ザ・グレート・展開予測ショー

コロニーも落ちる日(5)


投稿者名:NEWTYPE[改]
投稿日時:(00/12/21)

「コロニーのコースを変える!一斉射撃後に、急速移動!」
美智恵の命令はラーデッシュにも伝えられて、二艦の主砲、副砲が一斉に射撃した。
そのビームが先行するMS隊を追いこして、月に向かうコロニーの前方の一方の側を直撃した。
一方に攻撃を加えることによって、少しでもコロニーの進路を変更しようというのだ。
その斉射は数秒続き、突然、二艦は片側からバーニアを噴かして移動した。
ややあって、二艦のいたポイントにアレキサンドリャーの砲撃のビームが襲った。
美智恵は、そのビームの尾を見ながら、全てのエネルギーが消費するまで艦砲攻撃を続ける覚悟をした。
「次、船位変更後、一斉射撃!」
小竜姫のコックピットのモニターはコロニーの形を識別する距離まで接近していた。
アーギャマとラーデッシュの第二波攻撃による光輪がコロニーの全面に咲いた。
「直接、コロニーへ向かいます。アレキサンドリャーには構わないでください!まだ敵のMS隊は出ていないはずです!」
小竜姫は僚機に楽観的な言い方をした。
自分の言葉で怖くなるのが嫌だからだ。小竜姫のMK-Uはコロニーの上部に回りこんだ。
おキヌのノモは遅れているのが当たり前だった。MK-Uの方がはるかにパワーがあるからだ。
そのさらに上空に当たる空域をGZの編隊がコロニーに接近していた。
さらにそのあとをおキヌたちのノモ隊が接近していた。
ICPO隊は三波に分かれてコロニーに取りつく形になった。
アレキサンドリャーに戻った勘九郎隊は勘が良かった。
敵の艦隊の砲撃を考えればICPOのMS隊はコロニーの上から侵入すると予測し、勘九郎はギャップランをコロニーの外壁に沿って上昇させた。
「来たっ!」
「敵!?」
「フフフフ・・・・あたしには、こういう戦闘の方が性に合ってるわ!」
勘九郎はMK-Uを初めて見た。
聞かされていたような精悍さを感じて、勘九朗は嬉しかった。
ギャップランはMS型のままでMK-Uにビームを浴びせ掛けた。
「・・・・・・!?」
勘九朗は息を呑んだ。MK-Uが避けたのである。
しかも自分が撃ったあとで回避運動をしたように見えた。それで撃破されるはずなのに、MK-Uは、その白い機体をコロニーの外壁スレスレに舞い下りさせていったのだ。
「あんなのがいるの!?許せないわっ!!」
勘九朗は激怒した。
小竜姫は敵のMSの数が多いのではないかと不安になった。
しかし、勘九朗は動物的な勘を持ち合わせていた。狙撃しようとした小竜姫は、勘九朗のギャップランの影がコロニーの半壊したミラーの向こうに消えたので後を追った。
「どこに!?」
MA型の勘九朗機はミラーの先端から現れてMK-Uの後方につけた。
「MK-U!出すぎっス!」
追いついた横島のGZがコロニーの上部からギャップランに牽制のライフルを放った。
MK-Uは、その隙にコロニーの後部に向かった。
GZはまだ変形をしない。
アーギャマのプレデッキも砲撃の激震が響き、ジークとベスパがよろけた。
「急いで!」
ベスパの背中に銃を突きつけたジークはMSデッキの入り口へ急がせた。
「ジーク!どうした!」
「甲板のザックが邪魔だってブリッジが言ってます!」
「おう!どかしておけっ!」
「はいっ!」
戦闘が始まってしまったら、クルーは自分の仕事だけで精一杯なのである。
二人はカタパルトデッキに流れていった。ザックはカタパルトデッキ上の艦橋の下の外壁に固定されていた。
ジークは、そのジョイントを外し、ベスパがザックのコックピットに上がっていった。
ベスパがコックピットのハッチを開く間にジークも上がってきた。
「動くか?」
「大丈夫さ、ほら。」
ベスパはジークを見やり、シートから立った。
ジークはベスパが席を譲ってくれるものだと思い拳銃を下ろし、ホルスターに入れようとした。
「おまえ、優しいんだね?」
ベスパはジークのバイザーに自分のバイザーを接触して言った。
「え?」
「本当に好きだよ。」
ジークには、その言葉の本当の意味は分からなかった。
ジークは何を言ってるんだ、こんな時にと思った。
ベスパの手がジークのヘルメットにかかり力をいれて押した。
「え!?」
ベスパに善意があったとすれば、ジークを下に押し込んだということだろう。そうでなければ、ジークの体はアーギャマの外に流れ出して、戦闘中のアーギャマがジークを救出することなどはできなかったろう。
「ベスパ、なんで!?」
ジークの絶叫もベスパには聞こえなかった。
「ジーク、ごめんね・・・・・」
ベスパはザックのエンジンを急速に上昇させた。ジークの体がカタパルトデッキに落ちた時、ジークは必死で掴まるものを見つけて体を固定した。
「私はドボルザークに帰らなきゃいけないんだ。・・・・ごめん、ジーク。」
そのベスパの独り言は、決してジークをバカにしたものではなかったが、事実は物の動きだけで示されるのだ。
ザックのノズルの噴煙がジークの体を包みザックが上昇を始め、一呼吸おいてからドウッと機体を虚空に消していった。
「あの女っ!」
ジークは拳銃を持ち直して飛び去ったザックに向かって撃ち続けた。


