ありがとう(その2)
投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/ 1/19)
その3帰り道(途中?)
「・・聞こえました?」
とおきぬ。
「ええ・・」
と何故か痛みをこらえるような表情で弓。
二人の視線の先にあるのは車どうりの多い横断歩道。
道路には今朝まではなかった乾いた血液と思えるしみ。
通常ではありえない歪みかたをしたガードレール。
そこに添えられた花束。
そして「事故多発地域につき注意」とかかれた黄色い看板。
だが、二人がみているのはそのどれでもなかった。
その看板の前にたっている少女である。
その少女は白いセーターに紅いズボンという格好である。
髪の色も瞳の色も漆黒。
年は10歳といったところだろうか?所在なさげに立ち尽くしている。
それだけなら別になんの問題も無い。
その少女にだれも気づかなかったのなら・少女の姿が透き通ってなかったのならば・・
「・・多分事故のなんでしょうけど・・」
と弓。
「私・・ちょっと見てきますね。」
といっておきぬはその少女の場所まで歩いた。
その4帰り道(看板前)
「どおしたの?」
とおきぬ。
看板の前にかがみその少女と目線を合わせて話し掛けている。
それは周りからみたらちょっと回線が切れた人間と誤解を受けそうな行為であった。
だがおきぬはそれを露ほども気にしない。
それよりもこの前に成仏できないでいる少女の方が大事なのである。
少し離れた場所にいる弓もそんなおきぬの性格をしっている為か、仕方ないわねえといった感じで笑っている。
「ここから離れられないの?・・」
とおきぬ。
「オカアサンニアイニイクノ・・」
・・と少女。
「・・おかあさん?」
・・・・・・・おかあさん・・・どこ?
暗い湖・・・痛い足・・・誰もいない・・・家。
(あれ?)
だがそれは一瞬のことですぐに目の前にさっきまでの風景に戻る。
「っあ・ごめんね?おかあさんにあいにいくの?」
とおきぬ。
「オカアサンニアイニイクノ・・」
と繰り返し少女。
それしか言わない。
「・・・・・」
・・・多分この少女は「お母さんに逢いに行く」という事を死の直前に強く思った為それが未練となったのだろう・・・。
「・・・どおしよお」
とおきぬ。
どうやらこの少女はこの場所に自縛されかかっている。
このままいくといきつく先は悪霊だ。
子供の執着や思いというものは純粋な分歪むのも早くそして、手がつけられないのだ。
その前に徐霊するのが普通だろう。
弓もそれを知っていたから・・・・あんな表情をしたのだ。
でも目の前にいる少女はただただ・・・・・アイタイといっているだけである。
この少女はもう自分が誰なのかもう分からないだろう・・
ただこの少女の中にあるのは「オカアサンニアイニイク」という事だけである。
なにもしてないのに・・・
「悪霊になるかもしれないから」という理由でおきぬが徐霊をできる訳がない。
それに・・・・・オカアサンニアイニイク・・・
という言葉が何故か気になった。
つづく
・・・・・・・・・・・・・妙にシリアス・・・の割に変(自爆)
今までの
コメント:
- 四季さん
ああもう本当にコメントありがとうございます♪
まじ嬉しいっすー♪ああもうもうもうっ
そんなこといってもらえると・・・有難うっすー
えと今回はなんか自分にしては割りにシリアスかなあと思ってます。
おきぬちゃんは一回ちゃんと書いてみたかったんですけど難しいっ!!
なんか皆様すごすぎっす(・・・・・・すでにこのおきぬちゃん偽者?)
今回は最期の一言のために書いてます♪ (hazuki)
- Ihoilさん
うわーい・・もうコメントありがとうございます♪
書き方?うーん・・・・あ。ホントだちょっと変わってる(自分で気づけよ)
なんか新鮮っていってもらった(えへ)
・・・今回は・・・あ・元に戻ってる(汗)
トシさん
うわうわっコメントありがとうっすー!
い・・いちおう頑張りますっす
そうっすねーおきぬちゃん最高!(・・・・アホ?)
でも、おきぬちゃん好きなんだけどなんでこんなくらいのしかかけんかなあ自分? (hazuki)
- AJ−MAXさん
うわあああっ嬉しいっすまじでまじでっ
え・出てるってそーいってもらえると嬉しいよおおお♪
いや・・・あの実はAJ−MAXさんのおきぬちゃん短篇読んでこの話思いついたんです(笑)。
のでなんかそーいってもらえると・・・まじ嬉しくて (hazuki)
- おキヌちゃん自身にも、おかあさんという単語は因縁めいたものなのかな・・・。
女の子の幽霊に対する気持ち、というか心遣いというか、おキヌちゃんらしくてあったかいです。
行き着く結果がある程度見えていても、彼女だからこそ納得できないこともあるのでしょうね。
誰にも答えは判らないのかも知れないし、でも時間切れは残酷に迫ってくるし。
おかあさんかぁ・・・生き物である限り、正にしろ負にしろ大きい存在だろうなー。
難しいと仰ってますが、言動も雰囲気もおキヌちゃん以外の何者でもないと思いますよ。素敵です。偽者だなんてとんでもない。
事故現場の描写とかも、おキヌちゃんの寂寥感をじんわり伝えてくれました。
今回も本当によかったです。
では。 (四季)
- 変ですか?
全然オッケーじゃないですか?
おキヌちゃん優しいですね
ふふふ・・・(何笑っとん) (トシ)
- 私の作品ですか!? こ、光栄ですー。
あれには除霊シーンが全く出てきませんでしたし、登場するのも二人だけでしたし。
この作品はもっと奥が深そうですよねー。
楽しみに読ませて頂きたいと思います。 (AJ−MAX)
- キヌに関してはもう言うまでもありませんが(断言)、弓もなかなかいい味出してますね。
原色による静的な描写が、素朴な風景の中に起こった悲しい現実を実感させてくれますね。
うーん、やっぱりhazukiさん、いつもと違う(笑)。ひょっとして、偽者はキヌでは無くてこちらであったか!?(笑) (Iholi)
- いや、文章がすごく綺麗で、おきぬちゃんの心象もマッチしてると思います。
おきぬちゃん自身幽霊だったから、この小さい幽霊にはやさしいのかな?
続き楽しみにしています。 (トンプソン)
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