ザ・グレート・展開予測ショー

不死二人 -Dr・カオス&玉藻 -そのT


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 1/18)

-今回も過去という点に絞ってみましたが、自分で言うのもなんですが長いです。-
前日の雨で今宵の満月は格別の趣があった。
それはこの日が見事に月の魔力を中心に気候や気脈が一致した瞬間であった。
美神徐霊事務所の屋根裏では、
「WOOONN!!」
夏物のパジャマを着たシロが見事な満月に興奮して遠吠えをほとばしっていた。
体中に歓喜の光が涌き出ている。
それとは対照的にベットに入り、厚手の布団を被っているのがタマモだ。
たまりかねたように布団をはねのけ、一言。
「うるさいわよ!!」
下着姿でベットに入っていたタマモだったが、寝るにねられない。
「でもで御座るよ。この街であそこまで見事な月をみれるとは拙者感激でござるよ!」
「あんたねぇ」
逸る気持ちを押さえ、少し寝癖のついた髪の毛を掻きながら、
「気持ちはわからんでもないけどさぁ、あんまりそーしてると、美神におこられるよ?」
だが、尻尾をふりふりして喜んでいるのだ。自分の力じゃあるまいしと、タマモは思う。
カーテンをひけばアイツもあきらめるかな?と考えベットから出た。
「一見の価値はあるでござるよ」
能天気な言い分に半分キれかかりそうなタマモであったが、見事な満月を目にした時、
「あんたの言葉、嘘じゃないね。すっごい綺麗だよ・・」
タマモもその妖しいまでの魅力を感じていたのだ。
細い目になり、満月を凝視する。
彼女は体中の細胞が何かを訴えかけてきた。とあとで回想する。
「私、散歩してくるわ」
「へ?今からで御座るか」
「あぁ、朝御飯までには帰るよ」
窓を開け、なんとゆっくりと飛行を始めたではないか!!
月の魔力と偶然の一致にいち早く気付いた人工幽霊1号はこう言っただけた。
『お辛いでしょうが、この効果は12時までです』
タマモは僅かに頷いただけだ。
日本の首都東京もすべてが不夜城であるわけはない。
近くの高級住宅街の真中に位置する小さな時計の有る小さな公園にタマモは向かった。
誰もいない所で彼女は声を殺し涙を流す。
かつて自分が関わった男達の過去がつぶさに蘇る。そんな夜なのだ。
不意に気を感じる。
「誰だ?」
急いで涙を袖で拭うが毛糸が目に入る。さらに痛みを感じる。
そんな仕草を見るでもなく、ぬっ、と現れたのはDr・カオスだ。
「長生き組みの、お仲間のようじゃな」
「あんたはヨーロッパの爺ぃ」
「おいおい、おぬし程は長生きしとらんぞ」
「あたしは仮にも妖怪だよ、あんたは」
「たしかにな、わしも化け物の部類じゃよ」
「ちがいないね・・・でもあんたなら、楽しい記憶も多いだろ?」
「ま、お主よりかは、マトモに生活しとったからな」
「モテなかっただけでしょ?」
「そうでもないさ、そうか。いまのお主は人間にちかいからな。自責の念が強いのか」
「・・・・・・・」
「きついわな。折角の奇跡に」
そう、ヨーロッパの魔王カオスも若かりし時の記憶がすべてよみがえっているのだ。
「そのボケ老人に負けたのは誰かな?タマーニャ」
「・・イヤな事思い出させるわね、私がイタリアにいた時の名前じゃない」
「そうかの?折角の蘇った記憶だ。共通の話題の方がいいではないかな?」
「そうね・・ふふふ。そう、あんたの所為で私は日本に来る事になったのよね」
それは今から900年前の事であった。
「そうさな。その頃わしゃすでに錬金術の応用で若い体を維持しておったわ」
そういいながら、自動販売機で季節はずれの赤い色の飲み物、甘酒を二つ買う。
「顔までは覚えてないわ、でもあの時は、やられたわ」
うけとった甘酒のタップルを開ける、ちなみにカオスの分も。
当時のカオスはイタリアはシエナに居を構えていた。レヴァント(東方貿易)で
栄え始めた都市で、活気溢れる時代だったのだ。
「そう、あたしはわざと性奴隷として、イタリアに運ばれてきたのよね」
「運ばれた?自ら来たんじゃろ?」
「当然!その船の艦長を操ってたもの」
いわゆる奴隷貿易船が港についてたと言う事だ。

「じゃぁ、頼まれてた娼舘に行くか」
怪しまれない為には船長がした約束は守らねばなるまい。船長を操り娼館へ。
そこは煉瓦作りのこじゃれた建物であった。
「よぉ大将、御届物、ようやくご帰還さ」
「これはこれは船長。ご無事で!」
「あぁ、航海は大変だがな。今回は思いもよらねぇすげぇモンが手にはいったぜ」
「と、もぉしやすと、黒いのでいい娘が?」
「いや、唐土の娘さ!」
「へ!?」
「言葉は話せるようにしこんだ。しかもかなりの美形だぜ」
体の具合を威張って言うが、これはタマモの御芝居だ。
「船長、もったいぶらないでみせてくだせぇまし」
後ろに手を回させて、手首にきつく縄を巻いてあるように見せかけたタマモだ。
娼舘の亭主は彼女の廻りをぐるっとまわり、最後にオシリをひとなで。
「ヒッ!!」
意外な行動にタマモは芝居でなく、本当に声を出した。
「これは、すごいモノをもってきてくれましたね!!」
「あぁ、親父と俺の仲だろ?、良い値つけてな」
「えぇ、こいつは置いとくだけでも効果抜群ですぜ」
亭主は大金を船長に渡し、一杯奢って船長を宿に帰らせた。
タマモの操った船長は途中で事切れた。いや、もっと前に死んでいたのだ。
殺した方法はここでは書くまいて。
「さぁ、おじょうちゃん。貴方の名前はなんてぇの?」
「タマモ、といいます」
「あらー、御上手ね。でもタマモじゃ響悪いから、「タマ―ニャ」にしましょ。
「どうでもいいわ。それより、ちゃんと寝かせてくれる?」
「えぇ、もちろん、今日は御客様とらなくていいわよ」
「ありがとね」
「でも次の日からはガンガン稼いでもらうわね」
ええ、わかったは、只、腰に手をやる仕草がすでに色っぽい、流石は2000歳。
その次の日から、すでに超売れっ子のタマモ、いや、タマ―ニャであった。
彼女は待っていたのだ、位の高い人間を・・。
時にはブリテン王国の皇太子や、ローマ帝国の偉い高僧をも相手したことがある
だが彼女の目にかなったのはフィレンツェの大金持ち、メディチ家の当主であった。
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実は続きも書いたのですが、長すぎてエラーを食らいました。
出来るだけ早く完結させたいと思います(トンプソン)

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