ザ・グレート・展開予測ショー

プリンス・アンド・バタフライ+α 4と9/102


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 1/22)

 きらびやかな装飾。
 これでもかといわんばかりの光物と明るい音楽。
 何十人ものキャラクターがにこやかに手を振りながら練り歩く。
 なんともにぎやかなパレードを、天竜童子とパビリオは二人並んで楽しそうに見ている。
 横島はそんな二人を見逃さないようにしっかりと後ろを歩きながら、美神たちの気配に気を配っていた。
 「おい、二人ともそんなに遠くへ行くなって。はぐれたらどおすんだ」
「わかっておる、わかっておる」
「しっかり着いて来るでちゅよ」
二人は振り向きもせずにパレードを眺めている。
「ったく、しょうがないな」
そんな二人を見ていると美神たちを気にするのがばかばかしくなってくる。
「ほら、これならもっとよく見えるだろ?」
人ごみで見ずらそうな天竜童子をひょいと抱え上げる。
「む、放せ横島、余は大丈夫じゃ!」
「うるせぇ、いいからしっかりつかまってろ!」
「パビリオも見辛いでちゅ!」
天竜童子を抱えている横島の背中にパビリオが飛び乗る。
「ぐあ、おぶねぇな」
「気合入れるでちゅ」
「・・・わかったよ」
旗から見ればそれは親子ぐらいに見えるかもしれない。そのぐらい仲睦まじい姿だった。

「ねぇねぇ真友君、今度は何に乗ろうか」
「そうだねぇ、ほとんど乗り尽くしちゃったしね」
タマモと真友君は一通り乗り物を乗り倒して、それでも元気いっぱいに次のアトラクションを品定めしている。
「でもほんと美神さんの知り合いでよかったわぁ。入り口の係員に言ったら黙ってVIPカードくれたもの。」
「はは、でも僕までいいのかなぁ」
かなり気まずそうな真友君。彼は結構良識人である。
「いちいち気にしちゃだめよ。そういうことは」
タマモはそんなことまった気にも止めてはいない様子だ。
しっかりと真友君の手を握って、彼をリードしている。
「あ、パレードやってるよ、見に行こうよ」
歩きながら掲示板を見るタマモ。目を輝かせて真友君を誘う。
「うん、そうしようか」
「うーんやっぱ元気ない?」
「そんなこと無い・・・なんてうそかな」
ふと寂しげな表情を見せる真友君。
「おとうさんと離れるのはやっぱりいや?」
「そりゃ、まあね。そうだけど仕方ないよ。大人の決めたことだしね」
「仕方ないか。ごめん、私やっぱり人間のことよくわからないのかもしれない」
「そんなこと無いさ」
「え?」
意外な言葉にタマモは真友君の顔を見る。
「これから少しずつ覚えていけばいいよ、僕がそばにいていろいろ教えてあげるから」
「それってプロポーズってやつ?」
「え、そんなんじゃない、よ、うん」
顔を真っ赤にして否定する真友君に笑顔を返すタマモ。
「私は妖怪よ。わかっていってるの?」
「そんなの関係ない・・・いや、それでもいいよ」
「・・・あと十年しても同じ事いえるなら信じてあげる」
「言えるさ!」
ムキになって言う真友君。
「ほんと?」
「うん!」
「ありがと」
「え?」
思わず聞き返す真友君、顔の距離が数センチまで近づいているのに気付いて慌てて顔をそむける。
「なんでもないよっ!早くパレード見に行こうよ。行っちゃうよ!」
照れくささを隠すようにぐいっと手を引っ張るタマモ。
「あ、うん、うん!」
なんだかうれしそうな真友君、辛気臭さを吹き飛ばすように首を振ると、タマモに引かれパレード会場を目指した。

「あれ、横島じゃない?」
タマモ達がパレード会場に行くと、そこには子供二人を抱えた横島がいた。後ろから声をかけるとびっくりしてか派手にバランスを崩すも、すぐに持ち直す。
「タ、タマモ、どうしたんだこんなところで?」
「何動揺してるのよ。遊び来ただけよ。ところで横島いつの間に子供なんか作ったの?」
「はぁ?なにいってるんだよお前は」
「その二人よ」
天竜童子とパビリオを指差すタマモ。
「おいおい、いつ種を仕込めばこんなでかい餓鬼ができるよ?こいつらはなぁ」
「よい横島。余から話す。余の名は天竜童子。仏法の守護者、四海の竜の王、龍神王の世継ぎじゃ。で、この者はわが友パビリオ」
「元アシュタロス様直属の魔族のパビリオでちゅ。今は小竜姫のところで世話になってまちゅ」
横島を遮って自己紹介をする天竜童子。それに習うパビリオ。
「魔族と神族が何でいっしょにいるのよ?」
疑問をそのまま口にするタマモ。
「そのまま答えを返そう。なぜ人間と狐がともに居るのじゃ?」
天竜童子は悪びれもせず答えを求める。
「ぐ、そんなの関係ないじゃない!」
狐、といわれて動揺したのか、一瞬口篭もったが、少し声高に返事をするタマモ。
「そうじゃ、関係ないことじゃ。ここは天界でも魔界でもなく人間界、皆が仲良くやれれば良いではないか、のう、狐」
「ふっ、なかなか面白い事言う子供ね。気に入ったわ。それと私の名はタマモよ。彼は真友君」
「ど、ども、真友です。ってさっきから魔族とか神族とかって、何の話ですか?」
「あ、君は知らなくっていいんだよ。うん」
あからさまに怪しい笑みを浮かべ言う横島。これ以上厄介事はごめんだという顔をしている。
「それが懸命だと思いまちゅ」
「そ、そうですか」
「そういうこと。餓鬼と思ってればいいの。あ、俺は横島忠夫だ。よろしくな」
「あ、はい、よろしく」
「可愛いねぇ。生意気に緊張しちゃって。子供ってのはやっぱこうじゃなくっちゃな。それに引き換えこいつらは」
天竜童子とパビリオを代わる代わる見る横島。
「なんじゃ、文句があるのか!」
にらみ返す天竜童子。
「可愛くねぇ王子様だ、ほんとに」
「家臣の分際で無礼だぞ!」
「家臣?忠夫さんて彼の家臣なんですか?」
真に受ける真友君。いや天竜童子は本気なのだからそれも当然か。
「あ、こいつ時代劇が好きでさ、いまはまってるわけ」
「そうですよね、なんかおかしいと思った」
そう真友がこたえたその時である。
「みつけたわ横島君!!」
パレードの後方遥か入り口のほうから美神令子の怒声が響いてくる。
「げ、やばい、逃げるぞ」
横島は急いで天竜童子とパビリオを抱えなおすと、パレードの中につっこんでいく。
「え、あんたら追われてるの?」
「そうだよ!」
「面白そうだからついてこうか真友君?」
「え、僕は」
「いいから、いこう!」
興味本位で行いていくタマモと真友君。

果たしてつかまってしまうのか、横島達は。
そしてタマモたちはどうでるのか。次回、デジャブーランドの決戦、きがむいたらみれ。





 

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