バースデイ(2)
投稿者名:ツナさん
投稿日時:(00/11/ 3)
「あー、つかれた」
螢は疲れた体をそのままベッドに投げ出し、溜め息を漏らす。
今日は十五回目の誕生日。
友人や両親の友達が集まり、盛大なものになった。
彼女にとってのこの15年は長いようで短かった。
物心付いたろから他人には見えないものが見え、また邪なる者に襲われた事も両手の指では数え切れないほどあった。
なぜ自分ばかり、と思うことも多々あったが、両親、令子と忠夫の、そしてパビリオと言う女の子の助けもあり、大事なく今まで生きてきた。話に聞けば母、令子もちょくちょく魔物のたぐいに襲われていたようで、まぁ家系かな、と父譲りの能天気さで割り切っていた。
コンコン。
眠ろうと枕に頭を深く沈めたとほぼ同時にドアをノックする音がした。
「だれ?」
螢は起き上がり、ベットに腰をかけてから尋ねる。
「ぼくです」
「ああ、桐斗くんか。空いてるよ」
ドアを開けて入ってきたのは螢より二歳ぐらい年下の、おっとりとした少年だった。
西園寺桐斗。西園寺キヌ(旧姓氷室キヌ)の息子である。
「螢さん、すいません、お休みになるところでしたか」
おっとりとした口調だが礼儀正しい子である。両親に礼儀だけは厳しく躾られたらしく、どんなときでも敬語を使う少年であるが、あまりにも融通が利かず、同級生にその言葉遣いは嫌味に聞こえてしまうので、友達は少ない。
「何かよう?」
「ええ、いつもの事です」
「また憑かれたの?」
「ええ、ほら」
ぼんやりとしたものが彼の肩に止まっている。よく見ればそれは人の幽霊である。おそらく年齢は14、5才だろう。
「私もそうだけどあなたも物の怪に好かれやすいみたいね」
「けっこう困っているんですよ、これでも」
「そうは見えないけど。おキヌおばさんに言えばいいじゃない、私のところに来ないでさぁ」
「え、いやその、母には心配かけたくないものですから」
顔を少し赤らめていう。ありありとその気があるのがわかる。
「ったく。パパにきづかれたらしゃれになんないわよ。ほら背中向けて」
螢は吸引札を取り出すと、えいっと気合を込める。桐斗に憑いた霊はあっさりと吸引された。
「そろそろ一杯ね。新しいの買ってもらわなくっちゃ」
札をたたみながら呟く。その時何かの気配が結界の外にいるのがわかった。それは結界に体当たりをかましているようだ。
「なにかしら」
「見てみましょうか」
螢と桐斗は窓のカーテンを開けて外を見た。
続く
今までの
コメント:
- 話は第二世代へと受け継がれていきます。結果的にほとんどのキャラクターがほぼオリジナルと化していくわけですが、さて上手くいくかどうか心配です。 (ツナさん)
- なかなか野心的な試みだと思います。キヌなどは旦那すらもオリヂナルだし。
二代目たちの活躍、期待しています。 (Iholi)
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