ザ・グレート・展開予測ショー

過去独白 (マーロウ、美神令子を語る)その2


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/21)

お嬢ちゃんが産まれてからは、二人の生活様式が変わっちまってな。
泣いた、笑った、吐いた、熱出した、で一喜一憂しやがる。人間たぁ面白いもんだ。
さて、赤ん坊の頃の話しをしても仕方あるまい。離乳にすっごく抵抗したり、
今は疎んでるが公彦に懐いてたり、幽霊を見て大小ちびって母ちゃんに怒られたりな。
他にもあるんだがこれ以上バラすと嬢ちゃんが怒るのでここいらでやめておこう。
そう嬢ちゃん3歳の時分、俺の散歩役が嬢出来るようになっってから幾日か経った事だ。
「ママ〜。マーロウのお散歩つれてくねー」
家の中からでも、ここまで聞こえる。子供ってやつは手加減って奴をしらねぇからな。
「マーロウ、お散歩ちゅれていきまちきゃらねー」
あのシロって奴もそうだが犬は散歩が大好きだが、その日は気分に乗らなかった。
今にも雨が振り出しそうなドンヨリとした日だ。正に悪鬼の喜ぶ天気って奴だな。
「あれ、どうちたんでちゅか?天気が悪いからでちゅかねぇ?」
「ク―ン、ク―ン」
「いやがってるでちゅねぇ、マーロウ」
「ワンワン」
嬢ちゃん、今日はやめとくよ、そう言ってんだがなぁ、
「あれ、どうちたんでちゅか?体わるいんでちゅか?」
駄目なんだ。嬢ちゃんとは意思疎通は出来ないんだ。それでも抵抗したんだが、
「うーん、完全に病気でちゅね。御薬つくるでちゅ。ヤモリの煮たのでちゅ!」
誰に教わったのかな。現地の御手伝さんだと思う。アレは効くには効くが、不味い。
鼻が曲がるほどな。アレを飲まされるなら散歩に行く事にした。第一病気じゃないしな。
話逸れるが、嬢ちゃん横島って若い奴にヤモリ使ったな、あれ嬢ちゃんの愛情表現だぜ。
「ほら、元気になった行くわよ」
そうは言われても俺は元気が無ぇ、ゆっくり歩くわけだ。
「・・やっぱり、マーロウ変でちゅ」
確かにな、何時もは嬢ちゃんを引っ張ってるが、今はひっぱられてるからな。
「・・・・ねぇ、ちゃんと答えてほちいでちゅ」
歩くのを止めて俺の目をじっと見る。
「マーロウ、あたしのこと、きやい(嫌い)なの?」
涙ぐみながら、俺の顔をじっと見る。あの目、俺は一生忘れないだろな。
おいおい、嬢ちゃん。そりゃ、あんたと一緒に散歩しても心行くまで走れネぇし、
実際は俺が車とかに気を付けてたり、嬢ちゃんを変な目で見た他人に吠えたりしてるが、
断じて、そんな事はない。それに嬢ちゃんが散歩中に口ずさむ下手な歌も俺は好きだ。
「ワンワン・ワンワン」
俺は精一杯嬢ちゃんにそんな事は無いっていってんだが、嬢ちゃんの目にジワジワ涙が。
「うぅ、れいこ・・うぅぅぅ」
俺はとっさに思いついた。今にも涙が溢れそうな可愛い両の目を俺は交互に舐め始めた。
・・俺はあんたが大好きだ、その思いが伝われば、とな
「おい、こりゃ、マーロウ、くすぐったいよ。はは、はは。ありがと、マーロウ」
嬢ちゃんはそういって俺に軽〜くキスって奴をした。もしかしたら、俺が彼氏一号か?
「そうね。帰ろ」
嬢ちゃんはそう言った時にとうとう雨が降ったきた。と俺は思った。
「あ、雨やぁ」
嬢ちゃんは当然空を確認する。俺は水は苦手だから、木陰に入ろうとしたんだが、
「き、キャアァァァ――――――!!!」
魂斬るような叫び声を発した。俺も急いで空を見る。いや、それは空にはいなかった。
不覚にも俺が入ろうとした木陰の木の上に歪んだ魂がフヨフヨ幾つもういてやがった。
普通の人間には見えねぇハズだが流石は嬢ちゃんだ。奴らめ、嬢ちゃんに目を付けたな。
ほら、オキヌって子がいつぞや、体狙われただろ?あれと一緒さ。
気の早い奴が急降下してきやがった。俺は爪でそいつにタイミング合わせて切り裂いた。
『ギエエエ』イヤな断末魔を残して一人上がりと。
横では嬢ちゃんが気丈にも気絶せず、俺の影に隠れてる。よしそのままだ、嬢ちゃん。
攻撃二回目は三匹ほど、俺に目を向けず、嬢ちゃんを狙う。俺が許すか、
跳躍の勢いで頭突きで一人、爪で一人、最後の奴は噛み付いて消滅させる。
だが、まだまだ敵は沢山いやがる。
俺の力が解ったのか連中は上空で固まりはじめた。俺はチャンスを狙った。
今だ!『WOOOOONNNNNN!!!!』
ありったけの霊力を込めた遠吠えだ。連中は消滅するか、大体は逃げていきやがった。
おれは、恐怖で後ろを向いている嬢ちゃんの肩叩く、全員倒した、安心してくれと、
だがそれが甘かった。なんと一匹草葉の陰に隠れてやがッた!
そいつは嬢ちゃん目掛けて、一直線にやってくる。俺の位置からだと丁度影になってる!
俺は己の身を盾にする気で出来るだけ早く前に廻ったんだが、
「いやーこないでーーーー!!!」
と、手を前にかざす嬢ちゃんには霊力がたまってやがった!それに驚いた最後の一匹は
とまっどっていやがる、俺がワンと吠えたら嬢ちゃんの霊気の固まりは攻撃に転じた。
あたりは誰もいなくなり、そして雨が降ったきた。嬢ちゃん堪えていた涙がドッと出た。
異変に気付いた母ちゃんは傘もささずにやってきて、力いっぱい嬢ちゃんを抱いていた。
最後は嬢ちゃんがやっつけたんだが、その事は覚えていないらしい。もったいない。
だが雨が降る中、怖くて母親にずっと抱き着いていた記憶はあるそうでな。
だから譲ちゃんは雨の日の依頼は断ることが多いのは、今回の所為も少しはあるのさ。

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