ザ・グレート・展開予測ショー

GS的お遊びシリーズ第二回


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(00/12/27)

 「1、2、3、4、5、・・・・」
 小さな公園。横島が自らの手で顔を隠しながら、もくもくと数字を数えている。
 横島の足元には円がかかれ、その中心に半径2.5センチ程度の、コーヒーが入っていたであろう、スチール製の硬い空き缶・・・。
公園は横島を中心に滑り台、コンクリートで作られた土管のトンネルのある岩山。
 砂場、藤のたなとベンチ、ブランコ、ごみ箱とトイレ。
 そして公園を取り囲むように立っている木々。落葉が積もり、手入れされていない広葉樹のそれはちょっとした林のようである。
 そしてその林の中には確実に、美神令子、おキヌちゃん、犬塚シロ、妖孤のタマモ、ドクターカオスにマリア、ついでに西条が混ざっている。
 そう、これはGS世界上まれに見る、世紀の缶蹴り大会なのだ・・・。
 といってもこれは一応遊びではない。美神美智恵が発案、作成したGS養成プログラムの一つなのだ。彼女曰く、缶けりというものは的確な認識力、冷静な判断力、瞬間的な行動力、強靭な精神力、自陣防衛能力などGSには欠かせない基礎能力を養うのに適したゲームだという。
 でいきなりジャンケンで負けた横島がオニになって缶けりが始まり・・・。

「8,9,10、と。さてどこだ、どこに隠れてる・・・?」
横島はとりあえずその場周辺から冷静に辺りを観察する。ブランコ、砂場は別として藤棚、滑り台、岩山・・・。
「ン??」
岩山の中に目が止まる。ちょうど真ん中辺り・・・。
「だれだ!!」
叫びながら足を2、3歩踏み出すと、トイレの影からシロとタマモが待ってましたとばかりに缶めがけてダッシュをかける。
「素人はこれだから・・・」
横島は小声で呟くと、くるりと反転して、
「シロめっけポコペン、タマモみっけぽこぺん」
(注、私の地元ではポコペンでした。横島の出身は大阪ですが、大阪ではどういうのでしょうか、ご存知の方、ご一報を) 
名前を呼びながら缶を踏む。
「あちゃあ、見つかったでござるよ」
「シロが今だって言うから!」
「タマモだってそう言ったでござる!!」
「シロが横島が向う行きそうって言うから!」
「人のせいにするなでござる!」
早速向かい合って口喧嘩をはじめる二人であった。これであと5人。
「次は西条だ、ぜってー西条を捕まえる!!」
横島の探索は続く。今度は缶から少し離れて、影になって見辛いところを探さなくてはならない。これはかなり危険だが、じいっと待っていても埒があかない。
 岩山の裏手、常に回りの変化に気を使いながら、缶から見えない岩山の裏を見る。
「あ、ドクターカオスにマリア!」
「わっはっは、くらえ横島!!」
カオスは見つかった瞬間上着をはだける。その下には体に直接書かれた魔方陣。
魔方陣が輝く。これには相手を麻痺させる効果があるのだが・・・」
「甘いぞカオスのおっさん!!」
横島の手には文殊が、その文殊に記された文字は「反」。
「なんじゃと、このドクターカオスが横島ごときに出し抜かれるとは・・」
ぱたりと倒れ伏すカオス。
「しっかり・ドクター・カオス」
マリアはさっとカオス寄り添う。
「さて・・」
横島はマリアが動かないのを見て取ると颯爽と缶のもとへ・・・。
「なんてな、ゆけぃマリア!!あの缶を蹴倒すのだ!」
「イエス、ドクターカオス、ロケットキーック!」
マリアはその場で飛び上がり、右足を飛ばす!!
「だぁぁぁ、卑怯だぞそれは!!」
横島は慌てて缶の所へ回り込み霊波刀をシールド状に展開、ロケットキックを食い止める。
「マリア、どんどんいけ!あの缶さえ倒せばわしらの勝ちじゃ!!」
「イエス、ドクター・カオス」
さらにマリアの両手が突き出され、そこからマシンガンの銃口が目に入る。
「だぁぁ、俺を殺す気か!ドクターカオス!」
横島は缶を倒さないようにじりじりと後ろにさ上がる。
「ファイア!」
どががががが!!!
容赦なく撃ってくるマリア。
「なんの!!」
横島はそれをシールドで巧い具合にガードする。
ばばばぁぁぁ・・・カタカタカタ。
「弾切れです、ドクターカオス」
「っしゃ、カオス見っけポコペン、マリア見っけポコペン」
一瞬の隙を突いて缶をふむ横島。
「ぬぅぅ、負けた」
「残念です・ドクターカオス」
二名脱落。あと三人。
「今度こそ西条、西条を見つけるぞ、とその前に」
すぅぅ、と大きく息を吸う横島。
「・・・美神さんのケチ、ブス!!」
めいいっぱいの声で叫ぶ!!
「何ですって〜〜〜〜!!!!」
怒声を発しながら林のなかから飛び出してくる美神!
「美神さん見っけポコペンぶふぅっ!!!」
缶を踏むと同時に美神の鉄拳が横島の顔面に突き刺さる。
「度胸あるの〜、横島」
カオスが感心していると、横島は血まみれの顔で、
「わしは勝負師じゃぁぁ」
とふらふらと立ち上がる。
「さいじょーー、でてこーい!!男のしょーぶだ」
「よし、勝負だ横島君!!」
男のしょーぶという言葉につられて姿を見せる西条。
「西条見っけ、ポコペン」
「なんだとぉぉぉぉぉ!!!」
「間抜けめ」
「・・・死ね、横島君。君のような卑怯な男はこの場で死んで償え」
怒りに震える西条。いきなり剣を抜くと猛然と襲い掛かる。
「・・・おまえが死んでしまえ!西条!」
横島も文殊と霊波刀を構える。
「ジャスティスソード!!」
「ハンズオブグローリー!」
「横島師匠に手を出すやつは、例え西条殿でも許さないでござる!!」
「マリアよ、この場に乗じて缶を吹き飛ばせ!」
「イエス、ドクターカオス」
「何だとカオス!!」
「横島ーーーなんかまだ殴りたりないわ!!!」
「だァァ、捕まったやつはおとなしくしてろ!!」
「横島君、この銀の弾は悪霊も撃てるが人も打てるのだ!!」
西条の拳銃が火を吹く!!
「丁稚のくせによくも私の悪口をーーー!」
美神の鞭が宙を駆る!!
「やめるでござる〜〜」
ことの次第に気付いて止めに入るシロ。
「いったーい!!だれよ今石ぶつけたの!!」
今にも鬼火を放ちそうなタマモ・・・。
その時・・・。
カーーーン・・・・。
『あ』
全員の目線が宙を舞う缶に集中する。
どさくさにまぎれておキヌちゃんが缶を蹴飛ばしたのだ。
「やったぁ、缶けりました!!」
キャっきゃと喜ぶおキヌ。
その時そこにいたおキヌ以外の全員が思った。
自分達はたかが缶けりで一体何をやっているのか、と・・・・。
おキヌの喜びをよそに、寒い空気が辺りを駆け抜けていった・・・・・。

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