ザ・グレート・展開予測ショー

ありがとう(その4)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/ 1/21)

その7おきぬの部屋の前。
こんこん。
「おきぬちゃん?いない?」
と横島。
さっきからノックをするが返事が無い。
人の気配がないところからあえて無視していると言うわけでもなさそうだ。
まあおきぬはそんな性格ではないのだが。
「・・・どっかいったのかな?」
外はまだ雨が降っている。

その8看板前。
おきぬは幽霊の前にいる。
さっき事務所を出てから・・・ここに来たのだ。
おきぬは自分の傘を幽霊の上に差していた。
・・・・・別に幽霊に雨なんて関係ない。
そんなことは分かりすぎるくらい分かっている。
でも何故かそうせずにはいられなかった。
別に美神たちにどうこうというわけではない。
それどころか無理なお願いをして困らせて申し訳ないという気持ちのほうが強い。
美神が本当は優しいことをおきぬはちゃんと知っている。
さっきの言葉も・・いいようにいえるのにそれでも、自分が傷つくのをしっていてもごまかす事もしないでいってくれたのだ。
細い絹の糸のような柔らかい雨は音もなくおきぬを濡らしている。
車の音がどこか遠くに聞こえる。
道路のしみもこうやって時が流れて、そして雨が何回も降って道路を濡らしてこのしみも流れて消えてゆく。
・・・・・そしてこの目の前の少女も・・・自分がわからないにまま徐霊されるのだ。
「ごめんね・・」
とおきぬ。
何に対しての謝罪なのだろうか?
口にだした本人も良く分かっていない。
最初は、ただ・・できれば助けてあげたいと思っただけだ。
こんなに小さいのに・・力ずくで徐霊されるのはいやだなと思っただけだ。
だけど・・
さっきの自分のセリフ。
(おかあさんに逢えないのは・・・かあ)
自分はいつの間にかこの少女と自分を重ねてしまったのだ。
おきぬに両親の思い出は無い。
ただあるのはこの名前。
この名前だけが・・・この名前をつけてくれたという事だけが自分と両親の繋がり。
ぽたり
とおきぬの頬から水滴が落ちる。
それは雨粒だろうか?それとも・・?
「・・・・・・ごめんね」
そしてもう一度紡がれる・・というよりも口からすべりおちるように・・言葉。
その言葉がどんな意味をもっているかすらもおきぬには分からない。

ぽつぽつ
と、どこからか音がする。
(なんの音だろう?)
とおきぬがふと顔を上げると黒い傘が自分の真上にあることが分かる。
「・・え?」
とすっとんきょうな声でおきぬ。
視線の先には雨に濡れている横島がいた。
つづく。
・・・・・・風景描写って難しい(涙)

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