ザ・グレート・展開予測ショー

プリンス・アンド・バタフライ


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 1/15)

 ある日、あるとき。
 人間界でいうところの午前9時ぐらい。
 場所は妙神山。聖地である。
 で、その妙神山の門前を高ぼうきで掃いている一人の少女がいた。
 彼女の名はパビリオ。かのアシュタロス大戦時にはアシュタロスの部下として、そして成り行きからではあるが人間、神族たちに加勢し、破壊兵鬼と化したアシュタロス打倒に貢献した、低級魔族(といってもその力は一対一なら小竜姫とまともに遣り合えるほどだろうが)である。
 そして今日も、退屈な修行を受けながら、
「・・・なんでわたしはいつまでもこんな事してなくっちゃいけないんでちゅか」
と不満の極地を露にしていた。
「つまんないでちゅ」
「何じゃ、不満か」
鬼門右が掃除を中断したパビリオに話し掛ける。
「つまんないものはつまんないもん」
「それも修行のうちぞ、パビリオ」
「左のの言うとおりじゃ。何事も修行じゃ。そんなことじゃ立派な神族に成れんぞ」
「私は神族になんか成りたくないでちゅ。ただ親族と人間に借りがあるからいてやっているだけで」
箒をを蹴っ飛ばすパビリオ。
「んむ、そうか、ではこう考えてはどうだ。おまえはまだ動けるだけましだ。われら鬼門はそれこそ妙神山建立以来ずっと門番じゃ」
「ここ数十年はそうでもないが、その昔はまともに動けるのなんぞ百年に一回あったかどうかじゃぞ」
鬼門左右が交互に話していく。
「・・・不幸でちゅね・・・」
思わず顔を引きつらせて同情するパビリオ。
「これも役目と思えばこそじゃが・・・ぶっちゃけた話、たまに逃げ出したくなるぞ」
「そうじゃ、いわば一種の拷問に近いからな、この役目」
「大変でちゅね・・・でもこのまま行くと私も一生修行、なんてことに・・・」
「それはないじゃろう・・・」
「うむ、たぶんな・・・」
言った後、哀れみを浮かべる鬼門左右。
「何でちゅかその目は、二人とも」
「いや、なんでもないぞ」
「なんでもないのじゃ」
パビリオと目線を合わさないようにしながら否定する鬼門左右。
「なんかやな感じでちゅ、あんまりふざけてるとぶっとばしちましゅよ」
『左の、ある意味子の嬢ちゃんのほうが小竜姫様より怖いぞ』
『ほんとにやりそうじゃからの、なんせ実年齢はまだ一歳半ほどだからな・・・』 
パビリオに聞こえないようにひそひそと話す二人。
「何言ってるんでちゅか?」
「いや、なんでもないんじゃ」
「そうじゃパビリオ。とにかくきちんと修行しなさい」
「・・・わかったでちゅ」
意外と素直に掃除を再開するパビリオ。
と、そのとき。
「おお、小竜姫様」
鬼門が開き、小竜姫が様子を見る。
「まじめにやってるかしら?」
「やってまちゅよ」
「よろしい。じゃ、門前の掃除が終わったら部屋のほうに来てくれる?」
「わかったでちゅ」
「じゃ、がんばってね」
小竜姫はそれだけ言うと再び中へ戻っていった。
「なんでちょうね」
「さぁな・・・そういえば左の」
「そうだ、今日は竜神王陛下の御降臨の日ではないか」
「ということは、殿下もいらっしゃるのか・・・」
「いやな予感がするのぉ・・・」

 同刻神殿内では。
「のう小竜姫」
「だめです」
「まだ何もいっておらんではないか」
「前回の件でのことをお忘れになられたのですか」
「うむ、よく覚えておるぞ。余が大人になった記念の日じゃ!!」
「殿下、下界にはいまだに竜神王陛下を疎ましく思っているものが・・・」
「余はもう子供ではない!」
「いくらご成人なされたとはいえお姿はいまだ御幼少のままでございましょう。とにかくだめでございます!!」
「いやじゃ!!」
「だめ!!でございます」
気迫のこもった目で天竜童子を睨み付ける。
「う、わかった、おとなしくしておる・・・」
(だめじゃ、どうしてもあの顔をされると逆らえん)
そのとき入り口のドアが開いた。
「きたでちゅよ」
「あ、パビリオ。こっちいらっしゃい。殿下、この者がパビリオでございます」
「おおそうか、話は皆から聞いておるぞ。余の名は天竜童子、竜神族の王、竜神王の世継ぎなるぞ」
「なんかえらそうなやつでちゅね」
「こらパビリオ、失礼なことを、すいません殿下、しつけがなってなくて」
「まあよい、これから気をつけてくれればよいことじゃ。しかし小竜姫の弟子とあら場余の家臣と同じ」
「私はこんながきの家臣なんていやでちゅ」
ぷいっとそっぽを向にパビリオに。
「なんじゃと、何が気に入らないと言うのじゃ!余の家臣とあらばそれはそれは名誉なことなのじゃぞ」
不満を露にする天竜童子。
「私は魔族でちゅよ!なんでガキの家臣になんかならなくっちゃいけないのでちゅか!!」
「パビリオ、なんてことを!!殿下、まことの申し訳ありません、ほらあなたも頭を下げなさい」
小竜姫は慌ててパビリオの頭を押さえつける。
「ぬぐ、なんというやつじゃ、いままで余のそばにはいないタイプの者だな」
「べぇ」
パビリオはさらに挑発するようにあっかんべえをしてみせた。
「ぬぅ、許さん、成敗してくれる!!そこに直れ!!」
ついに激昂する天竜童子。
「いやでちゅ、捕まえられるもんならつかまえてみなちゃい!!」
小竜姫の手をかわしてすばやく逃げに入るパビリオ。
「こしゃくな、待て、逃げるな!!」
すぐに後を追う天竜童子。
「あ、お待ちください殿下!!」
慌てて天竜童子を捕まえようとする小竜姫だったが、天竜童子はは軽やかに身をかわしてパビリオのあとを追う。
「こっちでちゅよーー」
「まてまてぇ!!」
部屋を飛び出し、亜空間内で追いかけっこをはじめる二人。
「こら!パビリオ、殿下もおやめになってください!!・・・ふぅまだまだ子供ね、二人とも」
ため息を漏らす小竜姫ではあったが、その顔はどことなくほほえましい。
「待つのじゃ!!まてぇ」
「いやでちゅよ〜〜」

続く!!


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