき嬢ちゃんまもれんのか?無責任な事言うんじゃねェよ。
だが、嬢ちゃんとしても、一人前に認められたい一心か、はたまた単なる反発か、
学校が終わって仲の良い女の子連中はやれピアノだ、絵画だのと御稽古事で忙しい。
小さい時は嬢ちゃんも遊ぶ相手がいたけど、少ないんだよな。嬢ちゃんの御稽古事?
考えても見ろ、いつ襲われるかも解らないんだぜ、おいそれと人に預けられるかよ。
公園へ行っても男の子連中にからかわれるだけ。まぁ嬢ちゃんが可愛いって事だけどな。
ママさんは仕事で夜遅くになっても帰って来ない時もあった。鍵っ子だよ嬢ちゃんは。
その日の夜、庭での事さ。
「はぁ、今日もママ帰ってこないのかなぁ」
そうだな、嬢ちゃんママさんはすっごく忙しいひとだからな。
「う、ううん、寂しいんじゃないのよ」
なーに、いってやがる。寂しがっているくせに。
「違うよ!家にいると、うるさいのよ」
・・・・嬢ちゃんの方が、よっぽどだぜ。
「ねぇ、マーロウ、お父さんどうしてるのかなぁ?」
お父さんって公彦のヤロウか、・・電話してみるか、
だが、俺もしらなかったが、『時差』って奴の関係でこの時間は全然繋がらない。
こっちの夜は向こうの昼だな。だから、西条にも電話は繋がらない。
「ぶーー」
誰にも繋がらずため息をつく嬢ちゃん。モソモソと一人で飯を食って、ご就寝。
たしかになこんな生活じゃぁ、一人で出来るなんて言っちまうのもわからんでもない。
でもよ。ちゃんと嬢ちゃんの寝顔を毎日みてるんだぜ、ママさんはよ。
俺が寝床に入るため外に出た時に嫌な気配を感じた。悪霊が腐敗したような匂いだ。
そいつは直ぐに消えちまったが、敵は近くにいる。気を引き締めないとな。
次の日の放課後、嬢ちゃんにガ―ガ―言われながらも付いていく事は許される。
近くの公園だに寄ると男の子軍団がいた。俺を囃し立てるかな?と思ったんだが。
「おい、なんだよ、こいつ、しにそうじゃん」
「でもなんちゅう、動物だ?」
「哺乳類にはちがいないんだがなぁ」
おれは感じた。嬢ちゃんも解っていたみたいだ!
「あんたたち!逃げなさい」
嬢ちゃんが叫ぶ、たしかに一刻をあらそう時だ。だが普通の奴等にはわかるまい。
キョトンとしてやがる、
「な、何いってんだ?美神ィ」
嬢ちゃんと俺は有無を言わさず連中の興味の対象を確認する。お前は・・・餓鬼!!
子供の代名詞にもなってる『餓鬼』とは違い地獄の亡者だ。何等かの手違いで現世に。
俺はありったけ吠えた、お前等、とっととはなれろ!と。
「お。おい、なんだよ、美神。これは俺等のモンに・・・犬に攻撃させるなよ」
「ちがうの!それは危険なな!!」
「危険?」
「もぉいい、マーロウ、こいつら遠くへやって」
合点承知!!俺は命令されるがままに男の子連中を威嚇する。
「こ、こわいよーー」
と、泣き出しちまいやがった。あー、この大変な時に!とっとと離れろ!!
餓鬼の方も黙って見てる訳じゃない。嬢ちゃんをキッ、と見据えて、
『・・ワ・ガ・ノ・ロ・イ・ニ・クッ・セ・ヨ』
忌まわしいまでの声を聞いたら男の連中の一人から臭ぇ匂いが漂う、ちびったな。
嬢ちゃんはそんな戯言に耳を貸すほど愚かじゃない。ママからもらった封印札を持ち、
「我が名は美神!先祖より受け継ぐ血を持って汝の身を置くべき世界に送り返さん!」
かっこいいねぇ。魔法の発動により、奴は吸引されるだろう。だが心が殻の奴がいる。
遠くに離れろっていった男の軍団だが、リーダー格の奴は気絶していやがった。
ほれ、ちびった奴だよ。
『ク・ゥ・イ・ヤ・ダ ノ・リ・ウ・ツ・ッ・テ・ヤ・ル』
体の一部が気絶した男の子目掛けて飛んで来た。嬢ちゃんさせまいと素手で攻撃するが、
『ソ・ン・ナ・コ・ウ・ゲ・キ・キ・ク・カ』
そうだ、今と違って道具そのものの効果に頼るしかないのだからな。
だがよ、餓鬼さん、あんたは忘れているぜ。俺のことをさ。
弱まった餓鬼なんぞ、俺の一声で消し飛んだ。憐れな奴さ、頑張れば転生できたのに。
「サンキュー、マーロウ」
大した事ないぜ、嬢ちゃん。
「あんた達、これに懲りたらへんなものいじんじゃないわよ」
「う。うん、うん」
そしてだ、嬢ちゃんは放心状態の男の子にぼそっと一言いったんだ。
「わかった?オモラシ君」
奴の顔といったら、情けないやら悔しいやら、でも少し顔が赤みを帯びていたり・・・
っくうくく。あれは今思い出してもオモシロイぜ。嬢ちゃんも意地がわるいねぇ。
でもいい女の条件だろ?なぁ横島坊や。
「おい、だれが坊やって、お前から見ればそうなんだな、面白い話しだったぜ」
俺も嬢ちゃんのお気に入りと坊やとサシで話せてうれしいぜ。おっと、そろそろ、坊やの文殊の効果が切れるか。丁度だったな。
また今度だ、約束の骨付き肉、ちゃんともってこいよ。
今回、文殊「聞」を応用して妖怪連中に混じったのは横島であった。
何となく解ったそうだ。マーロウが美神さんの話しをしていると。
骨付き肉を条件に会話に加わったそうだ。

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