ザ・グレート・展開予測ショー

GS横島の日常。


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(00/ 8/29)

 おれはソファーに腰を下ろしながらしみじみと思った。 
 美神さんの事務所に勤めるようになってからもう4年近くたったわけだ。
 いろいろあったけど無事高校も卒業。けど授業が無いってだけで実際は大して変わらない生活を送っている。
 いろいろあって、美神さんも多少時給を上げてくれたので、時給255円だったころの地獄に金欠生活からはまあ何とか抜け出したけど、一人で生活するのにはまだしんどい。
 食費に関しては事務所のほうに入り浸ることがより多くなったので、何とかまかなってもらっている。
 最近は一人の仕事も随分増えた。美神さんが面倒くさい仕事を全部俺に押し付けているだけなのだが、まあ、ヤバイ仕事は十件に一件あるかないか、といった所だ。
 で、今日も俺は美神令子霊能事務所に入り浸っているわけで。
 といっても結局仕事が無いときは何もやる事が無い。
 しいて言えばたまあに隊長がヒノメちゃんを預けにくるので面倒をみてやったり、シロの散歩に付き合ったり、シャワー覗いたり、にゅーよくシーンを覗いたり。
 今もほっぺたに痣がくっきり。後でシロかおキヌちゃんにヒーリングしてもらおう。
 じりりり、じりりり。
 電話のベルだ。俺はすぐに電話代の上のクラシックな電話を取る。
「もしもし美神霊能事務所ですが」
電話の応答も随分板についた。
『え、ええとそちらの所長さんにお話が。あ、私、有明不動産の臣志と言う者ですが』
「どういったご用件で?」
やけにおどおどした口調に俺は不快感を覚えた。やや声高に用件を尋ねる。
『幽霊退治を、お願いしたいのですが』
「分かりました、しばしお待ちください」
俺は受話器を置くと、ソファーで二日酔いに苦しむ美神さんを呼ぶ。昨日は夜中の十二時近くまで飲んだからなぁ。
「仕事の依頼ですよー。有明不動産の臣志さんからです」
「うー、頭いたい。今換わる」
美神さんは頭を押さえながら立ち上がると、よろよろと向かってくる。さすがにワイン一本、シャンペン一本、とどめのウイスキーロックで3杯は効いたか。
「みず」
仕方ないな、この人は。俺はハイハイ、と頷くと、キッチンへ走る。
コップはと。
戸棚の右から二番目から、中ぐらいのコップを出す。こんなちゃっちいコップでも何千円もするんだよな、ここん家の食器は。
冷蔵庫の中からミネラルウォーターを出してコップに注ぐ。
俺んちはただの水道水なのに・・・。
ばたん。
冷蔵庫を閉めてリビングに戻る。話はついたらしく、美神さんはソファーに戻っている。
「あ、横島君。今回の仕事はあんたとおキヌちゃんに任すから。今から有明不動産まで行って来て。詳しい話は向こうでしてくれるから」
俺がコップを置くのと同時に一気にまくし立てる美神さん。
「今からですか?」
「そうよ。おキヌちゃんには学校帰り直接そっちによってもらうように連絡しておくから。お札は一応持っていって。ちょっと厄介な仕事らしいから」
「厄介って?」
美神さんが厄介というからには、きっととんでもない仕事に違いない。俺は背中に寒気が走った。美神さんは淡々と続ける。
「そんな顔しなくても大丈夫よ。横島君とおキヌちゃんなら何とかなるわ。勉強だと思って行ってらっしゃい」
「はぁ、分かりました」
勉強かぁ。考えてみたらそう言われ続けてまだ見習から脱却できないんだもんなぁ・・・。このまま一生見習なんてことはないよなぁ…。
ぼやいても始まらないか。
とにもかくにもおれはそそくさと荷物をまとめると、一路有明不動産へと向かった。
 
                                     続く。
 
 

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