ザ・グレート・展開予測ショー

GS横島!/元始女性は太陽であったか?(1)


投稿者名:AJ−MAX
投稿日時:(01/ 1/12)

「準備はいいか? そろそろ出かけるぞ」

 朝焼けにもえるアパートを振り仰ぎ、横島は大きなリュックを一気に背中に担ぎ上げた。

 いつも除霊の時に持っていっているリュックだが、今回は彼自身の生活用具が一杯に詰まっている。

 横島は雪之丞との約束どおり彼の新設事務所に出向するため、今まさに旅立とうとしていた。

 何を考えているのか、雪之丞は人里はなれた山奥にオフィスを構えたらしい。貰った地図によると、電車とバスを乗り継いで丸一日はかかりそうだ。

 あまりゆっくりしていると途中で立ち往生してしまうかもしれないので、横島は早朝にはやばやと出発してしまうことにしたのだった。

「……オッケー、準備完了でござる! いつでも行けるでござるよっ」

 ややあって、シロが階段を駆け下りて来た。彼女も大きな荷物――唐草模様の風呂敷包み――を背負っている。

「お前、その格好でいいのか? 向こうは山の中だから寒いかもしれんぞ」

 シロはいつものTシャツにジーンズ姿だ。真冬に相応しい格好だとは嘘でも言えない。

「大丈夫でござる。人狼は寒さには強いでござるから」

 そう言ってシロはガッツポーズを作ってみせる。

「そう? 体には気をつけないとダメよ?」

 見送りに来ていたおキヌが心配そうに言った。羽織っている白いカーディガンも朝日で真っ赤に染まっている。

 見送りはいいと断ったのだが、おキヌはどうしても見送りたいといって聞かず、わざわざアパートまでやってきてくれていた。

「拙者は本当に大丈夫でござる。……でも、なんだか拙者のわがままで皆には迷惑をかけてしまって……」

「あ、うん……。でも美神さんもホントはそんなに怒ってないわよ。きっとしばらくすれば機嫌も直ると思うわ」

 シロが横島に付いて行くと言い出したときには一騒動が巻き起こった。

 横島だけでなくシロまでいなくなっては業務に差し支えると言って美神が切れたのだ。

 横島とおキヌでなんとかなだめて了承してもらったのだが、未だに美神の機嫌はよくなっていなかった。

「心配しないで、後のことは私に任せておいてください」

「……ごめん」

 いつもと変わらない笑顔のおキヌに、横島は謝っていた。

 単に事後処理を任せてしまう心苦しさだけではなく、それはもっと本質的な――おキヌの気持ちに応えられないことに対する――詫び。

「何改まってるんですか! さ、早く行かないと。雪之丞さんが待ちくたびれちゃいますよ」

「……ああ、そうだな。じゃ、行って来る!」

「行って来るでござる!」

 そして二人は出発した。おキヌの眼差しに背中を押されるようにして――。

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