ザ・グレート・展開予測ショー

過去独白(マーロウ美神親子を語る) その4


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/22)

一日中暖炉の火が消えないのは人工幽霊1号が一晩中見張りをしているからだ。
マーロウは雀の鳴き声に反応したのか、目を覚ました。あたりは大分明るい。
《おはよう御座います。Mrマーロウ》
ワンと答え、ブルルッと体を振るわせ眠気を追い払うと、其処にミルクがやってくる。
「おはようで御座る。マーロウ殿」
おや、人狼の可愛い子ちゃんか、おはようさん、
「マーロウ殿昨日、美神殿の事を話されておりましたが、もし良ければ・・」
リクエストか?・・西条の事か。西条と美神の嬢ちゃんが成ればお師匠と機会はあるか。
まぁいいだろう、どうせなら、近くで聞いたら?狐の奥さん・盗聞きは趣味わるいな。
「私が誰の奥さんなのよ?」と悪びれもせずタマモも近くで暖を取る。
じゃ揃ったところで話すかね。だが嬢ちゃんには秘密にしとけよ。俺が怒られンかんな。

日本での家はママさんが以前御世話になった人の伝手で親子二人には最適な環境だった。
具体的にどこぞこの何町ってのは、忘れちまったがな。
日本に来てから直ぐに親子とも魔物に襲われたんだよ。聞いてないか?ハーピーって奴。
あの時は俺は、嬢ちゃんをかばって攻撃受けて死にかけてたんだ、だから未来にってな。
あの騒動が一段落してからの事さ。
「ふぅ、只今。マーロウ」
「まー!マーロウ、元気になったでちゅか?」
ワン・・・もぉ元気だ、だから嬢ちゃん、あの特性の薬は止めてくれ。不味いんだ。
「まだ元気ないでちゅねー、じゃぁヤモリの特製おくしゅり(御薬)つくるでしゅ」
俺は怪我なんだがなぁ・・でもおとなしく飲むしかないなぁ。
そうやってオママゴトしている嬢ちゃんを台所に連れて行き、ママさんが俺に話をする。
「マーロウ、貴方があのバブリーな鳥女気付いてくれて助かったわ、栄光の傷ね」
有りがたい言葉だな。
「本当はあの子に霊能の世界を知って欲しくなかったけど、そうもいかないわ」
あぁ、ある程度は自分の危機を回避できるくらいの力は必要だな、同感だ。
「賛成してくれるのね、マーロウ」
俺の体が動かないんじゃぁしょうがないだろ?
「実は前から六道さんの本家から頼まれていた事があるのよ、でもねぇ、人妻だしー」
心配を余所に、研修生という触込みでやってきたのが、高校生の西条ってぼっちゃんさ。
当然俺の特殊な能力も見ぬいていたた。でもな嬢ちゃんは勘違いをしてたんだ。
「え!新しいお父さん!!」
「ち、違うわよ、令子・・西条クンも照れないの、いい、令子。西条さんは・・」
オカルト修行の一環だってぇのがまだ解らないんだろうな。でもあの時は慌てたぜ、
嬢ちゃん、町も地図も解って無いのに家飛び出しちまってな。
急いで嬢ちゃんを探しさ。イイカッコ付けの西条はボーゼンと経ち尽くしやがった。
「ワン、ワン」
「なんだよ、マーロウ君、そんなに吠えたてるなよ」
何メソメソしてやがんだ?女に振られたからか?
「違う、そんな事じゃない!!でもショックがでかくて・・」
張り倒そうと思ったね。あのなぁ。嬢ちゃんはパパが好きだったのに別れちまってんだ、
だから、寂しいんだよ、だが、その心の傷に触れまいとしても成長出来ないだろ?
いいか、新入りの西条、付いて来い。俺の鼻で嬢ちゃんを探すさ。
「わ、解ったから、裾を引っ張らないでくれ、おい、こらー」
何がおい、こらだ。嬢ちゃんが危ねぇんだよ、悪霊に狙われ易い体質だからな。
嬢ちゃんの匂いを手繰るうちに嫌な予感はあたった、魔物が狙って、後つけてるようだ。
鬱蒼とした雑木林に嬢ちゃんは逃げこんだようだ。その中こそ、悪霊の結界だな。
「・・・自縛霊だな・・」
この坊ちゃん、霊能力は本物らしい、まぁ当時の俺の方が勝ってたがな
東京郊外の雑木林何ざ早々広いもんじゃない。譲ちゃんが居る場所はすぐ解った。
クソ汚い格好の悪霊が嬢ちゃんに取り付こうとしている。ぶっとばす!
俺と西条に気付いた時に大声を出したんだ、
「ママァ!マーロウ、助けて―」
「くそぉ・・・どうすれば、令子ちゃんの所にいけんだ・・・」
空気が俺たちの邪魔をする、霊障波動だよ。ちょいと厄介な奴だな。
・・おい、坊やお前さんは、剣で空気を斬れると思うか?、
「なんだって?マーロウ」
わからねェか?力じゃ駄目だぜ、この霊障は俺が取り除く。そしてボスは譲るぜ。
「解った、任せてもらうよ」
良い返事だ。俺は遠吠えを正面でなく壁を掠めるように上方に吠えていく、
気圧を変えちまえば、空気は力を失う。だが、危険な技だ。俺も果てちまう。
だが、一瞬の空白を坊やは巧く使った。霊の剣、正義の名の元にジャスティスを奴に
ぶち込んだ。
自縛霊は伸びちまってな。嬢ちゃんは西条坊やの胸元でワンワンと大泣きさ。
「うえっ、うえっ」
「あーあー、大丈夫だよ、令子ちゃん・・」
「こわきゃったーよー。パパー」
プッ、って俺は笑うしかなかったねぇ。坊やも苦笑さ。
「ち、違うよ令子ちゃん、僕は君のうーん、そう、お兄ちゃんみたいな物だよ」
「あ!そーなんだぁ!」
妙に明るい声ではしゃいで、気絶しちまいやがった。ふう。任務完了かな。
お家に帰る途西条の坊やの背中で目を覚ました美神の嬢ちゃんは、甘えてるんだ。
「ねぇお兄ちゃん」
「なんだい?玲子ちゃん」
「あたしはなんで狙われるの?」
「うん。それはね、令子ちゃんも特別な血をもってるんだよ。僕もそうだったんだ」
「特別な・・?」
そして西条の坊やから霊能の一通りの説明を受けてな。彼女も決心したのよ。
ママさんも反対はしなかった。いや、出来なかったのさ。
で坊やの教えかたの甘い事、甘い事。そして嬢ちゃんは甘えていって芽生えたんだな。
坊や渡英の時、嬢ちゃんは告白してるんだよな。だがよ、二人とも子供だったのさ。
あの日から嬢ちゃんはちょとだけレディになった事だよ。そして夜に雨が降っていたさ。

《Mrマーロウ、大変面白い話でしたが、そろそろ、オーナーがやってきます》
じゃ、ここいらで御開きにしよか。 また今度だ。

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