おキヌは、幾つもの火戦が掠めるコロニーの外壁に沿ってノモを侵攻させた。
怖いとは思わなかったが、目的の核エンジンの場所が見つからないのが気になった。
バッ!音をたてるかのように光がモニター一杯に広がった。
コックピットが跳ねた。その衝撃は本物であった。
近くでコロニーの外壁が膨れ上がり金属さえ燃えているように見えた。
「く・・・・・!」
シミュレーションと全く違うのは得点を得るためのゲームではないことだ。今の衝撃などで分かる。かすかな不安がおキヌを襲った。
「小竜姫様!」
おキヌはコロニーの外壁を見下ろしながら、教えられたポイントに機体を向けた。
「あと三つ数えるうちに見えなかったら・・・!」
おキヌは、そんなことを考えた。
メドーサのメノスと三機のノモがザックと交戦を開始していた。
「!!」
よけるメドーサのメノスは、その丸い感じの機体であるにも拘らず動きは速かった。MAからMSに変形をし、敵を惑わせることができた。
メノスの機体に仕込まれたライフルはザックを一撃で撃破できた。
「二機目っ!」
メドーサは撃破する機体の数を数えながら、アレキサンドリャーのいると思える方向に回り込んでいった。
「右か?左か?」

後方から回り込む勘九朗のギャップランはシールドに仕込まれたビーム・ランチャーをGZに仕掛けた。
GZはウェーブライダー(MA型)の装甲を焼きながらも、ギャップランに機首を向けて機体下部に設置されたライフルを連射した。
力押しで来る敵には力で押す。そうでないと時間がかかるだけで、その分危険が増すだけなのだ。
横島はGZの機体をコロニー外壁に向け、バウンドする力も利用してギャップランの下に滑り込んだ。
おキヌは、数基の核エンジンを見つけた。ザックがジャンプするようにして、ディアスとノモと交戦していた。
それに構っているのがおキヌの任務ではない。
おキヌはビームの光が映るコロニーの外壁にMK-Uの姿を捜した。
ヒャクメのデータは半分ほど合っていたようだ。
「小竜姫様っ!」
おキヌはMK-Uが核エンジンの下に取りついているのを見た。そのMK-Uに向かってザックが一機飛びかかるところだった。
おキヌはノモのライフルをメチャメチャに散射して、MK-Uの背後に取りついた。
「おキヌちゃん!?」
「いけますか?」
「艦砲攻撃と、こっち側のエンジンのひとつを始動させればコロニーは確実に侵攻方向を変えるわ!」
「頑張って下さい!」
おキヌはMK-Uと背中合わせにノモを立てて、ライフルを構えた。
バッ!また近くでザックが爆発した。

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