ザ・グレート・展開予測ショー

シロ・閃光の中で・・・(前)


投稿者名:NEWTYPE[改]
投稿日時:(00/ 9/ 7)

西条は、十式のコックピットでコントロール・センターを確認していた。
コントロール・センターから返事をした声が、さきほど、西条を電話で怒鳴った男であることが西条には分かった。
こういう人間こそ当てになる。
「よし!タマモ君!君達を死なせはしない。シャトルの発進だけは面倒を見てくれよ!」
アウムドラのノズルが一斉に始動したようだ。
その時、ギャップランと一機のベースジャバーが戦争博物館を掠めていった。
ドウッ!!
政樹が乗ってきたバルキリーが炎に包まれた。
その後部が、黒煙に包まれてパーキング・エリアのコンクリートの上に落ちた。
続いて、エンジンが爆発する。
後続の二機のベースジャバーが掠めつつ、戦争博物館の上にある管制室を攻撃する。
それを西条は十式のライフルで牽制した。
「今、コントロール・センターとした約束を破るわけにはいかんっ!」
二機のベースジャバーが、パッと離脱した。
マリアは、その少女の感性のままに、こんなものかと思っていた。
ギャップランのコックピットから後退してゆくケネディの俯瞰の映像を見ながら、マリアは、敵の動きがパタパタしたものであると感じたのである。
軽いのである。
そう見える。
戦争の感覚がこんなものなのかと失望した。
シミュレーションの段階では、恐怖という感覚を繰り返し教えられていたから、なおのことであった。
しかし、後続のザックに乗るヌルは違っていた。
朝方の寝込みとか、休息時間を狙ったつもりであったから、オカルトGメンのMSの動きがこちらの動きを予測して動いているように見えて恐れた。
「さすがにジブローに侵攻した連中だけのことはある。」
マリアのギャップランがターンをし、後続のベースジャバーは、より急速にケネディに二撃目をかけようとした。
その時、横島が乗るMK-Uが、バーニアを噴かして、ジャンプをした。
MK-Uは、とりあえずバルカンを一機のベースジャバーにあびせた。
そのベースジャバーは避けようとして、ザックを二機落としたが、その二機のザックは、巧妙にバーニアを使って地上を滑走して、シャトルの方向に向かおうとした。
「そんなにうまくいくかよっ!」
横島は、ライフルでその一機を狙撃した。
ドバッ・・・!
撃破したザックの機体がバラバラになりながら地上を滑っていった。
「邪魔するからだっ!」
もう一機を狙うが、見慣れない機体、ギャップランが迫り、数条のビームを降らせた。
「なんだっ!?」
そのビームの束は厚かった。
そう見えたのは、狙いが確実だからだ。
横島は、MK-Uを地上に降下させ、伏せるようにして、ギャップランをやりすごして、狙った。
が、ギャップランは早かった。すでに視界のなかにその姿はなかった。
「くそっ!」
西条の十式が、別のベースジャバーを追うのが見えた。
シロのディアスが、シャトルの方向に駆けるようにジャンプをする。
それを追う弾着がある。
タマモは、コンソール・パネルの数字を見た。
「発射一分前!」
乗客シートのパイロット達は緊張していても何もできない苛立ちに満たされていた。
タマモも、もう冗談を言っている暇はないのだろう。
メドーサは、隣のパイロットに手を重ねられたまま震える唇を噛みしめていた。
窓からは、シロのディアスが、砲撃しているのが見えるのだが、もうそれを見る勇気もなかった。
時折、ビームの光が射しこんでは消えた。
そのたびに命が縮んだ。
シロのディアスを掠めるベースジャバーから、二機のザックが飛び降りた。
「くっ!来させんでござるっ!」
シロは、ディアスのシールドを縮めて背中からライト・ガンを使った。
一機のザックの腕を撃破した。
ザックを乗せないバースジャバーが、ターンをして迫ってくる。
「このっ!」
右腕のバズーカが、それを直撃するが、その下をザックが迫る。
ベースジャバーの爆発でシャトルの機体が揺れた。
西条は、見慣れない機体が自由に飛行するのを見て、あることを思い出していた。
「ニュータイプ研究所というのがあると聞いてはいたが・・・・・!」
十式のビームを僅差でかわして、地面に叩きつけられるのではないかと思われる敏捷さを見せるギャップランに、西条は愕然としつつも、十式をジャンプさせた。
ギャップランは、十式を追って地面を蹴るかと思える高度から急激に上昇をかけてきた。
本当に飛んでいるのだ。
「宇宙じゃないんだぞっ!」
西条は、十式を降下させた。
MK-Uを襲ったと同じビームが十式を掠めた。
「ええいっ!」
西条は叫んでいる気分とは別に、指は冷静にギャップランを狙うアクションをしていた。
一本のビームが、当たったと思えた。
が、ギャップランは方向転換をしてみせた。
「違う・・・!?」
マリアは西条の一撃を受けて、この戦いがゲームではないプレッシャーを初めて感じた。
「シャトルから離れろっ!」
横島は、MK-Uをジャンプさせて、ザックと空中で一瞬の射ち合いをした。
二機が別れる。
もう一機のザックは、地上の無人MSの上に着陸して転倒した。
パイロットの勝手な判断が、一人相撲をさせているのだ。
そこを横島は狙撃した。
ギャップランは、ふたたび十式に向かってくる。
が、西条は待って、十式をジャンプさせた。
それより早くギャップランは、上昇し、MSに変形して、十式にサーベルを振った。
その変形は早い!
「なに!?MSかっ!」
西条の十式が、ギャップランのサーベルを避けて降下した。
その西条に掴みかかるギャップランの機体は、ひとまわり大きかった。
「うわっ!」
十式は、腰のサーベルを引き抜く間に、地上に蹴り落とされた。
西条は、地上に激突する寸前に十式のバーニアを噴かして、ライフルを連射しながら後退した。
「まずいなっ!」
マリアは、今のからみでようやく口元に笑いを戻した。
「シミュレーションと・同レベル!」
そう思った。
「なめるなっ!」
西条は、そう感じると同時にライフルを射った。
ギャップランをかすめるビームに、マリアは、明確に一つの意思の力を感じていた。
「・・・・・・・!!」
シャトル内のタマモは、カウンター・ゲージを見て、ホッとした。
「あと一息だわ・・・・・30秒前!」
マリアは、ザックと斬り合うMK-Uを見て、仕掛ける決心をした。
これならば、シミュレーションと同じではないかと思ったのだ。
ギャップランは、MS型のまま着地すると、MK-Uは、正面のザックを捨てるようにして地面を滑った。
その変わり身は、マリアにはシミュレーションのように早いと感じられた。
次の瞬間、MK-Uはザックを盾にしてマリアに攻撃を仕掛けた。
「・・・・・!?」
マリアには、味方を傷つけてはいけないという暗示が強力に植えつけられている。
その迷いの一瞬にMK-Uのライフルが、ザックの背後から発射された。
「うっ!」
マリアがうめいた。
わずかに、そのビームをかわしながら、マリアは、シロのディアスがビームを連射して迫ってくるのを見ていた。
「お前の相手など、拙者で十分でござる!」
またも較べてみたい衝動に駆られて、マリアはディアスに流れた。
「な・・・・!?」
それは、シロにしてみれば予測しがたい行動であった。
ギャップランは、MK-Uと対峙して、一瞬の膠着状態に見えたのである。
が、ギャップランは、地上を滑り変形してMAの形になりながら、ビームを発射していた。
その時間は、一秒となかったろう。
「変わった?」
そう思った一瞬後には、シロのディアスは直撃を受けていた・・・・・。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa